極真空手 灘・須磨南・西脇道場通信 

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世界柔道にて

2007年09月18日 | 過去の記事
金曜日から世界柔道がブラジルのリオデジャネイロで開催されました。
前回のエジプトカイロで行われた大会では、日本のメダルラッシュに沸きましたが、今大会では特に男子では苦戦を強いられました。
しかし最終日を迎えた今日、ようやく3階級で金メダルを獲得という結果を出すことが出来ました。選手の皆さんは本当にお疲れ様でした。
 
 初日にもっとも期待されていた100kg級の鈴木選手がまさかの敗退、同じ日に開催された100超級の井上選手と共に審判の誤審だという報道がなされています。私は普段はこのような、それも柔道という空手とは違う競技での「ものいい」はしないのですが、今回はあえて私の意見を言わせて頂きたいと思います。
まず結論から言うと、井上選手の場合は「どちらともいえない」と思います、あの場合は相手選手のポイントになっても仕方がないでしょう。
そして鈴木選手、一本勝ちと思います。
すべてにおいて、解説の篠原さんが冷静なコメントをされていた通りだと思います。

ながらく日本のお家芸柔道は低迷期が続きました、どうしたら海外の選手に勝てるのか、そこで日本が導き出した答えは「一本」をとる柔道なのです。それから今日までの選手育成のおかげで重量級でも一本がとれる選手が台等し、井上選手や鈴木選手たちが活躍し、強い日本が戻ってきました。

近年、海外の柔道は日本の柔道とは離れてしまっているように思います。まず、柔道とは相手の襟、袖を掴みそこから背負い投げ、払い越し、内股、など多種多様の投げを打ちます。ですからまず投げられないようにするためには襟・袖を掴まれないようにする、自分がいいポジションを掴もうと組手争いが行われるのです。
しかし、近年の外国(特にヨーロッパなど)では、諸手狩り、朽木倒しといった足を掴んでひっくり返す倒し技が主流となっています、この技の利点はまず、襟・袖を掴まなくていいとういこと、ですから相手選手が掴んでくるまえに技を掛けられます。なので、先手で攻めていれば相手は攻めることが出来ず「指導」(攻めに消極的)の反則をとられてしまう訳です。掛け逃げにならないのかと言えば、元来諸手狩りや朽木倒しは捨て身の技なのでその見極めが難しいのです。
そして、いったんポイントを奪ってしまえばこの行動を繰り返し相手が攻められないようにして時間切れを狙うわけです。まさに、勝つことに特化した柔道というわけです。

そのことが良い悪いは言いません、ルール上反則でなければそれも認められることでしょう。
しかし、なにか見ていて歯がゆい、ストレスがたまるのです。あの投げ技で一本を取った時の感動は、ある種の芸術さえ感じるものです。しかし、ただ倒すだけになった技には心が揺さぶられないのです。
このままでは投げ技が世界からなくなってしまうのではないかと思ってしまいます。現に日本人選手と対戦した外国の選手で投げ技で勝った人はいなかったのではないでしょうか?

日本が歩んできた柔道と世界が歩んでいくJUDO、二つに分かれた道がますます遠く離れていっているようです。
国際柔道連盟の役員に日本人は一人もいなくなってしまいました。
柔道をもっと商業化しようとする海外の考えからは、武道を尊重する日本の意見が疎ましく、弾き出されてしまったのです。
青い道着に、黄色い畳、なにか違和感を感じてなりません。

私は日本の柔道が好きだ。
でも何で最終日だけTV放送が19時からなのか、ガックシ。