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開発遅延はかつてのJapan as No.1と礼賛 の裏返し:カイゼン、労使一体、職人

2024-04-11 02:55:35 | マクロ経済

 かつて、我が国の製造業は効率と品質において世界の模範となった。いまや、これが陥穽となっているのは、スケジュール遅延と品質問題だ。3つの問題がある

 

1.無理なスケジュールの押付け:役員と生産現場の乖離、利益優先

トヨタをはじめ、無理な開発スケジュールの経営からの現場への押し付けがある。これが、法令無視などにつながった、かつての労使一体の開発(ホンダのワイガヤなど)は無くなり、経営層だけアメリカ型利益志向となりイエスマンが仕切る社内体制となった

・東芝など、事業部に利益出しを迫った、そのため会計上の益出しと不正につながった、これは投資家向けへの役員の忖度が現業への圧力となった

2.硬直した請負条件:スケジュールと金額、施工問題

・大手ゼネコンでも請負の開発スケジュールの遅延がある。麻布台ヒルズ レジデンスBの遅延( https://diamond.jp/articles/-/336690 )はスケジュール短縮を狙った独自工法の問題、スケジュールのミスの大成建設「世田谷区役所」( https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01836/ )など枚挙にいとまがない

・長期大型工事の赤字では「麻布台ヒルズ森JPタワー」の清水建設が喧伝されている( https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01994/ )

・さらに、建設での瑕疵もある。大成建設の(「仮称)札幌北1西5計画 」における施工不良と解体( https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01739/ )、、清水建設の「ザ 豊海タワー マリン&スカイ」( https://news.yahoo.co.jp/articles/6fed7dd1133960e3c0bc67ce18ab946584c1eac3 )、「田町タワー」( https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01881/ )など多々ある

・加えて、作業所の事故は大林組の八重洲鉄骨崩落事故( https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/na/18/00224/103000006/ )など今までにない事故となっている

・しかも、作業所での下請けにおける職人が減り、専門性の伝承も危うい。急いだスケジュールになると事故の可能性が技能とコミュニケーション欠如により上昇する

3.リーンすぎる在庫とサプライ・チェーン管理

・リーン生産の反動により、在庫が減少し、コロナ禍や天災による工場事故や高速道路の不通などにより生産が遅延する場合が目立つ

・納入も、最安値の単独下請け依存が目立ち、下請けの裾野が狭くなるのと価格競争激化(下請けの採算低下)が目立つ

・リーン生産とはピラミッド最上部の元受け(メーカー)が利益を享受するのみで、その他は納入時間・在庫完備・生産の変更の対応を受けざるを得ない構造政策となっている可能性がある(親の総取り構造)

・冗長性がなくなり、効率優先の裏返しというべき事態だ

 あの著作から30余年、いまや弊害も目につく、我が世の春はICTで世を押さえているGAFAだ


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