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住宅地盤ブログ ☆地盤調査・地盤補強工事・住宅地盤相談☆

地盤補強設計について思う事

2017年11月26日 | 日記

寒くなりましたね。風邪をひかないように健康管理に注意が必要ですよね。

今回は、地盤補強設計について思ったことを記載してみました。

人工的に作った材料などは、実験・試験結果などからその材料の種類や強度がわかっている為、
目的に応じて、材料を選択し、設計をして使用します。
しかし、自然が生み出したものや自然現象は不解明な部分が多く、例えばいつどこに、どの程度の地震が起こるのか、
はっきりとはわかりません。
地盤も自然が生み出したものであり、そこに建築物を建てる時に、軟弱地盤では、地盤改良や杭工事を行います。
その設計では、安全率を使用して、計算結果の1/3の値を使用します。
それだけ計算上と実際では、未知数が多いという事でしょうか。ところで、住宅レベルでは、
昔から使用されている地盤補強工法である例えば小口径鋼管杭では、適切に施工していれば、
想像を超える巨大地震は別として、建物に有害な沈下を生じさせるケースは、
まず無いと思いますが。
もちろん人為的な施工不良による原因は、どの工法でも危険ですが。

ここで、住宅レベルの地盤補強では、常に、安全率1/3を使用することが適切であるのかどうか。
また、最近では、インターネットの発達により、各県の地盤データが閲覧可能となり、
多数のボーリングデータや地盤状況を調べる事ができます。また、各地域の地形図や
航空写真による土地の履歴、液状化の被害の大きさの目安、地震の揺れやすさの目安がわかります。

住宅の地盤調査では、スウェーデン式サウンディング試験が一般的ですが、固い層に達した場合、
その固さの指標として、近隣のボーリングでは、高い数字を示しているのに対して、
スウェーデン式サウンディング試験結果の固さの指標である換算N値を過少に見てしまうと、
それだけ、地盤補強工事費用に影響してくるケースも考えられます。いわゆる過剰設計。
従って、インターネットによる公共の地盤情報の活用や過去の実績、安全率に関しても、
検討する必要もあるのではないでしょうかね。
国際的には、安全率1/3を使用している国は、少ないと聞いています。設計計算も当然必要ですが、
つねに未来に向けて厳しくしていくのではなく、長年の実績と評価も考慮する事が過剰設計にならない様に
する為に、必要ではないでしょうか。

最近では、少数の実験や実績の少ない工法でも、地震にも効果があると営業している話を聞きますが、
これこそ、どの程度の安全率をみているのかと疑問を感じます。

PS
紅葉の季節になりましたね。紅葉見に行きました? 渋滞しない穴場がいいですよね。
私は、日帰りで紅葉見てきました。そして、露天風呂温泉に入り、ゆっくりしました。

 

 


軟弱地盤の種類と液状化対策

2017年11月01日 | 日記

久しぶりの記事更新です。少し長い記事になってしまいました。

急に寒くなってきましたね。10月末から11月初めに、台風が2回、本州に上陸しました。
雨が続くと現場作業はやりにくくなります。 

さて、今回は、軟弱地盤の種類について記載します。実際に軟弱な地盤は、多数に分けられると
思いますが、大別して、軟弱な粘土質の地盤が厚く堆積しているケースと
地下水位が高く、液状化する地盤に分けて記載したいと思います。

1.軟弱な粘土質が厚く堆積している場所は、現在、建物などなく空地であっても地盤が沈下している
場合や沈下はしていないが、建物を建てるとその荷重により、沈下してしまう場合があります。
どちらにしても、建物が傾く危険性がありますよね。建物が総2階と2階部分が、1階部分の位置と
異なっている場合は、1・2階部分のほうが重くなります。そうすると、そちら側に傾く可能性が考えられます。
この沈下の原因は、長期間にわたって、土と土の間の水が徐々に排水されて、堆積が減少する圧密沈下というものです。
軟弱層が厚ければ数年から数十年沈下が続きます。   

2.次に、地下水位が高く飽和された緩い砂が普段は、砂と砂の粒子がかみ合っていて、落ち着いている地盤が、
地震などにより、その砂のかみ合わせがはずれ、水中に浮いた状態になり、地盤の強度が失われ、建物が傾く
場合があります。この時、水の比重より、軽いものは、地上に浮き上がったりします。これを液状化現象といいます。 

さて、上記の場合の軟弱地盤対策として、軟弱な粘土質の地盤が厚く堆積しているケースで、例えば、
地面より、1.0m程度の土を取り、土より軽いもので置換えをしたとします。何も建物を建てない状態でも
沈下している地盤の場合、詳細に調査しないと沈下防止効果があるのかわかりません。圧密沈下は、長期間にわたり
沈下し続ける為、傾く可能性があるわけです。これは、建物が建築されていない状態で、沈下が収まっている場合でも、
現状地盤より、1.0mの土を取った所の土の強さが弱ければ、圧密沈下はしなくとも支持力不足で傾く可能性があります。

では、地下水位が高く、緩い砂地盤の場合、液状化する地盤の層が厚い場合、表層部分のみ固くするとか
土を他のものに置き換えても建物を支える力が失われる為、傾いてしまう事が考えられます。地震により、
水圧が上昇して、地上に砂と共に水が吹き上がる噴砂が発生する場合もあります。最近では、この地下水位が、
地上に噴き上がる前に、水の逃げ道を作っておく方法もありますが、地盤自体が強度を失っている為、
建物が傾く危険性はあります。 つまり表層のみ固くしても効果は少ないという事です。

建物の不同沈下防止策として、昔から固い層まで杭を打設する方法や地盤改良を行い液状化する層を少なくする工法が
採用されています。最近では、多くの地盤対策工法が出ていますが、実績が少なく売り込みの営業トークを信じて
採用した結果、建物が傾いてしまったとの話も聞きますので、事前に地盤の専門家に聞いてみる事をお勧めします。

PS
多くの地盤補強方法がありますが、昔から住宅に使用されている小口径の鋼管杭を主に私は、提案していますが、
今回、台風21号による大雨で奈良県三郷町の線路わきの法面が崩落したニュースが出ていました。
建物の下には、杭が打設されている様で建物は、崩れず残っています。杭がなかったら危険性が大きくなっていたと思います。
また、表層部分の地盤補強では効果がなかった可能性がありますよね。
擁壁ごと崩れているため、雨による水圧の可能性が考えられ、宅地造成時の擁壁自体に問題がないか
検証が必要ですよね。

毎日放送のニュース記事が下記に出ていました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171031-10000001-mbsnews-l27