漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

宝くじで得をする方法

2009年01月08日 | せけんばなし
大晦日に抽籤のあった
ジャンボ宝くじの結果が、正月の新聞に出ていた。

きのうは又、
「1等2億円が全国で68本出た」と云う報道もあった。

当たった人には御目出度いことだが、
この宝くじ、

胴元の国もひどいではないか、と思うほどに還元率が低い。

集めたカネのうち、当籤金に充てるのは、
だいたい半分以下、中には三割程度と云うのもあるそうだ。

従って、宝くじを1万円買ったら、
その時点で、
それは五千円以下の価値しかない、と覚悟をする必要がある。

賭け事として見るなら、
こんなに、客に不利な博打(ばくち)はない、

なのに人気は高い。

私の古馴染みに、
年末になると必ず、宝くじを買うのに、
年が明けての当選発表は見ない、と云う御仁がいる。

彼に云わせると、
宝くじの魅力は、その賭博性にあるのではなく、
「もしも当たったらと考える楽しさにこそある」、のだそうだ。

つまり、
「宝くじを買う」とは、
そう云う「夢を買う」ことなのだと云う分けである。

結果が分かるまでの、
その「もしも」が楽しいのに、
早々と「ハズレ」が分かっては、せっかくの宝くじも紙くずでしかない。

さいわい、当籤金の受取期間は一年間ある。

その結果を知らずに過ごせば、
その一年間は「もしもン億円当たったら」と云う夢とともに過ごせる。

彼は、結果を知らないこの宝くじを、
免許証入れに忍ばせ、年中、肌身離さず持ち歩いている。

たまに会って、
呑み屋でいい気分になると、
彼は、免許証の入っている内ポケットを示し、

上から大事そうに手の平で抑え、

「俺はホンマはナ、
 もうとっくに、大金持ちかも知れへんのやで」と、ニヤニヤする。

彼は宝くじで夢を買うだけだから、
当選確率など気にしないし、売り場を選んだりもしない。

何より、沢山買う必要がないので、
最近の宝くじなら、千円出して、三枚買って100円の釣りを貰う。

わずかこれだけの投資だが、
仕事で凹むようなことがあると、

「宝くじさえ当たったら、
 こんな会社、いつでも辞めてやる」と思うことで、

彼の精神が、不思議なほどに、安定するのだそうだ。

彼は毎年、暮れになると、
まず新しい宝くじを買い、その後で一年前の結果を見る。

外れていても、ガッカリはしない、

なぜなら彼は、
もう既に、来年一年分の夢を手に入れているのだから。




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