中田真秀(なかたまほ)のブログ

研究について、日常について、その他。

ATI RADEON Stream SDK勉強中...

2010-09-22 16:01:17 | 日記
ATI Stream SDK CAL Programming Guide v2.0勉強中...

CAL: ATI Complete Abstraction Layerだそうだ。

il (Intermediate Language) で生成したアセンブラライクで記述して

CALで、コンパイル、リンクする。

4.1 Arithmetic Computations
Peak GPU FLOPs = Number of FP stream cores * FLOPS per stream core unit
というのもあった

非整数の電子系とはなんぞや: アンサンブルでしかない

2010-09-17 11:20:35 | 日記
気になってPRL 49 1691 (1982)を読んでみた。"Density-Functional Theory for Fractional Particle Number: Derivative Discontinuities for the Energy"
なんだが、内容的には当たり前で、変分すれば良いということなんだが、式(5)の論調は少し間違っている。そもそも、E(0)> E(1)> ...E(N-1) > E(N) < E(N+1) < ...が成り立ってて、さらに、concavityが成り立たないと、成り立たない。だから、これを仮定にしている。さらにいうと、(5)が成り立っていることととは等価だ。これは証明も必要...だがいくつかの場合には示してあるようだ。generalなハミルトニアンに対しては何とも言えないか、証明がいるかもしれない。コレ、結構煩雑な問題だなーと思った。

波動関数の最小のパラメータ化

2010-09-15 13:48:40 | 日記
波動関数の最小のパラメータ化とな何ぞや、という論文をチラ見したが(JPC A 2010, 114, 8913)、これはどういう意味があるんだろうか。とりあえず2-RDMは最小であることは確かで、coupled-cluster型の理論は不要なものを含んでるのも確かだ。

多分この問題設定は間違っていて、厳密にfullCIを行う計算量が重要になるのだと思われる。これはもうネガティブな結果しか得られていない(NP-hard)。従ってどういう近似手法なり理論なり組み立てるのが正しい、もしくは理解を、解釈をどうするかを研究する方がただしいだろう。

電子相関を系によって自動でタイプを認識するというのはこれも基本ヒューリスティクス、でないと計算量が多くなりすぎる。

理研基礎特のこと:5倍くらいなら

2010-09-15 13:25:29 | 日記
だいたい、あれくらいのを書いたら面接まで行って通る、ということである。5倍程度の競争ならば、なんとかなる...かもしれない。

ただ、今は採用人数が半減していて、10倍程度の競争になるだろうと思ってる。

と、思って調べたら、応募を考えている方へというページがあって、今年度は9.5倍だった(過去最高)。

これは、海外のポスドクを受け入れることになったので、私の頃と比較して、採用者数が半減している為だと思われる。

理研基礎特のことと密度行列の決定法について

2010-09-10 09:23:34 | 日記
基礎特のことで検索かけている人ちらほらいますね...私は2007年度から2009年度まで基礎特でした。私のは理論化学のテーマなので、正直通るとは思ってませんでした。

私は、より簡単な量子化学の方法の構築に興味があります。

電子相関理論や手法というのは、摂動論、対角化(変分法)、coupled-cluster、密度汎関数法のヴァリエーションになっていてどれも理論は成熟してます。そして、成熟した割には、大きな電子相関を持つ系に対しては殆ど理論計算は無力です。たとえば、現在は経験的な手法でしか金属は扱えません。

私はそうではなく、縮約密度行列という物理量を使って量子化学、物理を構築しようという試みを研究してます。歴史的に見ても密度行列自体は、古くから(1940年くらいから)存在が知られていましたが、あまり発展せず、中辻-安田の論文のあと、中田が第一著者のJ.Chem.Phys 114 8282(2001)で実際に計算するまで、殆ど計算もできずでした。この論文は、実際に計算手法を構築し、計算して見せ、さらにそれが物理的、化学的に有用だということを示した、ということで、いくつもブレークスルーがありました。

2004年にZhaoらの論文で、さらに条件が精緻化され、我々も2008年に応用計算を行い、良い結果を得ました。非常に期待を寄せているところです。さらに2010年にスパコンを使った計算で、プレスリリースとして発表しました。2010年2月にはSanibel Symposiumという量子化学では非常に有名な学会に講演しました(全員招待講演で、日本からは中辻先生と私のみ講演した)。

私が示した変分法の定式化を、世界的に皆があれこれ応用、改良するという研究が行われています。また、最適化の方たちにもインパクトがありました。まだ、理論的、計算手法には難しいことをたくさん抱えております。いろんなことが解っておらず、数学物理化学と三つのもののみかたで進めるのが良いと思います。基礎的な内容で、化学、物理の理解にたつのではないかと信じています。しかし、日本の量子化学コミュニティにはあまり興味を持っていただけてないのが、とても残念です。

根底から変えるような、夢を持った、チャレンジングな研究をしましょう! 人生は短いし、どうせやるなら、おもしろいことをやりたい。そこに、理研が興味、理解を示してくれた、というのはありがたいと思いました。でも、この先が研究の意味でも、ポストの意味でもものすごく難しいわけですが...そこは要領良くやるべきだったな、と。