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鬼才、一般紙に猛攻開始! 知るかバカうどん「君に愛されて痛かった」 第1話「居場所」 感想

2017-06-06 | 知るかバカうどん
                                            
                                               刮目せよ!!
                                          血まみれのカラーページだっ!!!!













今の世の中、「正しい人間が正しい事をする物語」があまりに多すぎると思う
そりゃ誰だって正しく愉快に懸命に生きる事が出来たらそりゃ嬉しいし本懐だろうけど、
誰もがそんな生き方が出来るなら誰もうつ病にはならないし、自死など選ばない世の中になっているはずなんです
なんで、そういう(最近よく見るネタ的な使い方ではなく)「闇」の部分にスポットを当てたがらないのか、、、と
個人的には常々感じてたりもするんです

1年半前、冬のコミケで初めて知るかバカうどん氏の同人誌を購入した
そこで描かれていた「嘘もつかない純粋な存在」という作品の暴力性と理不尽さと虚しさに衝撃を受け、
一気にファンになったんですが、もう既にその頃はそこそこ人気が出始めていた頃だったので
いずれ一般に行く事はなんとなく分かっていました
しかも、双葉社ってところも、なんというか、「ああ、なんか取りそう」って感じで納得度が半端ないですね笑
そんな氏の一般誌デビュー作は想像以上に“正しく”、そして衝撃的な面白さを含む新作に仕上がっていました。



バカうどん節、炸裂!って感じの1コマ(笑


大勢で、仲間で集まって楽しく・・・と言えば聞こえはいいが、
個人的には大勢で居れば大勢で居るほど逆に孤独を感じてしまう
この漫画の主人公のように、群れの中で「自分だけは違う」という事実に気付いてしまうからだ
まるで空気を吸うかのように他人に上手く合わせられたり同調出来たり、或いはマジョリティ側の人間ならそれでいい
でも、「そうではない人間」は居れば居るほど理不尽なダメージが自分に「だけ」蓄積していくだけだ
そうなると、自分の存在がどんどん曖昧になっていく
誰かに必要とされたくなる
それも、ただ必要とされるだけじゃダメで、
「自分がナンバーワン」ってくらい誰かに愛されたくなる
そりゃそうだ、「色々居る中の一人」程度の認識で嬉しい気分になる人なんていない

周りにも溶け込めず、
要領も悪く、
常に誰かの顔色を伺って生きている・・・
そんな人生が果たして「楽しい」って言えるだろうか
「生きてる」って言えるだろうか
正しく生きれる人間はそれでいい
要領よく生きれる人間はそれでいい
だけど、どの群れからも外れてしまうような欠陥品のような人間はどこへ行けばいいんだろう
そこで踏み止まって辛抱出来るか否か、、、が分かれ目なんでしょうけど、達観した大人ならいざ知らず、
かなえはまだまだ10代のコドモですから、そこで節度を取れず、「そういう行動」に出てしまったんだろうなあ・・・と思う。

見知らぬおじさんに抱かれて、
でもキョロ充かつ要領の悪い自分を誰よりも必要としてくれて、
愛されている実感を経てまるで赤子のように必死に幸せを求めているかなえの姿は
ある種醜悪でありながら気持ち泣けちゃうくらいに感情移入出来るものだった
どこに居ても、
どこに行っても満たされない
目に付くのはいつだって要領の悪い自分ばかり
だからこそ、「無条件に愛してくれる」そういう行為に手を染めてしまったんでしょうね。





それは健全な学生としては間違ってるのかもしれない
だけど、そんな感情自体はとても生々しくて切実なものだ
例えば、自死は一般的に「悪い事」とされてるけど、
そうなるまでに至った経緯や人それぞれで心の強弱が違う、という事実があまりにも加味されてないと思う
愛嬌があって、要領が良くて、空気が読めて、周りに合わせて自分を曲げる事が出来る、
或いは周りと同じ又は近い感性を持っている・・・そんな人間ばかりではないのだ
男は快楽を求める為のセックス、
女は愛欲を高める為のセックス。。
そんな姿がとてもきれいに描かれている初回はインパクトと面白味抜群の出だしだったと思う。

また、去年のヤンキーJCの頃から思ってたんですが、
絵に官能的な魅力が加わったと感じてます
以前は衝撃性だけでエロさに関してはそこまで、、、だったんですけど、
今はとても肉感的な絵を描かれますし、元々の女の子の可愛さもあって
素直にグッと来る感じの作画に仕上がってるなあ、、、と感じましたね
それと、純粋にかなえが可愛いですね(笑
セックスの時の感じてる仕草、紅潮した表情、エロい手さばき・・・その全部が魅力的で
そりゃ男としても夢中になっちゃうよな、本当に俺で感じてると思っちゃうよな、、、って感じました笑
そういう男を陶酔させるテクニックを持つ女性を描けるのはやはり女流作家ならではの持ち味ではないでしょうか
この1話では主に主人公かなえの援○交際のシーンが中心なんですが、男女で同じセックスをしていても
その価値の置き方がまるで違う風に描かれている辺りが流石だな。。と思ってしまいました
こーゆーのは男性には描けないでしょうねえ。






誰だって必要とされたい。
誰かのナンバーワンでいたい。
2番手3番手4番手その他大勢じゃきっと満足し切れない。
無条件に愛されたい
自分のすべてを愛して欲しい
寂しくてやり切れない気持ちを救って欲しい―――――
そんな想いに駆られるかなえが、そんな想いを誰かに思い切りぶつけまくる「旅」が始まりました
その行先は冒頭で示されている通り、ハッピーエンドどころか盛大な脱線で締めくくられるんでしょうが、
先に物凄いバッドエンドが示されているだけに、どうやってそこまで辿り着くのか・・・楽しみですね

人間なんて、そんなきれいな生き物じゃない。
遠くから見れば美しく見えても、
内情は醜いし、
笑顔で他人にナイフを投げ付けられる人間ばかりなのが現実で。
周りに染まる事が出来ない人間に居場所が決してないのが真実で。
そういう事を・・・バカうどん氏は描いてくれると思います
そして、そういう表現こそ今の自分に必要なものの一つ、、、だったりします。

ちなみに、
タイトルはそのままの意味合いに加えて
「君に愛されていたかった」のダブルミーニングでしょうね
これ今誰の感想も見ずに書いたんですけど、被ってたら嫌だな。。と思いつつ(笑
これから毎月漫画アクションを購入して物語を追っていくのが楽しみです
過去作の感想も(同人誌や単行本など)書いてるので同カテゴリーから是非見てみて下さい
今回は曲がりなりにも一般漫画としての掲載になるので、胸を張って応援していきたいと思う。最高でした。





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