きのうの続き。
「浪花の恋の物語」には、原作者が登場するなど、
映画化のため、
様々に脚色されているのは当然として、
一番大きい脚色が、主人公の忠兵衛の人物像。
原作では、年は二十四と若いながら、
仕事もこなし、教養もあり、遊びごともひと通りはこなす、と云う一人前の若主人。
処が、映画の中の忠兵衛は、
生真面目だが世間知らずの「ぼんぼん」として登場する。
梅川と馴染むきっかけも、
嫌がる忠兵衛を悪友が女郎屋へ誘い込み、
帰ると云う忠兵衛に、
一夜を過ごさず帰られては、私が責められます」と、
相方となった遊女梅川が、頼み込むところから始まる。
このあたり、落語の「明烏(あけがらす)」を思わせ、
錦之助の忠兵衛も、
そう云う純情な男が、
誠意のある梅川に入れ込むと云う設定になっている。
ふだん温和しい男が、
一旦思い込むと、
周囲も手が付けられぬほどのめり込む、と云う脚本でこれはこれで説得力がある。
同じ内田吐夢監督と組んだ「宮本武蔵」のような、
錦之助が得意とするいつもの役とはがらりと違う役柄です。
実は近松のこの名作は、
江戸時代から様々に脚色されている。
当時は著作権と意識のない時代、
盗作さえも自由だったから、原作者に無断で改作もできた。
現在でも、文楽と歌舞伎では微妙に違う。
例えば、忠兵衛の友人、八右衛門、
原作では、忠兵衛の目を覚まそうと云う男気から、
廓で忠兵衛を笑い者にするのだが、
歌舞伎の方では、トコトン悪役、
女郎たちにも「ゲジゲジの八つぁん」と嫌われる嫌な男になっている。
映画が終わったと、
そんな処を比べながら、しばらくは楽しんでおりました。
「浪花の恋の物語」には、原作者が登場するなど、
映画化のため、
様々に脚色されているのは当然として、
一番大きい脚色が、主人公の忠兵衛の人物像。
原作では、年は二十四と若いながら、
仕事もこなし、教養もあり、遊びごともひと通りはこなす、と云う一人前の若主人。
処が、映画の中の忠兵衛は、
生真面目だが世間知らずの「ぼんぼん」として登場する。
梅川と馴染むきっかけも、
嫌がる忠兵衛を悪友が女郎屋へ誘い込み、
帰ると云う忠兵衛に、
一夜を過ごさず帰られては、私が責められます」と、
相方となった遊女梅川が、頼み込むところから始まる。
このあたり、落語の「明烏(あけがらす)」を思わせ、
錦之助の忠兵衛も、
そう云う純情な男が、
誠意のある梅川に入れ込むと云う設定になっている。
ふだん温和しい男が、
一旦思い込むと、
周囲も手が付けられぬほどのめり込む、と云う脚本でこれはこれで説得力がある。
同じ内田吐夢監督と組んだ「宮本武蔵」のような、
錦之助が得意とするいつもの役とはがらりと違う役柄です。
実は近松のこの名作は、
江戸時代から様々に脚色されている。
当時は著作権と意識のない時代、
盗作さえも自由だったから、原作者に無断で改作もできた。
現在でも、文楽と歌舞伎では微妙に違う。
例えば、忠兵衛の友人、八右衛門、
原作では、忠兵衛の目を覚まそうと云う男気から、
廓で忠兵衛を笑い者にするのだが、
歌舞伎の方では、トコトン悪役、
女郎たちにも「ゲジゲジの八つぁん」と嫌われる嫌な男になっている。
映画が終わったと、
そんな処を比べながら、しばらくは楽しんでおりました。