以前の記事を消しちゃったので改めて掲載。岐阜市民のソウルフード「冷やしたぬき」(そば、うどん、どちらもあるが主流は圧倒的にそばの方)の、元祖と呼べる店が京町の更科です。市内には更科を名乗る店が他にもあるので、京町更科と呼ぶ市民も少なくありません。場所は市民会館の西裏手です。
さて更科の冷やしたぬき、東京や大阪のそれとはずいぶん異なります。麺は小麦粉7:蕎麦粉3という配合でもっちりしており、色はかなり黒っぽく、やや太め。店名から更科粉の麺を想像すると裏切られます。自家製麺ではありますが、もちろん手打ちなんて洒落たものじゃありません。つゆは甘辛く濃いめ。具は、これまた甘辛く濃いめに煮付けた油揚げ(いなり寿司の揚げみたい)、カリッと揚がった天かす、ネギ、たっぷりの粉ワサビ。
どう贔屓目に見ても、香りが喉越しがというような通好みの"蕎麦"ではありません。田舎臭いと言われれば返す言葉もありません。でも、そんな麺・つゆ・具の調和が、病みつきになる旨さを醸しだしています。「今日は蕎麦」という気分なら助六や胡蝶庵仙波に向かう僕でも、「今日は冷やしたぬき」という気分なら迷わず更科を選びます。蕎麦ではなく、冷やしたぬきという独立したジャンルの麺料理と考えた方がいいかもしれません。
しかもこれ、テレビとかでもよくネタにされますが、提供がやたら早い。ランチ時だと注文してから10〜20秒で出てくるのが普通です。そばはまとまった量を茹で置きしてあるんだけれど、恐ろしく客が多く、しかも回転が早いものだから、伸びるヒマがないんですね。小麦粉主体だから伸びにくいってのもあるだろうし。それから大盛りを「ダブル」、超大盛りを「トリプル」と呼ぶのも独特。卓上に置いてあるアルマイトの大ヤカンにお茶、魔法瓶に蕎麦湯という昭和の味わいもヨシ。伝票というものがなく、会計は自己申告というのもユニーク。観光客の方なら、店の雰囲気を味わうだけでもいい経験になりますよ。
ちなみに客の7割くらいは冷やしたぬき(そば)を注文しています。そのうち7割くらいがダブルです。並盛りの量が少ないってわけじゃないんだけれど、ついつい言っちゃうんですよね「冷やしたぬき、そば、ダブルね!」って。写真もダブル、770円です。
いつでも岐阜に来てください
つきあいますよ〜!