サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

CURE GIRL 各ルート感想

2014-09-17 | PCゲーム
Noesis「CURE GIRL」より。尽くし系ヒロインの星宮さん(ネタばれ含む記事です)。









今年の夏、甲子園を観つつ録画でも観つつ
旧ブログをほぼ放置してた訳ですがその間にかなり久々にPCゲーム、所謂「エロゲー」と呼ばれるものをプレイしてたんですね
その時はもうネット自体から離れたいと強く思ってたので代わりにエロゲーやってた方がいいな、と
そしたらこれがもう物凄く癒されてしまって・・・!
めちゃめちゃ楽しかったのでそれを今回は記述しておきたいと思います

この「CURE GIRL」というゲームはその名の通りプレイヤーを癒してくれるヒロインが多々登場するゲームです
選択肢は割と単純なんですが一歩間違えると途端にBADENDになってしまうのが面白いところですね
好感度を上げる為の質問のチョイスも結構分かりづらい部分もあるのでゲーム性に関してもそこそこあるんじゃないかと思います

自分から能動的にヒロインに近づいていって徐々に好感度を上げていったり親密になっていく様はやっぱり何度経験しても楽しいものですね
それを段階を踏んで丁寧に描いてくれてるので特に違和感を受ける事もなく最後まで二マニマ出来たっていうのが本音ですね。


このゲームは等身大とか純朴さにこだわっている節が(絵柄からも)見受けられて
所謂超展開だとか過度にドラマチックな展開が待っているなんて事はありません
でもだからこそ、逆に「普通の恋愛」を楽しめる節があって
特に・・・っていうか今でも周りの評判を一切観ずに直感で購入したんですが
購入前の期待通りに純朴で、等身大と言える内容のゲームに仕上がっていて個人的な満足度は高かったですね

パッケージの紹介にはダメ人間な彼らの青春~みたいな風に書かれてますけど
そこまでダメ人間感はなく、まあちょっと怠惰だったりネジが一本外れてるくらいの人々なので
ダメ人間的描写の数々を期待し過ぎるとその意味では拍子抜けかもしれません
ただ、どのヒロインも割と人としてダメな部分が描かれる事は描かれるのでその意味では期待に応えている・・・とも言えるかも
何にせよ主人公含めて基本的にはどこにでもいるある種普通(?)の人々の等身大の恋愛を描く事に終始しているので
ダメ人間云々よりも等身大である、という点に観点を於いて是非楽しんで欲しいゲームですね
ちょっと大人びた先輩の意外な弱点だったり
同級生の無邪気で明け透けなアプローチにドキドキしたり
後輩の小生意気だけど時々甘えてくれるギャップにときめいたり・・・
突飛な部分がない代わりに素直に恋愛観を楽しめたり等身大の空気に触れて良い気分になれる
そういうドラマよりも癒しに力点を置いた構成は正にタイトルに恥じないゲームだったと言えるのではないでしょうか

それぞれの問題の解決の仕方もドラマチック過ぎず、あくまで日常の延長線上で、、、っていうのが素朴で大変良かったです
私的には誰のルートも均等に楽しめたのでちょっと色々疲弊してる時にやるといいかも、という感じですかね
荒みきった心を思いっきり癒してくれたゲームで少しやってて救われた感もありました。
すごく良いゲームだったと思います。







ここからは各ヒロインのルートに関してちょこちょこと。


◆国村古都音

国村先輩は先輩らしくキリッとしていて素敵なキャラでした
声もよく、あのキリッとした声で「千曲くん」って呼ばれると気分良いですね(笑
それでいて隠れオタク気質~っていう性質がまた堪らなく色々付き合ってて面白かったです
外見も学校での態度や姿勢からもまるでオタクくささがないのが逆に凄いギャップを生んでて良かったですね
だからこそ、疎い部分が強いからこそその純朴さにドキッとする場面も多々あったり良いヒロインだったと思います
過去はちょっと驚きましたけど、だからこそ少し主人公が一歩踏み出すラストは勇ましくて盛り上がったかな、と。
彼女のダメな部分はきっと一見優秀に見える部分にこそあったんでしょうね。

にしてもホント大胆な人だ(笑



◆星宮美悠

いやなんかもうセックスアピール全開のヒロインで兎角素晴らしかったですね
多分この娘が今作のヒロインズの中で一番性的な娘だったんじゃないかと思う
またこの娘のダメな部分がちょっと生々しかったんですけど、
結果的には主人公のダメな部分を打ち消した感じにもなって良かったんじゃないかなって感じました
最初からある程度好意を抱いてくれてるのでルート突入前の会話もやたら面白かった気が。
すごい癒してくれたヒロインです。



◆南條怜奈

このヒロインは逆に最初の好感度が最悪に近いものだったんですけど
だからこそ最終的に気を許してくれてラブラブになるエンディングが堪らなかったですね
でもそんなに馴れ合ってる感じも最後までさせなかったのもこのゲームらしく等身大で良かったかなあ、と
「ちくわ」って呼び方も淡々と話しつつも主人公を頼ってくれる所も含めて実は一番好きなヒロインかもしれません
彼女とのラストこそ、もっとも素朴で日常的でこのゲームを象徴しているものだと私は感じました。
ただ、他ヒロインのルートの時も空気読んでくれたり実は元から素はいい娘なのかも。

ちなみにこの娘の影響で最近じゃがりこにハマってます(笑



◆各務原いつは

この娘は色々悲しい娘ですよね・・・
そんな自分を悲しいとも思わずに堂々と生きている姿はとても美しく立派に思えました
ダメだと思い込むことこそ甘い癒しで単なる逃げ道~っていう着地点は見事だったかなあ、と
それって自分に厳しいようでその実甘やかしてると同義ですもんね。
しっかりとテーマ性を描き切ったラストに感動しました。

ただ、心の底では色々抱えてそうなのは会話の隅々から伝わって来ました。
是非最後までやり抜いて1回は幸せにしてあげて欲しいヒロインです。
そして意外と性欲の強い娘でもある。










その他の部分を語ると、
BGMが洋楽ちっくでやたらオシャレなのが凄く良かったですね
最初は度肝抜かれましたが慣れると「最高じゃん!」って感じになります
そしてサブキャラのエセ中国人がすごく可愛かったんですが彼女のルートがなかったのはやや残念ですね(笑
やたら下方向に会話を持っていこうとするセンスだったり色々笑わせてもらったキャラでした
そのくせSNS上では生真面目なのがまた笑えてきます(笑

主人公の休日の過ごし方がダラダラ+ほぼラーメンを食べに行く~っていうのは怠惰感出ててグッドでした
そんなめちゃくちゃダメ人間風、って訳でもないですがそういう所のディティールに関してはちゃんと拘ってくれてましたね
割とドラマチックさが重視されるエロゲーに於いて「等身大」を突き詰めた傑作の一つだと思います。
ただいつはのルートは結構ドラマ性高いのでその点に於いては割と味わえる節はあるかも。
自分を卑下する事は一見苦労背負ってそうな風にも見えるけど、
そう思い込む事によって実は楽をしてるだけなんだって
そんな事実を教えてもらったゲームでした。最後の最後にメッセージ性を含んでるのがまたニクいですね。


良い夏を過ごさせてもらいました。感謝。



スーパー桃鉄DX 99年プレイの雑感

2014-09-16 | レトロゲーム
こういう状態(敵プレイヤーが借金で独り勝ち)になったのは90年を過ぎてから・・・という超遅咲きでした。








数年前、別館で桃鉄DXを賛辞する記事を書いたんですけど
ちょい久々に99年プレイをやり遂げたら
その時とはまた違った結果と内容になって「やっぱり桃鉄面白れーな。」となってしまったのでもう一度今回の内容を中心に書きたいと思います。

桃鉄は自分なりの戦略を練れば練るほど勝ち抜けるゲームだと思ってるんですが
よく言われるのは貧乏神をとことん遠ざけること(ゴールが目的じゃなくてもいい)とカードの使い方次第・・・の二つですよね
ただ、今回そこに終始してしまった為むしろいつもよりも早い段階で独り勝ち状態になれずに90年目でようやく、って感じになってしまい
別館で上げた記事以下の結果になってしまったんですよね。

反省点としてはもっと貧乏神を「なすりつける」事に尽力する年数があっても良かったかなあ、ということ
もうそろそろゲームも終盤って時にそれに気づいたので完全に後の祭りでした
キングボンビー対策のRXは極端に負ける確率が低いので一体でも手に入れられると中々崩せず・・・
 90年付近の時に目的地が一番入りやすい青森でずっと争ってたあしゅら(いぬぶろ)が一番遠い位置、かつ自分にキングボンビーが付いてたので
「これはチャンスだ」と新幹線カードを使って強引に目的地にin、そこでようやくあしゅらのRXが負けて壊れてくれて勝利を確実なものに出来ました

ちょっと有り体の攻略法を意識し過ぎたせいで今までよりも多少結果的に劣ってしまった今回の99年でした。


それから、ある程度RXが手に入ったらもう先に物件漁りに行った方が良いかも分かんないですね
あまりに貧乏神に付かれないことを意識し過ぎると積極的に物件を漁れなくなるので先に買われてしまう事が多かった
別館の記事の結果はちゃんと自分なりのやり方でやり切った末の結果なので今度またプレイする時はそっちも意識しようかな、と
そんな風に失敗から色々学べた今回の99年プレイでした。

桃鉄はDXのバランスやシステムが自分的に大のお気に入りで、何度やっても同じようなプレイにならないので
やっぱり一生やり続けられるゲームだなあ、とまた再確認したのでした。



今回思ったのは、
佐世保、小倉のゴールドラッシュが凄く
割と九州地方の農林物件が挙げられてますけど
体感的にはそれ以上の収益をもたらしてくれて独り勝ちで無い時に凄く心強かったですね
それと甲府や佐渡の金山、名古屋広島の車イベントもおいしくてそこまで九州の農林物件にこだわることもないかな、と
勿論おいしいっちゃあおいしいので押さえておくに越したことはないですけど。

後は沖縄の破壊力が凄まじいですね
実は途中まで負けてたんですけど沖縄をリニアカード使って買い占めたら一気に巻き返す事が出来ました
ある意味沖縄をいつ買うかが勝負の分かれ目かもしれません 油田も心強い。

それと埋蔵金カードを手に入れた次のターンで埋蔵金が出る、という珍事がありました
特急カードで「3」が出たのは敵2回自分1回で計3回もありましたね(笑
貧乏神の子会社は敵が一回当たって、
選挙はHP30、こうげき30、まもり39、はやさ1にしたら1回だけ勝つ事が出来ました
サッカーは一応契約しますけどほぼ負けっぱなしで御利益全然ですね(笑)。日本シリーズは結構勝てるのになあ。


それから関東周辺の物件を90年台にしてようやくほぼ買い占め完了出来たのは嬉しかったですね
横浜が一回ドジラにやられましたが何と99年の年に買いなおした挙句ドジラにリベンジ出来たのも嬉しかった
桃太郎ランドを一度も買えなかったことは心残りでしたが、まあその分思い出には残ったかなと。
途中で敵プレイヤー達がリニアカード引きまくって一発ゴール合戦になってたのも面白かったかな(笑)。


99年もやってりゃ割と奇跡も起きるのでその点でも99年プレイを推しますね。
やりこめばやりこむほど奥深いゲームの一つです。もはや人生の友レベル。






途中まで関東と中国がどうしても青く出来なかった。


物凄いフォーク。


パトカードはやっぱ怖いので常備必須ですね。ある程度溜まったら。
赤マスはあんまり気にもせず普通に止まってしまうな。

ちなみになぱたって名前のがえんま、いぬぶろって名前のがあしゅらです。あしゅらのが普通に強いですね。毎回。


今日も生きたね/THE NOVEMBERS

2014-09-15 | シングル感想









誰にも見つかる事の無い離島で 咲く花にも美がある
ただそれを思い浮かべられないだけ

それだけのことなんだよ
それだけのことなんだけど   (今日も生きたね)













今年の5月にリリースされたTHE NOVEMBERS2枚目のシングル「今日も生きたね」
前回のシングルはシングルと言っても別にタイトルが付いてましたし曲数も4曲入り約30分とほぼミニアルバムに近い形のシングルでした
それと比べると今回は2曲入り約11分と割とシングルのフォーマットらしいシングルに仕上がっているなあ、という感覚ですね。
 ただ、シェアCDという1枚1080円の中に2枚同内容の音源が入っていて他の人とシェアしたり贈る事が出来るという
多分それやってもお金には結びつかないでしょ、っていう物凄い大胆な規格のシングルにもなってます
別にだからといって「なんて純粋なんだ、お金じゃないんだな」と思うというよりは
自主でしかやれない表現の選択の一つなんだな、と個人的に感じました
単純に素敵な企画だと思いますし、
もしノベンバが好きな知人友人がいたなら是非シェアしてこのシングルを一緒に味わってみて欲しいですね。
2曲ともとても静かで穏やかで、それでいて残酷で凄惨な作中観でもって鳴らされているような楽曲で個人的な満足度は高かったですね。


まず、「今日も生きたね」の方なんですが
ここ最近のノベンバの“穏やかサイド”の極みのような楽曲で
淡々と鳴らされるメロディ、純朴な印象のボーカル、静謐なアレンジと
一切の盛り上がりを排除したミドルバラッドに仕上がっています
過去の曲と比べても相当穏やかな一曲ですが歌詞の方は相変わらずの美しさと醜さを掛け合わせたものになっていて
その作中観に触れてるだけでも個人的には心に沁みた楽曲かなあ・・・って素直に感じました
聴けば聴くほど何もかもが沁み入るような曲で凄く気に入っています。

理屈では納得出来る様々な出来事、仕組み
だけど理屈だけじゃ物悲しくもある出来事や仕組み
それに対するメッセージや投げかけでも何でもない
ただの感嘆、
だけどただの感嘆“だからこそ”聴いててカタルシスを受けられるような楽曲に仕上がっていて
その上で「今日も生きたね」と聴き手に囁くように歌うその塩梅が個人的にはグッと来るなあ、と
この世に満ちている小さな悲しみだったり拭い切れないやるせなさにそっと花を添えるような
そんな風にこの楽曲を味わう事が出来ました
これまでの穏やかで優しく、儚いタイプの曲が好きならばきっと気に入ってくれるかなと。

後半には壮大なコーラスも飛び出しある種のアンセム的雰囲気が出来上がるのにとても感動します。
一曲の中で印象が変わっていく、少し気持ち助けられた気分にもなれるのが素敵な曲ですね。
「それだけのことなんだよ」って歌詞の後に
「それだけのことなんだけど」って言葉が付随するのが一番好きです。



カップリングの「ブルックリン最終出口」はポップスにも近い印象のたおやかな一曲
物凄く爽やかなアレンジと慈しみ溢れる歌声に心癒される楽曲になってますが、
歌詞の方はやっぱりギリギリの精神状態を歌うものだったり、
でも、だからこそ、前述の優しげな歌とメロディが切なく響く楽曲にもなってますね

そもそもこの曲は昔からライブでは結構な頻度で演奏してた曲でコンピレーションアルバムにも提供された初期の名曲の一つです
それが今回改めてシングルのカップリングに収められる、という事で新音源はどんなもんだろうって思ってたんですが
多分今まで聴いてた人にも特に違和感のない、どころか想像より上の「ブルックリン最終出口」だったかと
聴き手を救済するような歌声とメロディ、そしてアンサンブルとの調和は正に名曲という形容が相応しい楽曲になってるんじゃないかと思う

ある意味ポップスファンにも受け入れられそうなメロディラインを考えるにこっちのが表題曲向け、って気もしなくもないですが
コンセプト的には「今日も生きたね」のが表題曲には合ってたんでしょうね。その流れで聴くには2曲目のがベストかな、って気もします。
壮大さ加減では「今日も生きたね」の方が上ですし色々と新鮮でもある曲ですからね。
何にせよ、往年のファンなら是非持っていてもらいたい一枚です。大切な言葉がめいっぱい詰まった好シングルですね。



ここではもう優しくなれなくて
それでもきっとどこでも同じなら
彼はもう   (ブルックリン最終出口)


ちょっと(精神的に)追い詰められた時に聴いて欲しい楽曲です。















聖歌のようでもあり、その真逆の歌でもあるように感じられる
絶妙なシングルだと個人的には感じました。
そんなTHE NOVEMBERSは、
早くも次のアルバムとツアーが決まっていてそっちの方もまた楽しみですね本気で。
今のTHE NOVEMBERSは何やっても間違いない、外さない気がします。それがまた格好良い。


なんて美しい日々だろう
なんて美しい日々なんだろう
君を待つ日々は
なんて美しい世界なんだろう   (今日も生きたね)




Nostalgical Parade/Emerald

2014-09-14 | アルバム感想








誰もが認める晴れた日に 冷や汗かいて倒れてる
運ばれるのは 静かな白い部屋
すべて勘違いだったこと 白状させる   (フラニーの像意)













ナカノヨウスケ率いるEmeraldのファースト・アルバム「Nostalgical Parade」、
これがファーストにして際立った傑作になっていてこの頃よく聴いているアルバムの一つになってます
美しく流麗なメロディ、純朴な雰囲気、思いっきり酸いも甘いも吸い込んで歌ってるボーカルに
それを益々カタルシス満点に昇華させる抜群のアンサンブル・・・と
個人的には(曲数が少なめな事を除けば)非の打ちどころのない作品かなあ、って聴いてて感じますね。

そもそも私はナカノヨウスケの歌声とあの悲しみが80%ぐらいを占めている感情の乗せ方が好きで
ある種彼の歌の虜の一人と言っても過言ではありません
例えちょっと明るい事を歌っていても、
自然と切ない気持ちにもなる
あの表現技法に堪らなく惚れ込んでいる人間としてはそれがこんなにも瑞々しい形で磨き上げられた事に歓びを感じざるを得ません
繊細な気持ち、消え入りそうな感情、胸を締め付ける最低限の温かさ・・・
ペーパーバッグランチボックスとはメンバーも音楽のフォルムも多少変わりましたけど
そういう中でも光っている「ナカノヨウスケらしい切実さ」に今作でもまた胸打たれてしまったのでした


この作品は歌い手ナカノヨウスケの前身バンドであるペーパーバッグランチボックスとはやや表現方法が変わってます
ポエトリーリーディングを取り入れたり全体的にシックで達観したような作中観の楽曲が多い
言い換えれば「大人になった」とも取れると思いますが
その「大人になった」感触のロックサウンドがやたらに格好良く響くアルバムになってると私的に思うんですね
ちょっと不思議で感傷的な世界の幕開けを飾る落ち着いたロックナンバーである表題曲「Nostalgical Parade」の心地良さから
小気味良いポエトリーパートが光る「Brush」はバンド名も歌詞に組み込む“楽しさ”が好感触の一曲
個人的にシングルの時点で大好きだった「フラニーの像意」は今作でも随一に人間の抱える複雑な心情を掘り下げた名曲
そしてライトなポップさが新機軸だと思える「Cryin'Climbing」はその収まりの良いメロディを聴いてるだけでイイ気分に浸れる楽曲
浮遊感と幻想的なフレーバーがこのバンドのポテンシャルを大いに感じさせる美メロの境地「TONIGHT」、
実質ラストの「ふれたい光」は英単語と日本語の組み合わせが歯切れが良く切実でもあるポップソング・・・と
純粋に様々なパターンの楽曲が点在していて
今までのディープな部分を保ったまま、
ちょっと聴きやすく触れやすくあまり根詰めずに自由に楽しんでいる印象のロックでありポップミュージックという感触があって
それは間違いなくエメラルドならではの感触だなあ、って個人的につくづく思う訳です
(勿論ペーパーバッグランチボックスにはペーパーバッグランチボックスならではの感触があった訳ですが)。

より自由に、フラットに、原点に立ち返って無邪気に楽しんでいる音楽ファンとしてのナカノさんが垣間見れるアルバム
ちょっと成長したというかあの時代を経たからこその達観している雰囲気がまた個人的には気持ち的に泣けてイイんですよね
今作で初めてナカノヨウスケの音楽に触れる方もいるとは思いますが
是非さかのぼって過去の音源も聴いて欲しいですね
そういう様々なドラマを経験した末に出された音楽だ、っていう事実がよく分かると思うので。
全体的に粗さがなく、シックで、大人びていて、良質で、それでいて彼特有の切なさも点在していて・・・っていう
ある種の理想にも近いクオリティのファーストアルバムに仕上がってるなと最終的には思いました

実質インタールードを含めなければ7曲のフルアルバムなので、
今後是非ガッツリと10~12曲ぐらいのフルアルバムを作って欲しいですね
この音楽的な幅広さと表現力があればきっと更なる傑作が出来上がると思うので
そう確信させるくらいにはこのバンドの可能性を感じさせてくれたアルバムでした
ナカノさん、いいですよ。ほんと。


そんな中でもキャッチーさを携えて光っているのが「Summer Youth」という曲。


大人になることは 忘れてゆくこと
それでも心に 残っていること


この曲は初めて聴いた時からすぐ好きになった曲で
それは音源で聴いても変わりませんでした
煌びやかで雰囲気たっぷりなギターサウンド、夏の匂い満点のアンサンブルに
ナカノヨウスケの切なさ滲むボーカルが乗っかって絶妙なカタルシスを生んでいます
こう・・・胸の奥のモヤモヤに触れてくれるような曲というか、歌声の時点で悲しみが伝わって来るというか
基本的に感情を抑えてシックに振舞っている曲も多い今作に於いて最強のアクセントとして響いている楽曲ですね
この曲が真ん中に居座っている事でアルバム全体も引き締まった感触もしていて配地の面でも良かったです
本当に煌びやかなギターのアレンジと彼の歌が相乗効果で映えている曲なので
良かったら入口にして欲しいな、と
もう一度ライブで聴く為にまたライブに参加したいと思ってます。

「音を楽しむ」ことに立ち返りつつ、大人になった格好良い姿を見せつつ、
それまでの悲しみや痛みもちゃんと伝わって来るような塩梅が実に素敵な作品でした。
純粋にポップ/ロックのアルバムとしても秀逸だと思ってるので彼の表現が最低限は受け入れられていけばいいと願いつつ。
人間の繊細な気持ちだったり儚さだったり、美しい部分がしっかりと伝わって来るような傑作でした。
これからまた聴き込むと思います。

ああそう、あとエメラルドってバンド名は今になって思うとピッタリだなあ、と
本当に宝石のような音楽だって思うので。うん。
















探してるのは ずっと求めてるのは
ここで いつだって探してるのは
正気になっても覚めぬもの   (フラニーの像意)





HURT/syrup16g

2014-09-13 | アルバム感想









私は高校のとき友達が全くいなくて教室の隅でずっとシロップの曲を聴きながら過ごしてたような人間です
登下校のときも坂道を登るときに響いてたのはシロップの「生きたいよ」だったりもしました
そもそもが中学生の時にNHK-FMのラジオで初めて知って、
そこから今まで要所要所で助けてもらって来ているバンドなだけに新譜を聴くのも再結成に立ち会うのも物凄く緊張する訳です
だから買ってからすぐ聴く、という選択肢は真面目に取れませんでした

いや、その前にシロップの「完結」を見届けた人間としては既に終わったはずの物語がもう一度動いてるような・・・
奇妙というか複雑な気持ちになってたのは隠しようもない事実です
だから正直大手を振って喜ぶ事は当時は出来なかった

しかし、五十嵐隆という人間がこの先どう足掻いてもがいていくのか
それに関しては物凄く興味がありますし、そんな五十嵐隆を観てみたい気持ちの方が強いと言えば強かったのでした
そして今作を聴くと「これしか有り得なかったんだな」としみじみと思えるようなアルバムに仕上がっていて個人的に腑に落ちてしまったんですよね。






「何も知らなかった頃が幸せだった」なんて
うそぶくのが精一杯だ 後ろ暗い防空壕  (Share the light)


価値残れない 現実の先に
衰弱していく 精神の果てに
夢を見ていた    (イカれたHOLIDAYS)


何でもないことが出来ない
当たり前のことが出来ないんだよ   (ゆびきりをしたのは)


一人きりでいるのが長すぎて
急に話しかけられると声出ないよね   (生きているよりマシさ)


「泣いてる?」なんてからかわれても
「意味が分からない。馬鹿じゃん」
くらいしか言い返せないけど   (理想的なスピードで)




上記の詞を読んで欲しい
どう考えてもこの数年間で充実してたり新しいビジョンに向かえてる人間の歌詞ではなく
むしろここ数年間の(であろう)日常の満身創痍っぷりを一気に吐き出すような歌詞になっていて
ある意味リスタート感の全くない痛みや切なさを思いっきり渦にして描いたような重たいアルバムになっています
しかしだからこそ色々説得力があるというか、成るべくして成った道なのがよく分かり得るような作品に仕上がっていて
往年のシロップファンは勿論劣等感や日々の燻りに苛まれている人間が聴けばすぐに沁み入るようなアルバムにもなっているかな、と
本当にボロボロの心境を丁寧に切り取った曲が多いのでその圧倒的な負のオーラに触れているだけでも癒される新作になっています
特にテーマ性等を感じずここ数年の五十嵐隆の心境・心情だけを最高のリズム隊でもって豪華に表現されたような
ある種のドキュメント的アルバムにもなっているかもしれません

正直かなりグッとくる曲がいくつかあったし、その他の曲も一定のクオリティを保っているので
一つのアルバムとしては傑作と言っても差し支えないんじゃないか、と個人的には感じています
多分このアルバムは人間そのものがそのまんまアルバムになっちゃったように思えますね


シロップは鬱、ネガティブ等の言葉で括られる事の多いバンドですけど
でもよくよく考えてみりゃ日常生活でいつだって「頑張ります!」なんて気分で居る人間のが少ないと思うし
シロップの歌詞のようなことを考えたり思ったりするのって実は物凄く普遍的なことだと私は思うんですね
そもそも鬱やネガティブ自体誰もがある程度抱いてるものなんだから本当に思ってる事、感じてる事をストレートに出してくれてる印象で
だからこそ、聴いてる人にとってそれがある種「普遍的」だからこそ望まれてるしヒットチャートにも食い込むんだと思います
みんな「こう思いたい」って歌ってる中でシロップは「こう思う」って人間の素直な感情を出してるだけなんですね
でもそれがみんな出来ないからこそシロップはこれだけ崇拝されてるし拠り所にするんだと思います
そういう事をこのアルバムを聴いてて、
特に「生きているよりマシさ」を聴いて個人的に深く感じました
正直、死んでいるほうがマシさ 生きているよりマシさって歌詞に近い感情を私も普通に抱きますから
真に、本当の意味で普遍的なことをごまかさずに繕わずに身を粉にして歌ってくれるシロップの有り難さが身に沁みるようなアルバムにもなったと思います
五十嵐隆が曲を書いてそれをあの二人がサポートすればまず間違いはないだろう~って思ってましたけど
本当にその通りの、ファンならきっと気に入るような作品に仕上がってると思います

一曲一曲が粒ぞろい、っていうよりは割と流れでしっかりと聴くタイプのアルバムになってるので
ことキャッチー要素に関して言えばそこまで濃いわけではありませんが、それでも決して比べて軽視してはいけないクオリティですね
何度も繰り返し聴いてると沁みる曲があったり最初から派手だなー、と思う曲もあったりユニークですし面白いアルバムかと
満身創痍の姿を晒している印象の作品ではありますがその分じたばた足掻くエネルギーも存分に感じられると思います。


更にこのアルバムで好きなのは最後の方の曲が少し明るめになってる事ですね
それらの曲(宇宙遊泳、旅立ちの歌)がなければただ単にこの数年間のドキュメントになっていたでしょうが
この2曲でもって終わる事によって凄く作品として成立している感触を個人的に受けるんですね
散々、何も無い、満身創痍、でも、だからこそ―
という感じで
きっちり作品に意志だったり意図を込めて終わっている気がして。
私的に「旅立ちの歌」がお蔵入りにならなくて本当に良かったなあ、と思いますし
それまでの辛さや痛みがあったからこそ「宇宙遊泳」の希望にも溢れたアンサンブルと歌が切なくも響くんだと思います
そういうバランスだったりドキュメント的な側面であったり、
最後に最低限の前向きさを入れる事によって「これから」を示唆している塩梅だったり
様々な面を含めて考慮して最終的には「好きなアルバムです。」と改めて太鼓判を押したいと思います
始まる前は色々複雑でもあったけども
これを聴いたらその足掻く姿をこれからも勇気に換えさせてもらうよ。と
素直に言いたくなったのも事実と言えば事実ですね。

また、ライブで聴いたら気持ちが盛り上がりそうな曲(Share the light、Stop Brain、宇宙遊泳等)があるので
今回のリリースツアーに参加するのもとっても楽しみですし聴いてる内に新曲を直に触れたくもなって来ました
ドキュメント的側面で聴き手に癒しを与えつつ、その先もきちんと提示した素晴らしいリスタート作だったと
結局はそういう風に純粋に思えました。あくまで「個人的な」感想ですが。

「HURT」、支持します。











君と居られたのが嬉しい
間違いだったけど嬉しい
会えないのはちょっと寂しい
誰かの君になっててもいい 嬉しい  (生きているよりマシさ)



今作で特に好きなフレーズです。
「Stop Brain」の「思考停止が唯一の希望」ってフレーズも大好きですが!



スターマイン/ランクヘッド

2014-09-12 | シングル感想









救われはしない 消えない傷を抱えて
それでも生きていく 明日笑える様に










先月、タワーレコード他一部店舗限定で約1年ぶりの音源として出されたニュー・シングル「スターマイン」
今年でメジャーデビュー10周年を迎える節目の年の記念としてリリースされた意味合いの強い「お祭りソング」なんですが
それ以上にランクヘッドの記名性と新機軸が見事に打ち出された好シングルに仕上がってると感じました。

まず、このシングルを聴いて感じたのはやっぱりランクヘッドは「リフ」のバンドなんだなあ、ということ
日本でリフ主体のロックバンドと言えば今やベテランの域に入って来たTRICERATOPSがまず思い浮かぶんですが
ランクヘッドもまた長年歴史を積み重ねて来た事もありそのポジションに近いんじゃないかなあ・・・って個人的に感じました
要はトライセラ等と引けを取らないくらい強烈なリフを生み出して来てるし今もこだわってるんだなという事をこの曲を聴いて
大いに感じたんですよね
それくらいリフだけで既にノれちゃうような曲にもなってますね

ただ、そういうある意味「王道」のらしさを打ち出しながらも
アレンジに関しては、本当の意味でお祭りっぽい賑やかでありつつ攻撃的なアレンジになっています
お祭りを意識したドラミングに性急なビートが重なって未曾有の気持ち良さを生んでるこの曲
前述の通りキレ味抜群のリフ主体でありながらバックで鳴ってるのがお祭りライクなサウンドなので
「お祭りソング」とは宣伝しつつもそこまでビートが軽くなってはいないのが特徴的かつ
いつも通りのリフ主体でありながらバックビートのお陰で新鮮な印象も抱けるという
正に一粒で二度おいしい、的なシングルになっていると思います
ある種ソカにも通じるような聴き手のノせ方は10周年を迎えたこのタイミングで打ち出すナンバーとしては凄く新機軸な感じもしていて
尽きない創作への情熱をひそかに感じる事の出来たシングルでもありました

10周年の記念碑、又はライブツアーの予習的な意味合いが強いシングルですけど
純粋に作品としてもユニークで面白いシングルになってるのでファンは是非チェックして欲しいですね
しかし本当にライブではめちゃめちゃ盛り上がりそうで今から参加が楽しみになって来ますね(笑


それともう一つ、そんな攻め気を忘れないアグレッシブなサウンドになっているのにも関わらず
歌詞はそこまでノリノリでもない・・・どころかちょっと寂しげな感じにもなっているのがまた「らしい」ですね
色々経験を重ねて擦り減ったものも多々ありつつ、しんどいながらもちょっとの幸せに向かって生きる・・・という
情景描写も含めて少しおセンチなノリに仕上がってるのがまたランクヘッドの記名性に溢れててイイです
あの日出会った少女は今どうしてるのかな?幸せに過ごしているのかな、とか
そういう作中観が好きな自分にとってはとても好きな歌詞でした
ある意味刹那的な歓びに終始してるのがなんだか切なくて印象に残るナンバーにもなってますね。











ある種「10周年記念」的なノリはありつつも、しっかりと「らしさ」を新鮮味ももって示した力作でした。
メロディも抜群に良いですしこのタイミングで打ち出すには相応しい名曲だと思います。
カップリングのライブバージョンも部屋にいながらライブのノリを疑似体験出来る内容になってて好感触でしたね。





今だけは誰もが許されて
空に咲く夢を見ていた




ヤングジャンプ 2014年41号 感想(ボクガール34話ほか)

2014-09-11 | ヤングジャンプ感想









次号、「ボクガール」が巻頭カラーと聞いて本格的にヤンジャン派になってしまいそう。









☆もぐささん 第28話「告白と百草さん」

このところ絶好調ですね
小口の誠実・・・でもありちょっと天真爛漫でもある語り口がとても良かったです
これはちょっと百草さんもグッと来ただろうし後々の恋心発覚にも繋がっていけばいいな、と(笑
小口の「告白」を聞いた後の「ありがとね」と優しく微笑みかける百草さんが正に天使でした
その内百草さんの心情等も語られるといいなあ、とか思いつつ
安定のニヤニヤ製造マシーンっぷりでここ最近のヤンジャンでも特に夢中になって読んでいる連載の一つですね
とにかく純朴な二人の青春模様がたまらないんだこれが。

もうひとつ「告白」をしたんですけど、「食べ友」・・・要は食べ歩きの友になろう、と
最後の百草さんのセリフはまるでお嫁さんにもらってもらうかのようなセリフでドキッとしたんですけど
これをきっかけにどんどん良い感じの仲になっていければいいなあって素直に思いましたね
猫百草さんも可愛かったなあ。勿論屋台の焼きそばを食べるシーンもね!



◆パープル式部

オタサーの人たちちょろいなあ・・・(笑
青木さんの想像のオタク像がちょっと面白かった
そんな奴ばかりじゃないって。



◆ゴールデンカムイ

アシリパさん可愛いなあ。
ちっこかったり子供みたいに怒ったりマスコットとしても女性としても可愛いよ
確かにどんな奴でも手に掛けるんだろうか?って思ってたから絵画なのは良い手段かと
ただ後半「手加減出来ない相手」と出てきたからにはその限りではない事態も起こりそうですけど。
何にせよサバイバル的にも人間関係的にも随分楽しみな新連載だと思います
そしてアシリパさんが色々気になりますよ。ええ。



◆リクドウ

今週出てませんでしたけどヒロインの苗代さんがとても可愛らしい&心配性で良い感じです
そして今週はトラウマを引き起こす為の一方的な防戦っぷり。
来週のリクの反撃に期待です。

「亡霊」を打ち消す為に闘ってる~ってテーマは好きです。



◆ボクガール

まあ現実も不安定な気候だしねえ・・・と言いつつ
随分山田に都合の良い展開に笑いました(笑
冒頭から濡れ透け、
そして今度は下着着用!!と今週も良い具合のサービス模様を楽しませてもらいました

にしてもここまで散々じらした甲斐あって瑞樹の下着姿は眼福も眼福でしたね
いつもの裸とはまた全然違う官能的な感触があったというか、、、
なんならちょっと感動したくらいです(笑
ニヤニヤも止まらないし、
読んでると興奮してくるし・・・下着履いただけでここまで読者的にグッと来る作品も早々あるまい
その姿を鏡で見て少しぽーっとしている瑞樹がまた可愛いんだなこれが!
早く猛の反応も拝みたいですし、なんなら藤原さんの反応もいつか観てみたい(笑
山田のオチも含めて2週間ぶりの「ボクガール」を堪能出来ました。

そして次号は巻頭カラーです!
コミックスが売れた事でちょっと立ち位置も変わったかな?
何にせよ「ボクガール」「もぐささん」が個人的に2トップなので巻頭なのは嬉しいですね
週ジャンでもお色気ラブコメをこのくらいプッシュしてくれたらなあ(笑)。
取り敢えず毎週アンケを入れてて良かったです。




◆思春期サァカス

こういう無垢な子たちが下ネタを言い合ってるの癒されます。
ラブホテルっていう不似合いな言葉を口に出す真珠が可愛いな。











後は「しらたまくん」「べしゃり暮らし」等も好きです。



【祝!20周年】快楽天 2014年10月号 感想

2014-09-10 | 快楽天







まずは20周年おめでとうございます!
20周年と言っても20年前は普通に買えない・・・というか小学生だったんで(笑
その頃からの想い~というのは物理的に持ち得ないんですがそれでもそこそこ長く読んでるので
これから先も良い作家を育てて成年漫画界を引っ張っていく存在であれば良いですね
ちなみに私は関谷あさみ目当てでチェックし始めました。だから村田さんの表紙はリアルタイムだと初なんですよね。
記念号に相応しいゴージャスな表紙になっているなあ、と素直に思います。









◆婿殿Uターンシップ?/こんちき

こんちきさんがここまでストレートな純愛ものを連発するのも早々ないですね
そしてそのクオリティが高い為に益々グッとくる仕上がりになってます
割とコメディに振り切れた作品が散見される中で
こんだけど真ん中の王道を描いても全然イケちゃう・・・どころかある意味適正なのでは?とすら思える
それくらい優奈と龍ちゃんの関係性や描写の数々にはニヤニヤさせていただきました
ちょっと懐かしいテイスト(カップルを阻害する一派とか)も手伝って世代的にも随分楽しませてもらった気がする
最終的に認めてもらった顛末も、あのオチも含めて(笑)真っ当に純愛コメディを貫けてた印象で凄く良かったと思います
メイン二人も最高ですけどトメ吉のキャラも際立ってましたね~
あの人結構好きです(笑

成年漫画の魅力は単に性的目線だけではなく、行為を絡めることによって
一般漫画では表現出来ない強い結びつき、純愛の深さを表現出来るのもあると個人的に思ってます
そんな持論を確信させるような作品でした(前回のも含めて、ね)。
そして優奈の可愛さは大正義!



◆なつのおわりに/いぬぶろ

ひなこちゃん可愛いな・・・
いぬぶろさんの描く女性は妙に生々しい色気があるというか
その色気で以ってこういうちょっと扇情的な小悪魔系女子を表現されると堪らないですね
外見はまだ幼さが残るのにアプローチや実態は大胆なのって凄く背徳感をそそられる感じでイイです
あどけなさと魔性の魅力が良いバランスで混在している良作だと思います
最後のオチもちょっとした傷を残す方向性で印象に残りますね。

でも本人(ひなこ)は半分は天然なんだろうから、そう考えると
余計に切ない感じもして、だからこそ素直に印象に残るオチとして受け入れられるんだろうな。
これが全部計算だったら笑えないからねえ。でもそんなひなこちゃんが大好きです。



◆お姫様のひみつ/mogg

前回の「ガールズ・トーク」には未だにお世話になってますね(笑
そこから一転、今回はまた乱れもの・・・と思わせて最後は純愛で終わる、という
中々に挑戦的な作風に仕上がっております
凄くドラマがあって面白かったんですけど、比喩表現も冴えててそういった独特な表現もまた印象に残りました
読んでてドリーミーに感じるというか、でもそこが最大の持ち味になってて雰囲気あるなあというか。
何よりもヒロインの花梨が本当にお姫様ライクなルックスなのが一番素晴らしかった
その画力の高さ、にも唸らされた一作

とても繊細な画風、作風なのにも関わらず肉感的な行為のシーンもまたイイですね
今回のヒロインは多少膨らみも目立つのでそれもあって余計にお世話になりたくなりますね(笑
冒頭のいかにも遊び人風の淫らなシーンよりも後半の清楚でありながら扇情的な表情を見せるシーンのが個人的に好きだ。
要は可憐で官能的なのは最高って事ですね!



◆ありすちゃんのラブラブれぽ/もず

これは相当の狂気を感じますね
その前にまずありすちゃんが普通に可愛い、ってところからなんですが
だからこそ、本当に良い子だって描いてるからこそ従順に淫らになっていく過程に興奮出来る
彼女のドキドキや堕ちていく快感を読者もリアルに共有出来るような作品になってるかなあ、と
敢えて主人公のありすの相手をぼかし気味に描いてるのが正に象徴的です
露出モノ好きにとっても良質の成年作品だなあって感じました。
友人たちの反応も面白い(笑
最初は明らかに茶化してるのにどんどん青ざめていく過程もコミカルでしたね
でもこういうギリギリの作品もまた読者のドキドキを煽れる立派なエンタメだと思いました

ありすちゃんは外見もちょっとポチャっとしてて自分好みですね
ポチャって言っても顔はしっかりスリムなんで絶妙なポチャっぷりが何とも
震えながら車内や車外で裸で居るシーンの数々は表情の妙もあってやたら興奮しました
それでいて肉付きのいいムチムチっぷりだったり、耐えきれず即座に求めるあいらしさだったり
単にコンセプトが秀逸なだけじゃなく土台となるキャラ描写がしっかりしているのが尚良かったです
やはり成年漫画はバックボーンが重要だなあ、と改めて感じた一作。
最後のありすの表情がまた狂気を際立てていてベターでした。
















次号は敬愛するきいさん、ひげなむちさん登場でまたも俺得号です!




東京/きのこ帝国

2014-09-09 | シングル感想








聴いていて思いきり泣いてしまった。










この「東京」は元々今年初頭のワンマンツアーで新曲として披露されてた一曲で
アンコール時ちょっと張り詰めた空気の中、一気に場の雰囲気が温かく滲んだ事を思い出しました
その時も凄い良い曲だなあ・・・って素直に感じたんですけど
音源で聴いたらストレートに泣いちゃいましたね。
名曲だと思います。


透き通るようなコーラスワークに優しさ溢れる歌声、情感を煽るアレンジと
どこを切っても隙のない良質なロックナンバーに仕上がってるんですけど
何が一番良いかって言ったら
すごく「すがりつく」ような感覚が個人的にあって
他者に対して疑念と不安を逐一抱きつつも何とか信じていたい
これで良いと決め付けていたい、これがあれば生きていけると思っていたい―
そういう迷いや不安も優しさ溢れる歌声の中に混じっているからこそ自分はこの曲が大好きで
ある意味そういう不安定さこそ人間の本質だと思うから聴いててかなり頷ける一曲に仕上がってるんですよね
少し満たされた状況に対して疑心暗鬼になったり、「馬鹿げてる」と歌ったり
そういう不安定さを噛み砕いて受け入れたその上で確かに鳴らされているからこそこの曲に物凄く惹かれているのかもしれません

もうひとつ「泣けた要因」を記述するならば、
これまで軋轢や失望を何度も繰り返し歌って奏でて来たきのこ帝国が
こういう強く強く優しさを振りまく楽曲を発表出来たその事実
歌えるようになった変遷を含めて泣けたのかも
また改めて感じたのが佐藤さんの歌がとっても上手いんですよね
ちゃんと丁寧に歌詞の心情をダイレクトに絞り出すことに成功出来ているというか
ある種ボーカリストとしての成長だったり技術的な躍進を感じられるシングルにもなってます

歌い手の優しさや歓び、(他者に対する)愛おしさが真っ直ぐに伝わって来る楽曲になってますが
それと同時にそこに付随する不安や迷いも確かに歌い上げ、
最終的には傷付く事すら覚悟して終わりに向かう
凄く「今」にすがりつくような
刹那的な感覚がありつつもその「切実さ」に泣けてしまう一曲になってるかと
この曲を聴いてるとその切実さに胸打たれて感情が揺さぶられてしまうのが個人的にツボです
なんと100円で売ってるので店舗限定ですが、シングルでしっかり向き合って欲しい楽曲なので、是非。


秋にはニューアルバム発売、
更にその後東阪ツアーも控えてるのでその辺も楽しみですね
ある種の決定打とも思えるシングルでした。








日々あなたを想い描く
ただそれだけで息をしている
馬鹿げてる馬鹿げているけど
あなたをみつけた
この街の名は、東京


完全に、満たされることに慣れてない人の歌として歌われてるのが素敵だなあ、と。



サクラサクラ 5巻/もりしげ

2014-09-08 | 単行本感想










濡れ透けの表紙が素晴らしいです。桜子はほんと可愛いなあ。











春はやっぱり女装が似合ってましたね~、というのは置いといて(笑
そんな春の「誠実さ」が要所要所で出ていた巻でした
春のいいところは思春期男子らしく揺さぶりには弱いですけどその分一途なんですよね
桜子が春に多少いじわるな目配せをすれば動揺してジェラシーを抱いたり
桜子に対する想いだったり献身的な態度が半端ないですね
散々誘惑された後でも、
結局は一番に桜子を案じられるあたり安心して読んでいられる心地良さがあります
態度は多少ブレしても芯の部分は全くブレてないというか・・・やっぱラブコメは主人公も大事ですね
その上思春期の悶々に苛まれても最終的には女の子を大切に出来る真摯なところも好みです
あのままやっちゃってたら多分物語が軽くなると思うからね。
好手でした。

その一歩手前で踏み止まったこの巻最大の山場は正直ヤバかったですね(笑
正直に書くと即お世話になったレベルのお色気シーンでありましたが
流石に少年誌ですので前述のように本番突入はなし
でも逆に寸止めだからこそドキドキ感が半端なくて個人的に興奮してしまいました
ディープキス完遂の上にB、そして下着にまで着手して桜子もきっとドキドキだったでしょう
ただその桜子がちょっと流された事で新たに生まれる春の悶々―っていう構成が上手いです
早くも6巻を読むのが楽しみすぎるんですが(笑
春も中々いじらしい男の子ですね
素直に春の暴走に身を委ねかけた桜子もやっぱり可愛いな、と思いました


そんな風に思春期特有の異性意識にページを大幅に割いた内容になっています
その中で桜子が「これでいいのか」って悩んだり教師がアドバイスしたり正に青春ですね
多分ここまでこの漫画を読んで来たならば素直に一歩進んだ作劇を楽しめるのでは
コレットさんも敷島さんも攻めててニヤニヤラブコメとして最高でした
コレットさんに関しては所詮は動物、と達観し切っていて
その対比も面白かったです
桜子もコレットもたぶん両者とも考え方としては間違ってないんでしょうけど
だからこそこの後どういう変遷を辿っていくのか・・・に注目ですね
それぞれのヒロインの可愛さ、サービスを楽しめましたし
そういう中で桜子に対し一途さや献身性を見せる春の誠実さも楽しめた
加えて初期は尖っていた桜子が春のご飯を本当に楽しみにしている姿や彼の事を気遣う態度など
ただ単にツンが緩和されただけじゃなく精神的に成長してる部分が垣間見れたのも良かった
順当にラブコメとして真っすぐ展開されてる気がするのでこの調子で続巻も期待です
発売前からワクワクして待ってただけに私的に満足出来る内容でとても良かった。

それとコレットさんが一番つつましいスタイルなので
ドレスを着せるシーンの彼女の怒りの描写が面白かったですね(笑
春の女装関連のネタもコメディ的に笑えましたし教師の橘先生のキャラもとても良かった
細かい周辺描写の数々も個人的にお気に入りですね
衣装の幅も広くて、
様々なコスチュームを楽しめたのも視覚的に良かったです
いつか春はちょっと女装癖を抱きそうな気も読んでて感じたりしました(笑)。


それにしても橘先生の「だったら今は「雌」である自分を楽しみなさい」ってセリフは凄く素敵ですね
そういう性質に負い目を感じてる人も居るとは思うけど、結局そこからは逃れられないですから
時には受け入れる事も重要なのかもしれないですね。
言われた後の桜子の表情も可愛かった!













サービスシーンがちょくちょくあって、
でも主人公の誠実さには変わりがなくて
それ以外の要素もちゃんと面白いラブコメはやっぱイイなと
ハーレムっちゃあハーレムですけど状況が状況なだけに切実な感触もあるのが他との一番の違いです。
ここまで来ても私は桜子派ですけどコレットさんもコレットさんで色々自覚的で良いキャラですね。
今(個人的に)信頼を置いてるラブコメ漫画のひとつです。