下北沢駅付近
複々線化事業の総仕上げ
小 田 急
増発、所要時間短縮実現へ
小田急線の下北沢駅付近連続立体交差事業は、代々木上原駅から梅ケ丘駅にかけての2・2㌔を地下化するとともに、複々線化するもので、2004年度に着手、2013年度の完成を目指している。既に完成している代々木上原-東北沢間、梅ケ丘-和泉多摩川間の高架複々線化に続く事業で、並行して工事中の和泉多摩川-向ケ丘遊園間の複々線化(登戸-向ヶ丘遊園間は暫定的に3線化)とともに、完成するとこれまでに順次実施してきた列車の増発と所要時間の短縮がさらに可能になる。朝ラッシュ時の最混雑率は現在の188%から160%台に、所要時間は急行で4分、各駅停車で2分短縮される。
総事業費は1258億円で、小田急の負担分は643億円。線増事業と一体的に行うため、小田急側の負担比率がほかの連立事業より高くなっている。
代々木上原-東北沢間は、地下鉄千代田線との直通化が始まった1978年に複々線化されたが、今回その途中から地下化されることになり、東北沢、下北沢、世田谷代田の3駅が地下化され、踏切9カ所が廃止される。駅舎はいずれも地上部に建設する。
下北沢駅は京王井の頭線が高架でクロスしていることから、高架駅の代々木上原と梅ケ丘の双方から下北沢にかけては1000分の35という急勾配で下がる構造になる。
地下に新設する複々線は複線の上下2層構造で、下北沢駅では下の1面2線が急行系、上の1面2線が各駅停車用となる。コンコースは地上に設置する。
現在、代々木上原-東北沢間の上り線一線を休止して地下化に向けた整備工事を実施するとともに、ほぼ全区間で土留め線路の仮受け工事に掛かっている。
下北沢-世田谷代田の下層のトンネルは駅間ではシールドトンネルとなるため、その両端に基地となる縦坑を地盤改良しながら造っており、本年度下期にはシールド機械を発進させる計画。下層のトンネルが完成すると現在線をそこに移して上層の工事を行い、各駅停車のみが止まる東北沢駅と世田谷代田駅は上層のホームが完成するまでは下層の仮ホームを使用する。
下北沢駅付近は住宅などが密集し、道路事情も悪いことから、掘削で発生する土砂の搬出が大きな課題となったが、搬出基地で流体にしてパイプで世田谷代田駅そばを通る環状7号線などから搬送することになった。また地形的に地下水脈が集まりやすい場所での掘削工事となるため、水脈の遮断を避けて環境保全に配慮する計画。
工事が順調に進めば、2010年度には現在線の立体交差化が下層を使って出来上がり、踏切が廃止される。その後3年間で上層部分が完成することになる。井の頭線との乗り換え施設については両社間で協議している。
混雑緩和の特効薬は複々線化なんだけど、これはお金も掛かるし工期も長いからなかなかできることではないんだよね。でもこの場合、立体交差工事と絡んで行なわれたから、一石二鳥ってことかしら。この付近は道路事情も悪いようだから、鉄道は生活の足。いくらかでも混雑緩和が出来るのなら、早期の完成が待たれますね。