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夕刊アメーバニュース
生活保護法改定で、現役ケースワーカーがその落とし穴を告白!
2014年07月09日 06時00分
提供:週プレNEWS
生活保護制度を現場でサポートする「ケースワーカー」。
受給者の自立を支援する彼らは1万6386人いて、150万以上の生活保護世帯を支えている(2012年時点)。
しかし、不正受給などが問題視されているこの制度に対しては、批判する人も増えている。そうした声を受けて、7月1日に「改正生活保護法」が施行され不正受給の罰則が強化されたばかり。
この変更について、誰よりも生活保護の実態を知る現場のケースワーカーたちはどう見ているのか? ケースワーカー歴6年のA氏はこう話す。
「今回、『改正生活保護法』が施行されて、不正受給の罰則が強化されましよね。私はこれで自治体がより不正受給を隠蔽(いんぺい)するのではと懸念しています」
なぜ、不正受給者ではなく、自治体側が隠すのか?
「不正受給が発覚した場合、今までもらっていたお金を返還しなければならないのですが、ほとんど徴収できずに焦げついているのが実情なんです。そしてもともと、生活保護費は4分の3を国、残りを各自治体が負担しているのですが、徴収できなかった場合はその損失をすべて自治体で賄(まかな)わなければならない。そうなると、『ならば、不正を見逃したほうがマシ』という自治体が出てくるはずです。さらに今回は、返還に加えて不正受給者に罰金も科せられるわけですが、これも焦げついたら、自治体の負担になるわけですよ」(A氏)
つまり、不正受給が発覚すると、自治体が自らの首を絞めてしまうため、ということだ。一方、ケースワーカー歴5年のB氏の見解はこうだ。
「確かに、そうした問題もあります。けど、今回の改正には銀行や官公庁に対して調査権限の拡大も盛り込まれたことで、不正受給が銀行への開示請求で発覚した話があるように、銀行や官公庁に収入や課税調査の回答が義務化されたのは大きい。これで、不正受給を試みる受給者自体は減ると思いますよ」
改正法では、新規申請者に収入と資産を示す書類の提出義務や親戚までの財産調査(扶養義務の拡大)があり、申請がしにくくなるという話もある。では、そもそもケースワーカーは、ひとりで何ケースくらい担当しているのか?
「1人の担当は、80ケース以内に収めると決められていますが、それで済んでいる自治体はほとんどないです」(B氏)
実際、ケースワーカー歴2年のC氏も、最初は規定の80ケースだったものの、新規の申請を受け付けていった結果、1年目で100ケースにまで増えたという。B氏の市でも、ケースワーカーがこの5年で倍の人数になったが、それでも追いついていないとのこと。
「ただ、人手や財政の負担が大きいから、これ以上受け入れにくくするという流れはおかしいですよね。生活保護水準を下回る生活をしている国民はまだまだいるのに、今回の法改正は申請のハードルを上げかねない。これだけは言っておきたいのですが、書類を見て問題がなければ、私たちが断ることは絶対にありません」(A氏)
「新規申請を厳しくするのではなく、困っている人を広くすくい上げて、自立を促すのが僕たちの仕事ですもんね」(C氏)
不正受給を厳しく取り締まるあまり、申請のハードルが上ってしまう……それで、本当に困っている人たちが救われなければ本末転倒だ。“最後のセーフティーネット”として、社会からこぼれた人々と逃げずに向き合う。その「覚悟」を持って対している現場のケースワーカーたちは、今回の改正が改悪とならぬよう訴えている。
生活保護法改定で、現役ケースワーカーがその落とし穴を告白!
2014年07月09日 06時00分
提供:週プレNEWS
生活保護制度を現場でサポートする「ケースワーカー」。
受給者の自立を支援する彼らは1万6386人いて、150万以上の生活保護世帯を支えている(2012年時点)。
しかし、不正受給などが問題視されているこの制度に対しては、批判する人も増えている。そうした声を受けて、7月1日に「改正生活保護法」が施行され不正受給の罰則が強化されたばかり。
この変更について、誰よりも生活保護の実態を知る現場のケースワーカーたちはどう見ているのか? ケースワーカー歴6年のA氏はこう話す。
「今回、『改正生活保護法』が施行されて、不正受給の罰則が強化されましよね。私はこれで自治体がより不正受給を隠蔽(いんぺい)するのではと懸念しています」
なぜ、不正受給者ではなく、自治体側が隠すのか?
「不正受給が発覚した場合、今までもらっていたお金を返還しなければならないのですが、ほとんど徴収できずに焦げついているのが実情なんです。そしてもともと、生活保護費は4分の3を国、残りを各自治体が負担しているのですが、徴収できなかった場合はその損失をすべて自治体で賄(まかな)わなければならない。そうなると、『ならば、不正を見逃したほうがマシ』という自治体が出てくるはずです。さらに今回は、返還に加えて不正受給者に罰金も科せられるわけですが、これも焦げついたら、自治体の負担になるわけですよ」(A氏)
つまり、不正受給が発覚すると、自治体が自らの首を絞めてしまうため、ということだ。一方、ケースワーカー歴5年のB氏の見解はこうだ。
「確かに、そうした問題もあります。けど、今回の改正には銀行や官公庁に対して調査権限の拡大も盛り込まれたことで、不正受給が銀行への開示請求で発覚した話があるように、銀行や官公庁に収入や課税調査の回答が義務化されたのは大きい。これで、不正受給を試みる受給者自体は減ると思いますよ」
改正法では、新規申請者に収入と資産を示す書類の提出義務や親戚までの財産調査(扶養義務の拡大)があり、申請がしにくくなるという話もある。では、そもそもケースワーカーは、ひとりで何ケースくらい担当しているのか?
「1人の担当は、80ケース以内に収めると決められていますが、それで済んでいる自治体はほとんどないです」(B氏)
実際、ケースワーカー歴2年のC氏も、最初は規定の80ケースだったものの、新規の申請を受け付けていった結果、1年目で100ケースにまで増えたという。B氏の市でも、ケースワーカーがこの5年で倍の人数になったが、それでも追いついていないとのこと。
「ただ、人手や財政の負担が大きいから、これ以上受け入れにくくするという流れはおかしいですよね。生活保護水準を下回る生活をしている国民はまだまだいるのに、今回の法改正は申請のハードルを上げかねない。これだけは言っておきたいのですが、書類を見て問題がなければ、私たちが断ることは絶対にありません」(A氏)
「新規申請を厳しくするのではなく、困っている人を広くすくい上げて、自立を促すのが僕たちの仕事ですもんね」(C氏)
不正受給を厳しく取り締まるあまり、申請のハードルが上ってしまう……それで、本当に困っている人たちが救われなければ本末転倒だ。“最後のセーフティーネット”として、社会からこぼれた人々と逃げずに向き合う。その「覚悟」を持って対している現場のケースワーカーたちは、今回の改正が改悪とならぬよう訴えている。
スポーツ報知
2014年07月10日12時25分
紛失スマホ、2万キロの旅 米南部オクラホマ州から北海道へ
米南部オクラホマ州で農業を営む男性(53)が昨年10月、穀物の中に落として紛失したiPhone(アイフォーン)が、今年6月に穀物の輸出先の北海道の工場で発見され、男性の元に無事に戻るという「奇跡」があった。約2万キロの旅の果てに無傷で戻ってきたiPhoneを手に、男性は「アンビリーバブルだ!」と喜んでいる。
なくしたiPhoneが太平洋横断2万キロの旅を経て、再び自らの手の中に。天国のスティーブ・ジョブズもビックリしているであろう“アンビリーバボー”な奇跡体験となった。
オクラホマ州の地元テレビ局KFORなどによると、田園風景の広がる小さな町チカシャで農業を営むケビン・ホイットニーさん(53)は昨年10月、大量の穀物をトラックから倉庫に移す間にシャツの胸ポケットからiPhoneを落としてしまった。
iPhoneは穀物に紛れたままトラックで出荷。アーカンソー川、ミシシッピ川を越え、ルイジアナ州の集積所へ。そして、日本行きの船に積まれると、パナマ運河を通って太平洋を横断した。
茨城県の鹿島港に到着後、運ばれた北海道の製粉所で所員に偶然にも発見された。製粉所は、全国農業協同組合連合会(JA全農)を通じて、ルイジアナ州にある同連合会の関連会社の責任者へと返送した。
責任者のエリック・スレイターさんはiPhoneを充電し、起動させてデータを確認。残されていた文面や写真などから持ち主をホイットニーさんと特定した。
「永遠に戻ってくることはないと思ったから」。すぐに同じiPhoneに買い替えたホイットニーさんだったが、なくしたiPhoneの中には昨年3月にあった娘ケイティーさんの結婚式で撮影した思い出の写真が多数入っており、ずっと悔やんでいたという。
無傷で戻ってきたiPhoneを再びシャツの胸ポケットにしまったホイットニーさんは「クレイジーだ。アンビリーバブルだ。ホントにショックを受けているんだ。世界はなんて小さいのだろう、とね」と驚き、感謝している。
2014年07月10日12時25分
紛失スマホ、2万キロの旅 米南部オクラホマ州から北海道へ
米南部オクラホマ州で農業を営む男性(53)が昨年10月、穀物の中に落として紛失したiPhone(アイフォーン)が、今年6月に穀物の輸出先の北海道の工場で発見され、男性の元に無事に戻るという「奇跡」があった。約2万キロの旅の果てに無傷で戻ってきたiPhoneを手に、男性は「アンビリーバブルだ!」と喜んでいる。
なくしたiPhoneが太平洋横断2万キロの旅を経て、再び自らの手の中に。天国のスティーブ・ジョブズもビックリしているであろう“アンビリーバボー”な奇跡体験となった。
オクラホマ州の地元テレビ局KFORなどによると、田園風景の広がる小さな町チカシャで農業を営むケビン・ホイットニーさん(53)は昨年10月、大量の穀物をトラックから倉庫に移す間にシャツの胸ポケットからiPhoneを落としてしまった。
iPhoneは穀物に紛れたままトラックで出荷。アーカンソー川、ミシシッピ川を越え、ルイジアナ州の集積所へ。そして、日本行きの船に積まれると、パナマ運河を通って太平洋を横断した。
茨城県の鹿島港に到着後、運ばれた北海道の製粉所で所員に偶然にも発見された。製粉所は、全国農業協同組合連合会(JA全農)を通じて、ルイジアナ州にある同連合会の関連会社の責任者へと返送した。
責任者のエリック・スレイターさんはiPhoneを充電し、起動させてデータを確認。残されていた文面や写真などから持ち主をホイットニーさんと特定した。
「永遠に戻ってくることはないと思ったから」。すぐに同じiPhoneに買い替えたホイットニーさんだったが、なくしたiPhoneの中には昨年3月にあった娘ケイティーさんの結婚式で撮影した思い出の写真が多数入っており、ずっと悔やんでいたという。
無傷で戻ってきたiPhoneを再びシャツの胸ポケットにしまったホイットニーさんは「クレイジーだ。アンビリーバブルだ。ホントにショックを受けているんだ。世界はなんて小さいのだろう、とね」と驚き、感謝している。
産経新聞
2014年07月10日08時33分
わいせつ動画配信の元市議 行為は平日正午~午後4時半 奈良地検が起訴
女子高生と自宅でわいせつな行為をした上、撮影した動画をインターネット上に公開したとして、奈良地検葛城支部は9日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反と県青少年健全育成条例違反などの罪で、奈良県葛城市疋田、元葛城市議の無職、吉武昭博容疑者(27)を地裁葛城支部に起訴した。
地検は認否を明らかにしていない。
起訴状によると、吉武被告は今年1月6~14日、同県大和高田市の自宅などで2回にわたり、女子高生=撮影当時(16)=とのわいせつな行為を撮影した動画2本をインターネット上に公開。4月18日正午ごろ~午後4時半ごろの間、自宅で同じ女子高生とみだらな行為をしたとされる。
事件発覚を受け、葛城市議会は6月13日に吉武被告に対する辞職勧告を決議。吉武被告は弁護士を通じて辞職願を提出し、同月23日に認められた。
2014年07月10日08時33分
わいせつ動画配信の元市議 行為は平日正午~午後4時半 奈良地検が起訴
女子高生と自宅でわいせつな行為をした上、撮影した動画をインターネット上に公開したとして、奈良地検葛城支部は9日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反と県青少年健全育成条例違反などの罪で、奈良県葛城市疋田、元葛城市議の無職、吉武昭博容疑者(27)を地裁葛城支部に起訴した。
地検は認否を明らかにしていない。
起訴状によると、吉武被告は今年1月6~14日、同県大和高田市の自宅などで2回にわたり、女子高生=撮影当時(16)=とのわいせつな行為を撮影した動画2本をインターネット上に公開。4月18日正午ごろ~午後4時半ごろの間、自宅で同じ女子高生とみだらな行為をしたとされる。
事件発覚を受け、葛城市議会は6月13日に吉武被告に対する辞職勧告を決議。吉武被告は弁護士を通じて辞職願を提出し、同月23日に認められた。
産経新聞
2014年07月10日11時53分
女子生徒ら足蹴にするなど体罰 大阪市立中のバレー部顧問、停職10日
部活動中に女子生徒5人に対して頬を平手でたたいたり、腕時計を投げつけたりする体罰を加えたとして、大阪市教委は淀川区の市立中学校で女子バレーボール部顧問を務めていた男性教諭(30)を停職10日の懲戒処分にした。
処分は6月30日付。市教委によると、教諭は「生徒が自分の思うように動かず、思わず行動に出てしまった」という趣旨の説明をしているという。
同市では平成24年12月、市立桜宮高校で男子バスケットボール部顧問の男性教諭=懲戒免職=から繰り返し体罰を受けていた2年生の部員が自殺。市教委が体罰撲滅に向けて指導のガイドラインを新設するなど取り組みを進めていた。
市教委によると、教諭は今年2月、当日の練習を続けるかどうか尋ねた際、すぐに答えなかった2年生の部員の態度に怒り、顔を6回平手打ち。そのほかにも昨年12月~今年2月の練習中、別の4人の部員に対して腕時計やジャンパーを投げつけたり、足を蹴ったりする体罰を加えた。いずれの部員にもけがはなかった。
部員の保護者が2月に校長に相談して体罰が発覚し、顧問を解任した。
市教委は「市教委として体罰撲滅を掲げる中での事案であり非常に残念。今後も厳しく対応していく」とコメントしている。
2014年07月10日11時53分
女子生徒ら足蹴にするなど体罰 大阪市立中のバレー部顧問、停職10日
部活動中に女子生徒5人に対して頬を平手でたたいたり、腕時計を投げつけたりする体罰を加えたとして、大阪市教委は淀川区の市立中学校で女子バレーボール部顧問を務めていた男性教諭(30)を停職10日の懲戒処分にした。
処分は6月30日付。市教委によると、教諭は「生徒が自分の思うように動かず、思わず行動に出てしまった」という趣旨の説明をしているという。
同市では平成24年12月、市立桜宮高校で男子バスケットボール部顧問の男性教諭=懲戒免職=から繰り返し体罰を受けていた2年生の部員が自殺。市教委が体罰撲滅に向けて指導のガイドラインを新設するなど取り組みを進めていた。
市教委によると、教諭は今年2月、当日の練習を続けるかどうか尋ねた際、すぐに答えなかった2年生の部員の態度に怒り、顔を6回平手打ち。そのほかにも昨年12月~今年2月の練習中、別の4人の部員に対して腕時計やジャンパーを投げつけたり、足を蹴ったりする体罰を加えた。いずれの部員にもけがはなかった。
部員の保護者が2月に校長に相談して体罰が発覚し、顧問を解任した。
市教委は「市教委として体罰撲滅を掲げる中での事案であり非常に残念。今後も厳しく対応していく」とコメントしている。
東洋経済オンライン
2014年07月10日08時00分
日本のPTA、やっぱり変です 教育の現場で見た、思考停止と性差別
アベノミクスでも注目を浴びる、「女性の活用」。一見、聞こえのいいこの言葉、実は大きな問題をはらんでいるという。本連載では、そんな「男と女」にかかわるさまざまな問題を、異色の男性ジェンダー論研究者が鋭く斬る。
子ども2人が公立の小・中学校に通っている関係で、PTAにもかかわるようになりました。私は娘(上の子)のほうを主に担当するのですが、PTAの集まりにお父さんが参加しているのを、ほとんど見たことがありません。保育園時代の父母会では、お母さんのほうが若干多かったとはいえ、激務のキャリア官僚や、世界を飛び回るジャーナリストのお父さんも、きちんと行事に参加されており、話を聞くだけでもとても面白い集まりでした。
ところが公立の小・中学校に入ると、PTAは完全に女性だけの集団。先生まで、私のいる場で「あとはお母さん方で適当に決めていただいて」などという「差別発言」を平気でなさったりします。保育園との落差があまりに大きく、私は完全に変人扱い。まぁ変人なのは事実ですから、それはかまいませんが、それにしてもあまりに変なのです!
■小学校にはびこるワケのわからない規則
まず戸惑ったのが、わけのわからない規則の多さです。6年生の保護者会の場で、担任の先生が「シャープペンシルは認めません」と言うので、「なぜですか?」と聞くと、「正しい字を書けるようにするためです」。
「シャーペンでは正しい字が書けないという科学的な根拠があるのですか?」と聞くと、「ありません」。「根拠もないのに、なぜそういう規則を課すのですか?」「キャラクターものなどもありますから」「それはなぜダメなのですか?」「値段が高かったりして……」「ならば、図柄のないシャーペンならよいのではないですか?」。
もう禅問答です。「それは規則では許されません、なぜならばそれは規則だからです」という同義反復。どう考えても教師自身が、自分の頭で考えて発言しているとは思えません。
これは子どもに向かって「ものを考えるな、黙って従え」というメッセージを発するもの。フーコーの指摘するような、思考停止をさせての規律訓練です。軍隊や刑務所がとるやり方で、学校という教育の場でこんなことをやるというのは、子どもを画一化された「工業製品」としてしか見ていないことの証左です。出る杭を打って、潰して、均(なら)していく、というのが実態と言わざるをえません。
日本の大学生が、日本でも、海外でも、ゼミの討論のときに黙ってしまうのは、こうした思考停止と関係しています。規則や現状を追認するのではなく、「問題点に気づき、論理的に考え、言語化し、議論する」というトレーニングをさせない環境を、日本の公教育自体が作り出しているからです。これでは独創的な発想は生まれず、一歩世界に出ると、沈黙するだけです。
規則というのは、金科玉条のごとく従えばよいものではありません。おかしいと思ったときに議論をして、それを変えていく力こそが、何よりも重要です。歴史に名を残した人権活動家は、ほとんどの人が当時の法律に意図的に反旗を翻し、投獄され、それでも抵抗を続けました。信念を持って規則を変えていく努力をすることは、「悪法もまた法なり」などと盲従することより、はるかに尊い作業なのです。なのに、私の見た教育現場は、それを押さえつけようとする言動ばかり。なんともはや……。
■教育長の、驚きの性差別発言
もっとビックリしたのが、PTAの各種行事の世界です。専業主婦の非常に多い地域であることも影響しているのでしょうが、どの集まりでも参加者はほとんど女性しかいません。
先日、渋谷区の教育委員会が主催する研修会に出たところ、見渡す限り女性でした。平日の昼間ですから当然なのかもしれませんが、アメリカのPTAでは平日でもこんな経験をしたことはありません。父親が休みを取っていたり、開催時間が遅めに設定されていたりするからです。
その講演で、多数の聴衆を前に、森富子さんという年配の教育長が、食育に関連して「(食事を)作るのはお母さんたちですから」と堂々とおっしゃったので、目が点になってしまいました。女性で小学校の校長先生まで務められ、教育委員会で教育長にまで出世なさった方が、なぜこのようなことを平然と言えるのか、理解できません。何十年も女性ばかりのPTAを見てきて何の疑問も持たれなかったのでしょうか。政治家や首長・役職者などが、公の場でこんな発言をすれば、問題になるのは明らかだと思うのですが。
たとえば、もし仮に安倍首相がこんなことを言ったら、マスコミは飛びついて批判をし、「『女性の活用』なんて主張するけど、しょせんはこの程度の理解」と大騒ぎになるでしょう。閣僚が一言漏らしただけでも、任命権者である首相の責任が問われるはずです。
教育長は、首長が(議会の承認を経て)任命する教育委員(5人)の互選で選ばれます。地方教育行政法4条1項には教育委員の要件として、「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもの」とあり、この発言は任命した渋谷区長の責任にもかかわる問題なのです。
あまりに驚いたので、講演の後ですぐに手を挙げて、「『作るのはお母さんですから』というのは、性差別的な発言で問題です」と指摘したところ、返答では「すみません、お父さんも、あとおばあちゃん。うちはおばあちゃんでした」と、これまた迷言。こちらは「男は仕事、女は家庭」という固定的性役割分業規範を問題視しているのであって、お母さんをおばあちゃんに変えたところで、問題は何も解決しません。
ちなみにうちでは夕食を作るのは、基本的に私の役割です。子どもたちには、「夕食は父親が作っていた」という記憶を残したいと、いつも思っています。「作るのはお母さん」という発言は、男性の家事参加を否定し、女性を家事に縛りつける言葉であるはずです。
■抗議への対応に見る、根本的な無理解
後日、文書で抗議したところ、区の男女共同参画の行動計画にそぐわないという点を認めたうえで、「参加者に女性が多く、それを意識しての発言となった」とのこと。いくら指摘をしても、こちらの問題提起をわかってくださらないようです。仮に聴衆が100%女性であったとしても、もしくはそうであればなおのこと、公の立場にある人間が、「食事を作るのは母親の仕事」などと固定的性役割分業規範を肯定することは許されません。
思想信条の自由はありますから、ご当人がそう考えることまでは否定しません。ですが、教育長という公的立場からそれを他者に求めることは、男女共同参画社会基本法の理念に根本的に反しており、論外です。これが「教育、学術及び文化に関し識見を有する」人の発言でしょうか? これでは、聴衆にも少なからずいたであろう、不本意ながら性役割分業規範に縛られている女性を追い詰めることになるはずです。
そしてそれはコインの裏側で、男性を長時間労働の職場に縛りつけることと結び付きます。私は大した研究者ではないので、意識して、仕事と夕食づくりを両立できるような働き方をしています。職場での評価は低いでしょうが、家事育児にきちんとかかわることは、私にとってはそれ以上に重要なことです。そうした家事にかかわろうとする男性の存在さえも、否定するような発言なのです。
■失態を公にしたがらない?
さらに、PTAの全構成員を潜在的対象とする講演会である以上、きちんと全構成員に訂正と反省を伝えてほしいとお願いしたのですが、「PTA役員会等を通して経緯を説明し、訂正したい」とのこと。なるべく失態を公にはしたくないのでしょう。この手の問題を隠蔽しようとすると、最終的により手のつけられない問題になることは、昨今の失言・暴言のその後の顛末を見ればわかると思うのですが……。
「この件を契機に、渋谷区および教育委員会として反省しつつ、研修などを通じ、男女共同参画行政の推進に努めたい」と付言して事態を説明してくだされば、それで済むことなのに。このバトル、今も「現在進行形」です。
きっと区役所・教育委員会にとっては、私は単なる「モンスターペアレント」なのでしょう。私はこの深刻な人権問題を告発することを通じて、行政や教育委員会のジェンダーに関する意識を改めてほしいと願うだけなのですが。PTAの異常な男女比は、こうした問題を不可視化する大きな原因のひとつのように思われます。
これがまさに、世界の男女間格差で136カ国中105位の日本の実態です(世界経済フォーラムの発表より)。その名も「ガラケー」と呼ばれる携帯電話と同じように、ガラパゴスしか知らない人たちが、ガラパゴス流を通すので、世界では通用せず、そしてそのガラパゴスが、このままだとやがて絶滅することに気がついていない。
ぬるま湯につかるカエルと同じです。ゆであがって気がついたら死んでいる……。私が変人だからそう思うのでしょうが、日本の学校、やっぱり変です。それでも皆さんは、この環境が心地よいと思われますか?
編集部注:本件について、渋谷区教育委員会にコメントを求めましたが、「コメントはありません」との回答でした。
2014年07月10日08時00分
日本のPTA、やっぱり変です 教育の現場で見た、思考停止と性差別
アベノミクスでも注目を浴びる、「女性の活用」。一見、聞こえのいいこの言葉、実は大きな問題をはらんでいるという。本連載では、そんな「男と女」にかかわるさまざまな問題を、異色の男性ジェンダー論研究者が鋭く斬る。
子ども2人が公立の小・中学校に通っている関係で、PTAにもかかわるようになりました。私は娘(上の子)のほうを主に担当するのですが、PTAの集まりにお父さんが参加しているのを、ほとんど見たことがありません。保育園時代の父母会では、お母さんのほうが若干多かったとはいえ、激務のキャリア官僚や、世界を飛び回るジャーナリストのお父さんも、きちんと行事に参加されており、話を聞くだけでもとても面白い集まりでした。
ところが公立の小・中学校に入ると、PTAは完全に女性だけの集団。先生まで、私のいる場で「あとはお母さん方で適当に決めていただいて」などという「差別発言」を平気でなさったりします。保育園との落差があまりに大きく、私は完全に変人扱い。まぁ変人なのは事実ですから、それはかまいませんが、それにしてもあまりに変なのです!
■小学校にはびこるワケのわからない規則
まず戸惑ったのが、わけのわからない規則の多さです。6年生の保護者会の場で、担任の先生が「シャープペンシルは認めません」と言うので、「なぜですか?」と聞くと、「正しい字を書けるようにするためです」。
「シャーペンでは正しい字が書けないという科学的な根拠があるのですか?」と聞くと、「ありません」。「根拠もないのに、なぜそういう規則を課すのですか?」「キャラクターものなどもありますから」「それはなぜダメなのですか?」「値段が高かったりして……」「ならば、図柄のないシャーペンならよいのではないですか?」。
もう禅問答です。「それは規則では許されません、なぜならばそれは規則だからです」という同義反復。どう考えても教師自身が、自分の頭で考えて発言しているとは思えません。
これは子どもに向かって「ものを考えるな、黙って従え」というメッセージを発するもの。フーコーの指摘するような、思考停止をさせての規律訓練です。軍隊や刑務所がとるやり方で、学校という教育の場でこんなことをやるというのは、子どもを画一化された「工業製品」としてしか見ていないことの証左です。出る杭を打って、潰して、均(なら)していく、というのが実態と言わざるをえません。
日本の大学生が、日本でも、海外でも、ゼミの討論のときに黙ってしまうのは、こうした思考停止と関係しています。規則や現状を追認するのではなく、「問題点に気づき、論理的に考え、言語化し、議論する」というトレーニングをさせない環境を、日本の公教育自体が作り出しているからです。これでは独創的な発想は生まれず、一歩世界に出ると、沈黙するだけです。
規則というのは、金科玉条のごとく従えばよいものではありません。おかしいと思ったときに議論をして、それを変えていく力こそが、何よりも重要です。歴史に名を残した人権活動家は、ほとんどの人が当時の法律に意図的に反旗を翻し、投獄され、それでも抵抗を続けました。信念を持って規則を変えていく努力をすることは、「悪法もまた法なり」などと盲従することより、はるかに尊い作業なのです。なのに、私の見た教育現場は、それを押さえつけようとする言動ばかり。なんともはや……。
■教育長の、驚きの性差別発言
もっとビックリしたのが、PTAの各種行事の世界です。専業主婦の非常に多い地域であることも影響しているのでしょうが、どの集まりでも参加者はほとんど女性しかいません。
先日、渋谷区の教育委員会が主催する研修会に出たところ、見渡す限り女性でした。平日の昼間ですから当然なのかもしれませんが、アメリカのPTAでは平日でもこんな経験をしたことはありません。父親が休みを取っていたり、開催時間が遅めに設定されていたりするからです。
その講演で、多数の聴衆を前に、森富子さんという年配の教育長が、食育に関連して「(食事を)作るのはお母さんたちですから」と堂々とおっしゃったので、目が点になってしまいました。女性で小学校の校長先生まで務められ、教育委員会で教育長にまで出世なさった方が、なぜこのようなことを平然と言えるのか、理解できません。何十年も女性ばかりのPTAを見てきて何の疑問も持たれなかったのでしょうか。政治家や首長・役職者などが、公の場でこんな発言をすれば、問題になるのは明らかだと思うのですが。
たとえば、もし仮に安倍首相がこんなことを言ったら、マスコミは飛びついて批判をし、「『女性の活用』なんて主張するけど、しょせんはこの程度の理解」と大騒ぎになるでしょう。閣僚が一言漏らしただけでも、任命権者である首相の責任が問われるはずです。
教育長は、首長が(議会の承認を経て)任命する教育委員(5人)の互選で選ばれます。地方教育行政法4条1項には教育委員の要件として、「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもの」とあり、この発言は任命した渋谷区長の責任にもかかわる問題なのです。
あまりに驚いたので、講演の後ですぐに手を挙げて、「『作るのはお母さんですから』というのは、性差別的な発言で問題です」と指摘したところ、返答では「すみません、お父さんも、あとおばあちゃん。うちはおばあちゃんでした」と、これまた迷言。こちらは「男は仕事、女は家庭」という固定的性役割分業規範を問題視しているのであって、お母さんをおばあちゃんに変えたところで、問題は何も解決しません。
ちなみにうちでは夕食を作るのは、基本的に私の役割です。子どもたちには、「夕食は父親が作っていた」という記憶を残したいと、いつも思っています。「作るのはお母さん」という発言は、男性の家事参加を否定し、女性を家事に縛りつける言葉であるはずです。
■抗議への対応に見る、根本的な無理解
後日、文書で抗議したところ、区の男女共同参画の行動計画にそぐわないという点を認めたうえで、「参加者に女性が多く、それを意識しての発言となった」とのこと。いくら指摘をしても、こちらの問題提起をわかってくださらないようです。仮に聴衆が100%女性であったとしても、もしくはそうであればなおのこと、公の立場にある人間が、「食事を作るのは母親の仕事」などと固定的性役割分業規範を肯定することは許されません。
思想信条の自由はありますから、ご当人がそう考えることまでは否定しません。ですが、教育長という公的立場からそれを他者に求めることは、男女共同参画社会基本法の理念に根本的に反しており、論外です。これが「教育、学術及び文化に関し識見を有する」人の発言でしょうか? これでは、聴衆にも少なからずいたであろう、不本意ながら性役割分業規範に縛られている女性を追い詰めることになるはずです。
そしてそれはコインの裏側で、男性を長時間労働の職場に縛りつけることと結び付きます。私は大した研究者ではないので、意識して、仕事と夕食づくりを両立できるような働き方をしています。職場での評価は低いでしょうが、家事育児にきちんとかかわることは、私にとってはそれ以上に重要なことです。そうした家事にかかわろうとする男性の存在さえも、否定するような発言なのです。
■失態を公にしたがらない?
さらに、PTAの全構成員を潜在的対象とする講演会である以上、きちんと全構成員に訂正と反省を伝えてほしいとお願いしたのですが、「PTA役員会等を通して経緯を説明し、訂正したい」とのこと。なるべく失態を公にはしたくないのでしょう。この手の問題を隠蔽しようとすると、最終的により手のつけられない問題になることは、昨今の失言・暴言のその後の顛末を見ればわかると思うのですが……。
「この件を契機に、渋谷区および教育委員会として反省しつつ、研修などを通じ、男女共同参画行政の推進に努めたい」と付言して事態を説明してくだされば、それで済むことなのに。このバトル、今も「現在進行形」です。
きっと区役所・教育委員会にとっては、私は単なる「モンスターペアレント」なのでしょう。私はこの深刻な人権問題を告発することを通じて、行政や教育委員会のジェンダーに関する意識を改めてほしいと願うだけなのですが。PTAの異常な男女比は、こうした問題を不可視化する大きな原因のひとつのように思われます。
これがまさに、世界の男女間格差で136カ国中105位の日本の実態です(世界経済フォーラムの発表より)。その名も「ガラケー」と呼ばれる携帯電話と同じように、ガラパゴスしか知らない人たちが、ガラパゴス流を通すので、世界では通用せず、そしてそのガラパゴスが、このままだとやがて絶滅することに気がついていない。
ぬるま湯につかるカエルと同じです。ゆであがって気がついたら死んでいる……。私が変人だからそう思うのでしょうが、日本の学校、やっぱり変です。それでも皆さんは、この環境が心地よいと思われますか?
編集部注:本件について、渋谷区教育委員会にコメントを求めましたが、「コメントはありません」との回答でした。