思考の踏み込み

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過去帳其の二 7

2014-07-09 00:17:35 | 日記
人間の行為が美しく見える瞬間というモノは様々にあるが、弓を引く姿はその最上のモノの一つであり、同時に象徴的でもある。



目的を定め、的を絞り、精神を集中させるというシンプルな構図は、人間が抱えている内的エネルギーの処理問題の理想形であるといえる。

多くの者はこの内的エネルギーという矢を何処へ向けていいかわからなかったり、的が絞りきれなかったり、弓を引く力がなかったりして矢の扱いに苦しみ悩むものである。

それだけに矢がうまく的を射る事が出来た者の人生は幸福に満ちている。

だが的を射抜く事が目的なのではない。
的を定め、矢を放つ。
そこで生まれる集中力とそれによる統合感が作り出す身体的な "快" 、これこそがこの浮世を楽しみ、我々の内の奔放なる "力" と調和する一番効率的な手段である。

ー 弓を引くというこの単純な人間の動作は、こうした意味からも象徴美として、即芸術たりえる要素を持っていると私は感じてしまうのである。

(しかし上掲のブールデルのヘラクレス像は、躍動感はよく出ているが弓を引く "姿" としてはあまり美しくはない。
やはり武によって身体を練った下の侍の様な "型" の方が美しい ー )






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