社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

周産期医療~小児医療の病状説明について感じること

2009-02-05 14:53:40 | あたまの整理
小児医療に関する論文を読むなかで、自身の経験から感じたことを

胎児(子供)の異常が「事前にわかる」ケースが多くなっている。それについて、遺伝カウンセラーの養成が少しづつ本格化している様子。
「事前にわかること」について、医療者は家族にどのように説明し、そして理解・受容をサポートするか…まさに模索中のようだ。

三次救急の指定を受けた周産期医療センターでの出産を経験した、一患者としての経験
同じ病室の患者さんたちは、「胎児に何らかの異常がある」と説明を受け、「胎内での治療」と「誕生後の医療管理」を実現させるために、転院してきていた。
何度となく医師と看護師、ソーシャルワーカーによる「病状説明」と「社会資源の紹介、提案」を受け、わが子の誕生を複雑な思いで迎えていた。
彼女たちにどんな内容であったかを聞くと、「○○という病気があるかもしれないし、ないかもしれない」「△△という障害が残るかもしれないし、そうではないかもしれない」とすべて「かもしれない」調の説明に終始し、最後は「結局は生まれてみないと何とも言えない」で締めくくられたそうだ。
医療者として、「予測できることについては、説明責任がある」のだろうが…。
ひとつの疑問…病状説明後に、ベットサイドに様子を見に来るスタッフはいなかった。患者同士で、病室内での不安や不満のやり取りが、日常的に行われていることを、知っているのだろうか?
「これはクールダウンの一種?それとも医療者の怠慢?」

医療機関に勤務していたSWとしての意見
ベット数(患者数)に対するSWの人数は少なく、日常的に患者と接している医師や看護師からの「依頼」があってから「動く」ことしか、現実的にはできない。
しかし病状説明後の「フォロー」は必須で、直接的にやり取りをする医師よりも、看護師やSWの方が良い場合もある。
その患者さんにとって、「誰が(どの職種が」、フォローに入るのに適任か?を事前に検討し、決めておくことも、病状説明の一環であることが本来であろう。

…病状説明は、その場だけでは済まない、継続的なサポートが必要な「一大イベント」であろう(疾患にもよるが)。
特に周産期~小児に関しては、援助対象者が胎児であったり、小児であったり、そして妊婦であったり、母親・父親であったり…立場が複雑で問題もデリケートである。
胎児に関する情報は、予測も含めて、とても多くを知ることができるようになった。親(場合によっては祖父母も)は、数多くの「予測」を理解し、そして決定していかねばならない。その負担ははかり知れない。
医療技術の進歩はめざましいが、「人間を支える」ことは、それに全く追いついていない。

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