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住宅地盤ブログ ☆地盤調査・地盤補強工事・住宅地盤相談☆

マンションが傾く・・・その3

2015年10月29日 | 日記

毎日、マンションの傾く報道と旭化成建材の現場代理人の他の工事に関する
施工管理が報道されています。
今回、新たに北海道の釧路市の道営住宅改築工事で、データの改ざんが発覚した
との事で、その他の工事についても調査を進めているとの事。

私が思うに、今回の問題の原因は、マンションの建築地の面積に対して、
地盤調査点数が少なかったのではないか、もしくは、仮に、点数には問題が
ないとした場合は、杭長の設定に問題があったのではないか思います。
地盤は、人間がつくったものではありませんので、すべて計算通りには、
いかないと思います。安全を考慮した設計が必要ですよね。そして、
その設計通りに施工した場合、杭長が足りないと分かったら、設計者や
関係者に連絡を入れて、対応していく事で、問題は、解決していきますよね。

今回、設計杭長と施工時の固い層の判断の両方のミスだと思います。
もちろん悪意を持って施工しているとすれば、ミスではなく犯罪になってしまいますよね。
悪意があってではなく、性善説に立って考えるとミスになると思います。もし、
悪意があってやっているとなると建築分野だけではなく、他の仕事でも問題が当然に
発生しますよね。
私が思うのは、自然の地盤を扱っているのであれば、計算通りにいかない場合に
対応策を考えて、迅速に手配しておくという事が大切だったと考えます。
万が一、予定通りの杭長さでは、足りなければ、すぐ手配して、固い層まで
杭をいれる。事前に、想定しておく事が必要であったと思います。
最近は、データの改ざんが問題になっており、もちろんデータも大切ですが、
目的は、データを集めることではなく、建物を傾かせないことが重要であり、
万が一の時は、その対策を事前に考え、対応する事が必要だと思います。

戸建住宅の地盤対策の場合でも、事前に地盤調査を行っており、地盤状況を判断して、
必要により追加調査をしているので、地盤補強鋼管工事であれば、
杭長さが足りないことは、まずありません。
また、安全を考慮して、杭長さを設定しており、それでも、昔の井戸跡とか室などがあり、
地盤調査時点では、判明しなかった場合は、予備材料を持参しているので対応しますし、
予備材料では不足しているのであれば、材料会社に連絡を取れば、迅速に持ってきてもらえます。

今回の地盤に関する問題で、以前に記載しました地盤品質判定士協議会に相談や
質問が多数寄せられていると聞きました。今後、益々、地盤品質判定士が活躍し、
社会に貢献できれば、良いと思います。


マンションと戸建住宅・・・地盤に関して

2015年10月22日 | 日記
マンションと戸建住宅・・・地盤に関して

今、毎日、横浜市のマンションの傾きに関することが報道されています。
杭の施工をした会社も旭化成グルーブという事もあり、信頼を裏切るかたちになった。
それを受けてか戸建住宅の建築に際しての地盤にかかわる工事についても、
心配する人が多くなったと思う。それだけ世間を騒がすことになっていると思います。
問題のマンションの傾きに関しての原因や地盤の事について、ぜひ聞きたいと私のところにも
テレビ局の報道関係の人から電話がかかってくる状況です。
不同沈下の原因は、これから詳細に調査がはじまり、判明してくると思います。

マンションと戸建住宅の地盤に関しての対策は、異なります。
まず、戸建住宅の建築前の地盤調査で地盤が軟弱となった場合、杭基礎という
取扱いではなく、地盤補強という事になります。これは、建物の基礎に杭などを
入れるのではなく、基礎の直下や基礎下の砕石の下に杭や改良体をつくり、
建物とは、一体になっていません。つまり上部構造体と一体になっていないという事です。
戸建住宅の建物の重さは、建物階数や使用材料により異なりますが、木造2階建て程度であれば、
1m2当たり、800㎏~1200㎏程度ではないでしょうか。つまり建物の重さは、80トンから120トンと
すると、マンションは、数千トンになると思いますので、重さが全然違いますよね。

地盤調査をして、自然堆積した関東ローム層などの土が確認された場合、土の支える強さは、
1m2当たり、5ton~10ton程度あります。従って、戸建住宅であれば、地盤補強する必要がなく
建物を支えることができますが、マンションは、支えることができません。
但し、関東ロームを人為的に崩した場合は、著しく強度が低下しますので、盛土してすぐに
何もせず建物を建てると傾く可能性があります。このように重さの著しく異なるそれぞれの建物を
支える場合は、その重さを支える地盤補強をすればよいことになるので、戸建住宅では、
直径の大きな杭を使用する必要もなく、小口径の杭を使用するとか改良をすれば足りる事になります。

戸建住宅が傾く場合は、建物を支える支持力がないという事は、あまりなく、ほとんどが
長期的な圧密沈下や圧縮沈下が原因であると思います。なぜかというと、建築地に行って、
大人の人が歩いて、土が沈まないのであれば、2トン~3トン/m2程度あるので、一時的には、
建物は、支えられることになりますが、長い間に地盤が悪ければ、沈下していくわけです。
戸建住宅の地盤調査は、スウェーデン式サウンディング試験が多用されており、この試験値
から、沈下量を推定することができるようになりましたが、計算して数センチ下がるとか
下がらないとか、そこまで精度よくわからないと思います。だからある程度の安全を考慮しなければ
ならないのです。つまり、その計算値を採用できるのかどうかを。
この試験方法は、利点がたくさんありますが、この試験方法ですべてが、わかるわけではないのです。
他の試験も併用すればよいのですが、当然に費用も掛かりますよね。いずれにしても、戸建住宅と
大規模建物では、建物を支える力が大きく違うので、マンションが傾いたから、自分の家も傾くと
心配しすぎる事はないと思います。
私の会社では、地盤調査を行い、地盤補強は必要ないと考えられるケースや軟弱なため、
地盤補強を行った建物で、傾いた建物はありませんので、傾く可能性がある場合は、ある程度
予測できるのです。だから傾く前にリスク回避を提案する事が必要だと考えます。

住宅建築の軟弱地盤対策 - いろいろあるけど・・・その2

2015年10月19日 | 日記
住宅建築の軟弱地盤対策 - いろいろあるけど・・・その2

 前回、同じタイトルで記載しましたが、住宅の地盤改良工法は、
 一般的に、下記の方法があります。

 ・表層地盤改良工法(セメント系固化材使用)

 ・柱状地盤改良工法(セメント系固化材使用)
 
 ・小口径鋼管圧入工法

 他にも、いろいろな工法が出ていますが、上記の工法にくらべて、
 まだ、実績年数が少ない状況だと思います。

 この中で、価格の面で安価にできるセメント系固化材を使用した柱状地盤改良が一番多く
 利用されていると思います。この工法は、セメント系固化材に水を加え現地土と混ぜ合わせて
 柱状の改良体をつくり、建物を支える工法です。また、表層地盤改良は、名前の通り表層部分が
 軟弱で、その下部は、安定している地盤であることが必要です。

 「柱状地盤改良や表層地盤改良は、現地でつくる工法なので、施工管理が非常に重要です。
 混ぜ合わせ方しだいで、強度が変わってきますので、きちんと管理しながら施工する必要があります。」と
 記載しましたが、この現場でつくる改良工事の件で、最近、住宅等の地盤改良を行っている大手の上場会社の
 ホームページを見ていたら、特別損失の発生のお知らせが記載されていました。
 
 原因は、詳しくわからないが、固化不良による地盤の瑕疵補修工事に2億円の特別損失を計上していた。
 2億円もの瑕疵補修とは、ビックリですよね。よほど大きい工事でないと、こんなに損失しませんよね。

 柱状改良等は、比較的安く工事費を抑えられる為、多用されていますが、固化不良を起こす危険性があり、
 土質により、固化材料の種類や配合量を適切に考えないと、改良工事をした意味がなくなりますよね。
 
 私は、小口径鋼管による工事が一番安心であると思います。
 現場で、つくるのではなく材料は、JIS規格を受けているSTK400で
 製品の検査も受けています。これを固い地盤まで、必要本数を圧入させる為、安全です。
  
 工事金額が同程度か少しだけ高い程度であれば、ぜひ鋼管圧入工法をお勧めしますね。
  
 どんな工法をするにしても、事前の地盤調査を適切に行わないと、固い層の深度がどの位置にあるのか
 わかりませんので、まず、経験と知識(資格者)を持った調査員による地盤調査が重要ですね。
 
 
 

マンションが傾く・・・その2

2015年10月17日 | 日記
マンションが傾く・・・その2

過去のブログ(2014年6月20日)に、マンションが傾くことに関して、記事を記載しましたが、
今回、また、同じような不同沈下事故が発生しました。

しかも、今回も三井住友建設の名が出ている。同じようなことが繰り返されると、
今後の販売するマンションにも影響が出てくる可能性が高いと思う。

私どもは、戸建住宅を中心に、地盤調査や地盤補強工事を行っているが、
住宅規模でも、事前に建物付近で、4~5ヶ所さらに地盤状況が著しく異なれば、追加調査を
行っているのに、マンションが数棟となると建築面積も大きく、神奈川県は、アップダウンが
多い地形であるので、工事前の地質調査が重要であり、調査点数も多くとる必要があると思います。
どの程度の地質調査点数を実施したのでしょうか。そして、支持地盤の深度に差が認められた場合は、
杭の長さの検討を考慮したかが重要だと思います。

戸建の住宅建築では、地盤調査を行い軟弱な所がある場合で、地盤補強したほうが良いと
考えられるところでも、地盤保証会社の判断では、何もしなくても保証できますという事で
無対策で基礎工事を行っているケースがあり、逆に心配になっているのに対して、
マンションなどの大規模な建築物で、重量がある場合は、当然に、地盤改良や杭基礎などの
検討が必要です。しかし、今の時代に、固い層まで杭がとどいていない事が原因で建物が傾く
というのは驚きましたね。普通に考えても、建物規模が大きく重量がある場合は、杭が固いところに
到達してなければ、傾くとわかるでしょう。住宅の場合と重さが全然違いますよね。
今多くある地盤保証会社が、もしマンションの建物まで、保証していたら、倒産してしまうことも
ありますよね。


今回の三井住友建設や杭基礎施工会社である旭化成建材は、名の通った会社であるにも関わらず
このような事故が起きると、一般の人も心配になりますよね。しかし、実際の現場では、
大手会社から依頼を受けた下請け会社もしくは、孫請け会社が施工しているケースが多くあります。
今回は、どうなっていたかは、わかりませんが、現場監督が、きちんと管理しなければならなかったと
考えます。

住宅の地盤関連会社でも、下請けに丸投げしているところがあります。私どもの会社は、
99パーセント自社の社員が作業を行い、何かあれば、すぐに連絡が入り、対応しています。
残りの1パーセントは、協力会社と自社の社員が一緒に作業をするか工事中は、常に監督します。


今回のような不同沈下事故が発生する事により、多くの住宅購入を検討している人に、心配を
かけ、建築関連の信頼が低下する事が、非常に残念であり、このマンションを購入した
人たちに、一日も早く安心できる環境をつくってほしいと思います。