旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

旅の途中 懐かしの急行形気動車とムーミン谷

2016-03-26 | 日記・エッセイ・コラム

 大多喜城は小田原征伐後、徳川四天王の一人本多忠勝が上総10万石に与えられた城。
三層四階の天守を整備し、城下町の建設を行った。
徳川家を支えた随一の猛将は、大河ドラマ「真田丸」では藤岡弘さんが演じている。
吉田羊さん演じる忠勝の娘小松姫は真田信幸の正室になるので今後露出が増えそうだ。

小湊鉄道が上総中野駅で房総半島横断のバトンを託すのは、いすみ鉄道(旧木原線)。
公募社長、ムーミン列車、運転士訓練生、レストラン・キハ等、何かと話題の会社だ。

 

菜の花をイメージした黄色い車体には「ムーミン」のキャラクター達が描かれている。

 

 上総中野から20分も走ると、路線の中心的な駅大多喜に到着する。
城下町としては、あまりにも小ぢんまりとした、でも落ち着いた情緒ある町並みだ。
観光協会でレンタサイクルを借りて、大多喜城、渡辺家住宅、夷隅神社と巡ってきた。

 

町並みの中に豊乃鶴酒造を訪ねまる。重厚な主屋、赤レンガの煙突は国の有形文化財だ。
創業は1781年(天明年間)だそうだ。原酒大多喜城・特別本醸造生貯蔵酒を土産に仕込む。

 "急行そと房"、大多喜からは懐かしの旧国鉄の急行形気動車に乗車する。
昭和30~50年代、それこそ北海道から九州まで、日本中で走っていた車両だ。
もちろん東京にも大阪にも乗り入れていた。
小江戸・大多喜の町並み、そして急行形気動車、まるで昭和の元気ある時代の様だ。

これまた懐かしい硬券の指定席券を握りしめて急行に乗り込む。
4人掛けのクロスシートにはテーブルが付いている。で早速車中酒と洒落込む。
特別純米酒 "大多喜城" 生貯蔵酒は、すっきりと研ぎ澄まされた辛口の酒だ。
気動車のいささか大げさな揺れに身を委ね、フルーティー味わいを愉しむ。

すっかりほろ酔いになった頃に車内放送、そして急行は暫し徐行、左手にムーミン谷だ。
リュックひとつで世界を放浪するスナフキンがギターを弾き。ミーは釣りをしてる。
それにしてもテントを飛び出してきたところでコケたかのようなムーミンが愛らしい。

急行は大多喜から40分をかけてJR外房線の大原駅に終着する。
行く手は車止めで塞がれている。本当はもうしばらく揺られていたいのだけれど。

 東京湾岸の五井駅から、太平洋に面した大原まで、房総半島を横断して60kmの旅。
小湊鉄道からいすみ鉄道を乗り継いで乗車できる「房総横断乗車券」がお得で便利だ。
1kmほど先には太平洋の海原が広がっているはずだけど、潮の香りは届いて来ない。

きみ可愛いね / 伊藤咲子 1976



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