鉄道車両アラカルト

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JR東日本 キハE200形、今夏小海線でデビュー

2007年05月06日 | JR東日本

キハE200形、今夏デビュー
世界初のディーセルハイブリッド車

 世界初の営業用ディーゼルハイブリッド鉄道車両、JR東日本の「キハE200形」が今年夏、小海線にデビューする。ディーゼルエンジンで発電した電力と蓄電池の充電電力を組み合わせ、電気モーターで車輪を回す。これにより環境負荷低減、メンテナンス軽減などを図る。併せて、車内設備面では床面の段差縮小、車いす対応トイレの設置など、「人に優しい」車両としての配慮もなされている。

 同社のハイブリッド車両開発は、動力システムの革新による環境負荷の低減を目的に2000年度(平成12年度)にスタート。2003年にはディーゼルハイブリッド試験車両「NE(NeW Energy)トレイン」が完成し、同年5月から走行試験を行って各種データを集めてきた。この車両は2006年7月以降は燃料電池ハイブリッド車両として、さまざまな試験を行っている。

 キハE200形は、NEトレインで得られたディーゼルハイブリッドシステムに関するデータを踏まえて3両製作した。1両当たりの製作費用は約1億9000万円。

 動力システムを構成する主な機器は、ディーゼルエンジン・発電機・コンバーター・インバ-ター・蓄電池・モーター。基本的に、発車時は蓄電池の充電電力のみでモーターを回転させ、ある程度の速度に達するとエンジンが起動して発電機を回し、加速に必要な電力を発生させる。減速時にはモーターを発電機として使用し、発生した電力を蓄電池に充電する。駅に停車している時はエンジンを停止。

 加速性能などは従来のキハ110系気動車とほぼ同じ。最高速度は時速100㌔。

 モーターは交流電源で駆動する誘導電動機。回転速度を調節するための電圧、周波数の制御は直流から交流に変換する方法が便利なため、発電機で発生する交流電力はコンバーターで直流に変換の上、インバーターで再度交流化(電圧、周波数制御)してモーターに供給する。蓄電池の直流電力もインバーターで交流化。

 蓄電池は出力15・2㌔㍗時のリチウムイオン蓄電池。モーター動力のほか、車内照明、冷暖房などのサービス電源も賄う。

環境負荷、メンテナンス軽減

エンジンは出力331㌔㍗時(450馬力)の直噴式直列6気筒横型ディーゼ
ルエンジンで、発電専用。加速時のほか、サービス電源の使用などで蓄電池電圧が下がると自動的に起動して充電する。

 最新の排ガス対策エンジン(コモンレール式)で、エンジン内の燃料噴射系で高圧ガスを作り、電子制御で適切に噴射することで、排ガス中の有害物質を減少させている。ハイブリッドシステムの効果と合わせて、キハ110系に比べて排気中の窒素酸化物(NOX)、粒子状物質(PM)は約60%低減。燃料消費量は、起伏の激しい小海線で約10%低減を見込んでいる。また、駅停車時にはエンジンのアイドリングをストップすることで騒音を約30デシベル低減している。

 ハイブリッドシステムにより、メンテナンスも軽減。気動車で必要な変速機、歯車装置などの保守作業が不要になり、冷暖房も電気式を採用して温水、冷媒配管を廃止した。制御装置などは電車部品との共通化を図り、省メンテナンス型を採用している。

 車体はステンレス製。両運転台構造で、定員は117人(座席定員46人)。裾部分が膨らんだ拡幅車体として車内空間を広げるとともに、キハ110系と比べて▽ドアステップと床面の段差縮小(205ミリ1160㍉)▽優先席部分のつり手高さ低下(1620ミリ11580ミリ)、握り棒の形状変更▽ロングシート部分の1人当たり座席幅拡大(440ミリ1460ミリ)などを行って多くの人に使いやすいようにし、居住性を向上させた。トイレは自動ドア付きで、JIS規格の大型車いすに対応している。

 外観は青系統を主として、さわやかな高原地帯を走る小海線のイメージを打ち出した。ドア(片側2カ所)は車内外とも黄色に塗装して視認性を良くしている。

 キハE200形は夏ごろまで信越線、篠ノ井線、小海線で試運転、乗務員訓練などを実施し、営業運転開始に備える。同社では、小海線での営業運転時の各種データの確認を約2~3年間かけて行い、量産化、次期投入線区などを検討する、としている。

環境に優しいハイブリッドディーゼル車が実用化されるんだけど、小海線での成績がよければ他の非電化線区にも導入を検討しているようです。そうなるとまずキハ58・52・40などは淘汰される可能性が高いと思います。新型車には魅力を感じますが、古い味のある車両が消えていくのにはちょっと複雑な思いがします。