思考の踏み込み

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DANGEROUS BOX4

2014-11-17 01:12:23 | 日記
今回の演目はDBのテーマ曲から見ると、内容がそれにストレートに沿ったものであった。

色をひさぐ花魁という遊女たち。

その心の慟哭。

進行上で主要な位置を占める一華 (いちはな) は言う。

「私達は金魚。外から見られる事で美しく泳いでいける。」



「だけど…その水槽の内側は…。」


一華は悲しそうに謳う。


" 月も朧に 白魚の
篝も霞む 春の空

冷てえ風も ほろ酔いに
心持ちよく うかうかと

浮かれ烏の ただ一羽… "


DBの舞台は音楽的だと言ったが、台詞の一つ一つは極めて繊細な言語感覚で貫かれた文学性を有している。

活字で台本を読むことができれば、それはそれで面白いであろうと思う。

ここでは歌舞伎の「三人吉三」の有名なお嬢吉三の独白が引用されている。





" ー ほんに今夜は 節分か
西の海より 川の中

落ちた夜鷹は 厄落とし
豆だくさんに 一文の

銭と違って 金包み
こいつぁ春から 縁起がいいわえ "


本来はお嬢吉三の気丈さを描写している科白であるが、最後の場面で涙ながらに一華はそれを語る。

遊女という、特殊な生業でもって生きる者の、人生との向き合い方を浮かび上がらせることはその事じたいをより象徴的に我々に提示してみせる。

最後の一華による、お嬢吉三の名文句は ー その文句の威勢の良さと対称を成して彼女の哀しみを強調する効果を生み、演出として見事な成功を果たしたー 。





DBに興味のある方は一度ご覧になってみてはいかがだろうか。

近頃は役者陣のレベルもあがってきて、構成の高さに追いついてきている。
願わくばー 今後もこの劇団がブレる事なく真っ直ぐに歩み続け、表現芸術における新境地を開拓せんことを。









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