私の働いている病院には差額室料(個室料)がありません。
どの部屋でも、部屋代は「なし」です。(そのかわり、とっても古いです‥)
とある入院患者さんがうちではできないガンの治療のため
転院しなければならなくなりました。
次に行く病院は差額室料がある病院でした。
患者さんは、家計の都合で
無料の部屋を希望されたため、
無料の部屋があくまで、転院を待っておられました。
ようやくお呼びがかかり
無事転院されました。
しばらくして、
その患者さんの奥さんが、
かかりつけの診療所へ泣いて相談に行かれました。
「部屋代を先月分だけで5万円も支払うことになった‥
‥治療が終わったので早く元の病院へ転院させて欲しい」
話を聞いた診療所の看護師さんから上記の内容で
わが職場に電話がかかりました。
ビックリして、転院先の病院に確認すると
「最初は、無料の部屋におられたが、
不穏で声を出されるため
同室者から苦情が出たので、
ご家族同意の下、
1日2500円の4人部屋に変わっていただいた」とのこと。
なんとも、切ない話です。
2500円/1日×30日=75000円。
医療費や食費とは別にかかってしまうのです。
この方の場合は、形式的には同意書にサインをしておられます。
「周りの迷惑になるから」と言われて、
恐縮されている患者さんのご家族が
有料部屋を断れるようなシチュエーションではありません‥。
「払えない」と、移るのを断ったら、
周囲に肩身の狭い思いをして入院していなければならないのです。
外来患者さんのケースもあります。
肺炎の患者さん。
うちの病院が満床で、
入院できない場合があります。
ドクターがあちこちの病院を探し
やっと空いているところを見つけると、
「1日1万2000円の部屋なら空いていますが、どうされますか?」
お金があるかどうか、門前でふるいにかけられている感じです。
医療を受ける機会が平等じゃないことを痛感します‥。
差額室料は、
ほとんどの病院が導入しています。
トラブルが多く、
厚生労働省が下記のような通知を出していますが、
職員に徹底されていないこともあり、
払わなくてもよい場合も、誰も気づかず、払わされることが多々ありますので、要注意です。
参考)
厚生省(現「厚生労働省」)の通知「特定療養費に係る療養の基準の一部改正に伴う実施上の留意事項について(平成9年3月14日 保険発第30号)」
平成14年3月29日付保医発第0329001号厚生労働省通知
「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について(平成18年3月13日付 保医発第0313003号 (最終改定:平成22年3月26日付 保医発第0326第2号))
保医発第0328001号,平成20年3月28日,厚生労働省保険局医療課長通知http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/shinsei/shido_kansa/hoken_heiyo/documents/heiyo_tuchi.pdf#search='