「体が浮き上がったまま満員電車が動き出すんだからね、
なにしろ、顔が右向いて体が左向いててもどうしようもないんだから、
地に足がつかないとはアノことだよ。 (笑)」
むかし、大阪から島根県の出雲へ年末帰省した時の友人の話、
下に紹介するのは、
今夜のテレビ番組を紹介した新聞のコラム。
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大都市サンパウロのバスターミナルはこの時期、
各地から出稼ぎ労働にやって来た人々の帰省ラッシュでごった返す。
子供や家族へのプレゼントを大量に抱えながら、
切符売り場に列を作り、数千キロにおよぶバスの旅に臨む。
誰もが驚くほどの高揚感に満ちているその雰囲気は、
家族関係が希薄となった今の日本人には新鮮にうつる。
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たしか以前にも、
中国やアルゼンチンの帰省風景をNHKは特番でやっていたと思うのですが、
その時も、
国土の広いことや人口の多いこともあって、
確かに見る人を圧倒するような迫力がありました。
ただ、この記事の書きぶりから、
つい四・五十年ほど前まで、日本にもこんな風景があり、
同じような熱気があったことを、
この記者は、もう実感として知らないのだろうなぁ、とも思ったのです。
当時の正月休みは、
大晦日の三一日から正月の三が日と云う会社がほとんど、
いきおい、帰省も三〇日に集中するわけで、
まず切符を手に入れるのがオオゴト、徹夜を含む何時間もの行列の後に、
始めの話のような状態から、
「やっと足が床に付き、
真っ直ぐ立てるようになるのは広島あたりからかな。」と云う
難行苦行を経て、めでたく実家に到着するわけです。
アノ当時は、みんな正月に帰らなければ意味がないと思ってたんですね、
正月なら、懐かしい友だちも帰省してるし、
なによりも「ふるさとの正月」には、今とは比べ物にならなほどの魅力があった。
きっとアノ当時の「熱気」を、
今の五十歳以下の人に解かれと云う方が、無理なんでしょうねぇ。