旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

それでは酔いお年を 今宵、ほろ酔い酒場で!

2017-12-31 | 日記・エッセイ・コラム

 ローカル線の終着駅から5分も歩くと薄明るい街灯と車のテールランプだけになる。
そんな宵闇にぽっかりと浮かぶ紅い提灯、吸い寄せられるように重い引戸を開ける。
カウンターには焼酎の一升瓶を抱えた常連さんが陣取っている。紫煙が沁みる。
小上がりには信金さん?盛上りながらも周囲のお客さんへの気遣いを忘れない。 

 

 奨められるまま地酒を呑む。普通酒で構わない。肴も土地ならではの一品を抓む。 
注いでくれる思いがけず美しい女(ひと) 、30代半ば?大将の娘さん?詮索は止めよう。
旅先で寅さんが恋に落ちるシーンを思い浮かべながら升酒を迎えにいく。 

 地方の県庁所在地、農山漁村から若者を吸上げて高度経済成長を支えたことだろう。
こうした町の駅近に、早い、安い、旨い、三拍子揃った酔うことに機能的な店がある。
壁一面に貼られた短冊、ハムカツとポテトサラダは外せない、ホッピーが飲める。
相席当然のテーブル、立飲みスペース、コの字カウンターには煮込みの大鍋がある。

 

大抵の場合、給仕してくれるのは割烹着に三角巾姿の "昔のお嬢さん" に違いない。
小母ちゃん!は禁句。注文が後回しになる。下手すりゃ伝票に余計な正の字が付く。

 

 観光地でもある地方都市の平日、炉端焼きの八角カウンターの顔触れは多彩だ。
余所者にも比較的寛容だから、仕事帰りのサラリーマン達が席を詰めてくれた。 
品書きと睨めっこしていると、決して迷惑ではないお節介を焼いてくれたりする。 
ここに女子旅の3人組が席に着くと更に華やぐ。少しずらした夏休みも良いもんだ。

 

 酒は皆で賑やかに飲むのが楽しいに決まっている。でも時に "ひとり酒" も愉しい。
今年も拙い「呑み話し」にお付き合い頂き有難うございます。来年もぶらり出掛けます。 

時代おくれ / 吉田類


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