漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

捨て人形

2010年05月17日 | Weblog
友人の子息が、
「長らく交際していた女性と別れた」と聞いた。

その仲の睦まじさから、
周囲は、てっきり結婚するものと思っていたから、その別れは意外だったらしい。

別れた理由までは分からぬが、
双方ともに「アラサー」、三十前後だから年齢のせいでは無さそう。

男と女のことだから、
別れなどいくらもあること、別に珍しくもないが、

ただ、その母親が、
「いいのよ、元々、私とは合わない人だったから」と言っていたそうで、

こちらのほうが、今どきとしては珍しいか。

つまり、その母親としては、
「結婚したら同居」が前提の「息子の嫁」だから、

性格的に合わなければ「後でもめるだけ」、
あんな相手なら「むしろ早く別れて良かった」と云うことらしい。

先日、新聞の書評欄でこんな言葉を見つけ、しばし沈黙した。

「無人の浜の捨人形のように 独身」

作者は西川徹郎氏、
俳人にして現役のご住職だそうであるからこれは”俳句”、

西川氏ご本人は独身でないらしいが、
それでもこの句が気になったのは、こんな話を聞いたあとだったからか。

結婚と云うヤツは、
「まだまだ」と思っている間が適齢期で、
「もうそろそろ」と思ったころには「バスの乗り遅れ」と云うことがママある。

田舎の農道脇のバス停で、

日の暮れかかるころ、
いつ来るやも知れぬバスを待つ心境はこんなものかもしれない。

「 無人の崖の捨て人形のように ひとりぼっち 」






コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。