天文11年(1542)7月の出来事。
諏訪頼重と禰々、寅王丸は、甲府に護送されます。
いつか会える日まで、と諏訪に嫁ぐ時に晴信から貰ったお守りを、由布姫に渡す禰々。
甲斐では禰々と寅王丸が、躑躅ヶ崎館に。
頼重は寺に連れられていました。
その頃晴信は板垣と共に、高遠の本陣で和議を結ぼうとしていました。
宮川の西を高遠の、東を武田の領地とすることに意義のある高遠。
諏訪神社の大祝をするからには、諏訪の地は全て高遠のものだと言うのです。
今まで大祝をしていた頼重の弟は、既に降伏し武田の手中に。
その跡を継いでその職に付くのなら、高遠は武田の配下で知行として土地を与えられるということになり、その立場で武田に逆らうのなら、それは武田の敵ということ、と晴信は強く言います。
憤慨する高遠ですが、先に約定を違えたのは誰だと言われると、言い返す事が出来ません。
あ、言い返してましたね。
人は言い包められても諏訪の神様が黙ってないぞと言うようなことを。
勘助だけでなく、晴信も人相が変りましたね。
そして、肝が据わっているというか、何を言われても負けませんね。
既に諏訪大明神には帰依しているから、ご心配なく、ということで、今度こそ高遠は言葉を無くします。
諏訪大明神は、こんな人々を見て本当に何を思ったのでしょうか。
それにしても高遠兄弟、大祝という職が似合わないです。
上原城に僅かの兵を残し、諏訪から戻った晴信。
頼重夫妻と顔を合わせます。
武田の扱いに疑問を抱く二人。
禰々の目はいつも悲しげに涙を浮かべています。
人払いをして晴信と二人だけで話をしようとする頼重。
前回の勘助のでっち上げの話では、高遠が諏訪を騙し、陥れていたことになっていました。
その無念を晴らすべく、諏訪と武田が手を結ぼうという申し出に、晴信は冷たく
「元服した寅王丸が諏訪を継ぎ、父の無念を晴らすだろう。
その時武田は援軍を出す」
と言います。
今や甲斐と誼(よしみ)のあるのは寅王丸のみ、と言い放つ晴信。
先に誼を蔑ろにしたのはどなたでござろうと言われては、どうしようもありません。
寅王丸を託すことだけ約束し、自分は武田の望みどおり切腹することに。
死ぬ間際に勘助から、本当は武田が高遠を調略していたことを聞き出した、頼重はどんな気持ちだったでしょうか。
全て元を辿れば身から出た錆なので、誰かを恨むというわけにも行かないですね。
切腹の前に禰々に手紙をしたためる頼重。
前日舞を見ながら、悲しい運命を感じ取り、人知れず手を繋いでいたところはなんとも切なかったですね。
(人知れずなのに、勘助は見てしまったのであった。
勘助も辛そうな表情だったのが、せめてもの救いです)
桑原城に残る諏訪家の人々に、領主と大祝が戦の責任を取って自害し、領主の願いで禰々と寅王丸が武田に託されたと言う書状が届きます。
辞世の句
「おのづから 枯れ果てにけり 草の芽の
主あらばこそ 又もむすばめ」
に、父の無念を感じた由布姫の、武田を恨む気持ちは強くなります。
表では非道な決断を下す晴信も、心の中ではそれを憂いているようでした。
主君としての戦、家督を継ぐものの定めを感じる晴信。
父・信虎のことを思い浮かべることもあるのでしょうね。
諏訪の残党のことを板垣に託す晴信。
後に憂いを残すな、災いの種を残すな、と言うことで、寅王丸以外の諏訪一族は全て根絶やしにしようということになります。
板垣と勘助が桑原城に残党討伐に行く間に、武田の重臣たちの間では、鬼美濃が言い出したことで勘助の話題で盛り上がって(もないか)いました。
妻がいたこと。
信虎に、妻もまだ見ぬ子の命も奪われたこと。
鬼美濃は、今の勘助からははあの頃持っていた恨みは感じられない、と言います。
教来石が自分が斬られそうになった時に感じたこと。
今の勘助から感じることは、主君のためならば人の心も捨てる、この一言に尽きるようです。
人の心を捨てて、桑原城に向かった勘助でしたが、諏訪の残党の中にいた平蔵を武田の兵として参加していた太吉や伝兵衛のお陰もあって、うやむやのうちに生け捕り、多分甲斐に連れて行って・・・どうするつもりなんでしょうね。
奥の部屋にいた由布姫は、自刃を拒み勘助に斬りかかり、そして言います。
「死ぬのは怖くないが、生き地獄だからこそ、生きてこの目で見てみたい」
その気高い美しさに、勘助は一瞬にして心を奪われる←つい公式のあらすじから引用してしまいました。
そういうことなんですね。
摩利支天が二人を引き合わせた、と言ってもいいのかも知れません。
由布姫の生きることへの執着に、ミツを感じた勘助は、由布姫の手を取って炎の立ち始めた城を離れ、逃げるようにと言ってしまうのですが・・・。
平蔵のことも、由布姫のことも、勘助心が鬼になりきれてません。
頼重切腹の折も、心は打たれている雨と同じ気持ちでしたね。
非道な顔の晴信からも、勘助からも、その陰に憂いの心があるのだという事が垣間見えた今回の話には、ちょっとほっとしてしまった私です。
武田側から見た描き方をしているという、思うつぼなのかも知れないけれど。
それから由布姫って、きつい表情をしているけれど、結構幼い感じもあるかな、と言う新たな発見がありました。
この状況で寅王丸が成長していったとして、果たして晴信の願いどおりになるのかしら、由布姫ではありませんが、それを見てみたいと思いました。
今回も小山田様、他の重臣たちとは少し距離を置いたポジションでの、貴重な一場面がありましたね。
今日も一場面だけだった、なればこそ楽しめた、と言う感じでした。
ご参考にどうぞ。
「風林火山」公式HP
なのでコメントだけですが~
護送先の武田家で禰々と頼重がお能の席でお互いの手を静かに伸ばして握りました。
禰々の涙を溜めた悲しげな表情が印象的でしたね。
もう頼重との、もしやこれが最後と悟っていたのでしょうか?
由布姫の勘助に身体ごと斬りかかるシーンも迫力がありました!
成長していく寅王丸、武田の血もあるが諏訪の血もあるわけで・・・
後にどう思うのか?
それにしてもこの時代は生きるか死ぬか、大変です!
このときは、ただの負け惜しみのように聞こえますが、本当に諏訪大明神は黙っていませんでした。
武田は由布姫の子(勝頼)により滅亡、諏訪は江戸時代に再興されているわけですからねぇ~なんとも確信を衝いた痛い言葉でございます。
頼重は無念だった事でしょうね。
政として
敵国に嫁に出されて
夫と心が繋がったところで
夫が兄によって殺される。
この時代の奥方とは
自分で生き方を選べず
たくさんの悲劇があった事と思います。
由布姫の中にミツを見た時
勘助は彼女を生かそうと決めたのでしょうね。
ただ家臣の前で「諏訪の血は絶やさねばならぬ」
と言った手前、「お逃げ下され」という言葉に
至ったのでしょうね。
結果はわかっているのですが
勘助と由布姫との間にどんな事が起きるのか
楽しみですね。
私も今回は冷徹な勘助ではなく 哀しみの勘助を感じました。 武田家一同勝っているのに みな意気消沈して暗かった。皆の優しい気持を感じて ホッとしました。
元はといえば頼重が悪かったのですが、彼に切腹をさせるのはさすがにしんどかったでしょうね。
戦国時代はやはり非情です。
切腹というとどうしても山南さんを思い出しますが、介錯も無かった頼重は苦しかったでしょうね(泣)
>主君としての戦、家督を継ぐものの定めを感じる晴信。
妹の夫を切腹させることになって、晴信も辛かったでしょうね。
でも、そうしなければ自分たちが滅びることになったかもしれない。
家族や家臣たちを守るため、こうせざるを得なかったのですね。
私も頼重と禰々が手をつないでいたところは胸に迫りました…
私は思いました。。
それにしても・・禰々。。
かわいそう。。
せめて寅王丸。。元気に大きくなって欲しいです(TT)
そしたらそれより後に小雪さんからコメントが来ていたみたいで、びっくり!!
お互いもう少し早く寝ましょうね。
なんて言うのか、平和な証拠ですね~。
禰々と頼重、悲しい夫婦でしたね。
あんな風にこれが最後と思いながら手を繋ぐなんて、そんな経験したくないです。
勿論、年老いて病の床で、というなら話は別ですが。
親子兄弟と言えども、という乱世の時代。
あの時代に生まれなくて良かったです。
禰々についてもそうですが、寅王丸についても、晴信、あまり心の部分を考えてないって思いません?
神というものがこの世に存在するか否か、それでも因果応報とか、時間は掛かっても巡り巡ってそういうことが起きると、見えない何かがやはりどこかで見ているような気がしますね。
そう言えば、由布姫は、行き地獄に生きて、湖を見てみたいと言っていましたが、この先の御神渡りでは、湖がどんな表情を見せるのか、確かに興味深いですよね。
政の道具として嫁いだとは言え、三条夫人の言うとおり、一緒にいるうちに心は通い合うというものですよね。
それに気付いていないのか、分っていても目を瞑らないといけないのか、これから晴信も辛くなりそうですね。
由布姫が余りに気性が激しい感じなので、晴信と出会ってからどんな風になっていくのか、という変化が今のところ想像出来ないでいます。
みんなの前で、姫の命さえ絶つと勘助が言ったのに、そこに由布姫が登場となると、周りの反応も気になりますね。
人の心を持たぬとか、鬼とか言われちゃってるのに、勘助立場が・・・。
あ、捕りあえず「逃げましてございます」って言うのかな?
小山田様、早速描かれたんですね!
いつも仕事が速いな~。
とてもよく似てましたよ。
やっぱり書き直した方のが。