気が付けばすっかり秋の気配ですね。じりじりと灼け付くような暑さもさほど感じず、今年の夏はずいぶんあっさりと終わってしまったような気がします。
この夏、湘南の海の近くの家を何件か取材させていただきました。
その中の1軒が、今発売中の、月刊ニューハウス11月号「気持ちのいい部屋」で紹介している桜井邸。このお宅は本当に驚くほど、砂浜からすぐのところに建っています。
海辺の暮らしに憧れている人は多いと思います。かくゆう私もその1人。でも実際は、砂、風、湿気など、結構大変。ロマンティックな憧れだけでは、やっていけません。
桜井邸も、アンティークの建具を使っていたりするので、隙間から砂が入ってくるのは日常茶飯事なのだそう。でも、桜井さんは全く気にしていません。
確かに、吹き抜ける風の気持ち良さや、海辺独特のラフな空気感を感じていると、そんなことはちっぽけなことだという気分になってきます。
もちろん、取材で数時間お邪魔するだけでは生活の大変さは分かりません。ただ、こうして海辺の家を訪ねて、そこでの暮らしを聞き、感じるという経験を重ねることで、海のそばで暮らすということを、よりリアルにイメージできるようになった気がします。
海辺の暮らしがよく似合う桜井さんは、自然体の雰囲気がとても素敵な方でした。その飾らない人柄が生み出すリラックス感とあふれるセンスは、空間の隅々に息づいています。ぜひ本誌でその心地良さを感じてください。(N)