奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

ルリアリ 深度合成写真

2023-01-03 20:19:34 | 虫を調べる
11月10日に佐保川沿いにある公園で虫探しをしました。もともと桜の木の幹についているチャタテムシ探しだったのですが、肝心のチャタテムシは見つからないので、仕方なく、アリの写真を撮っておきました。アリの名前が分からなかったので、年末に検索をしてみました。結果はルリアリになったのですが、そのとき、久しぶりに顕微鏡を使って深度合成写真を撮ってみました。検索自体は以前にも行ったことがあって、このブログにも出しておいたので、改めて出しませんが、深度合成写真だけ出しておこうと思います。



採集したアリはこんなアリです。小さくて名前が分からなかったので、一応、採集して帰りました。そのまま冷凍庫に入れていたのですが、年末の12月28日、ブログ に出した写真のデータをデータベースに入力するときにまだ調べてないことに気が付き、急遽、検索をしました。



大きさはこんな感じです。ImageJの折れ線近似を使って寸法を測ってみると、体長は2.3mmになりました。



この写真は実体顕微鏡を用いて撮影したものです。アリの検索表は朝倉書店の「日本産アリ類図鑑」にも載っていますが、インターネット上で「日本産アリ類画像データベース」に載っている検索キーでも絵解きで調べることができます。

「日本産アリ類画像データベース」の検索キーではルリアリは次のような過程で検索できます。

①腹柄は1節(腹部第3節は第4節とほぼ同じかむしろ大きい)
②腹部末端に刺針を欠く;腹部第1節と第2節の間にくびれがない
③腹部末端は円すい形ではなく、開口部は割れ目状;腹部第1節が腹柄節の上に覆いかぶさるようになっている属が多い カタアリ亜科 Dolichoderinae
④腹柄節は鱗片状もしくはコブ状で、腹部はこれにおおいかぶさらない
⑤外皮は柔らかく、表面は滑らかで光沢がある;前伸腹節後背部は後方へ突出せず、後面は平板
⑥中胸背板は偏平で前伸腹節とほぼ同じ高さ、腹柄節は高くその頂部は前伸腹節の気門より高い位置にある ルリアリ属 Ochetellus ルリアリ O. glaber

次に生物顕微鏡を用いて各部の写真を撮ってみました。顕微鏡で試料を拡大すると、ピントの合う場所が僅かしかないので、ステージの高さを少しずつ変えて、ピントの合う位置を変えながら撮影し、後で、ソフトで合成します。これを深度合成といいます。ここでは、10xの対物レンズを用いて、30枚くらいの写真を撮って、CombineZPというフリーソフトで合成しました。



これは頭部です。



これは腹柄節の写真です。



そして、これは腹部末端です。

これだけの写真で検索のほとんどの項目を確かめることができます。

久しぶりの深度合成写真だったのですが、まあまあ撮ることができました。まだ、冷凍庫内にはいろいろ虫が眠っているので、ときどき出して調べてみようと思います。冬は外に出てもあまり撮るものがないので・・・。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿