漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

江戸の橋番

2012年01月08日 | ものがたり

世に「放生会(ほうじょうえ)」と云うのがある、
供養のため、捕えられている生き物を放し命を助けてやると云うアレ。

なぜ、そんなことをするかと云えば、
大概は、自分の死後の世界の安楽を願うからなのだが、

中には、亀を助けた浦島太郎のように
現世で乙姫様とドンチャン騒ぎ、などと云う幸運を祈る輩も居るかもしれない。

これは、江戸時代、
小遣い稼ぎとして「橋の番」をしていたと云う老人の息子の思い出がたり。
   
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両国橋のたもとに番小屋がありました。
そこには老人が役目を言い付かって橋や往来する人々の見張りをする。

とは云っても、お上からはただ、
「お弔いでも数えておけ」との一命令があるばかりで、他にはなんにも用はない。

身投げでもあれば止めるんでしょうが、
そう云うことがあったとは聞いたことはないから、
ただボーっとしてれば良いと言う、実に楽なものだったようです。

それで給金は月一分、
まぁ、わずかですが、ひとり身の年寄りなら、カツカツ食べていけた。

だから小遣い稼ぎなら、年寄りの隠居仕事に持って来いでした。

処で、
ここに一つの役得と申すは鰻売りが黙許となっていたことで、

イエ、焼くのではなく生きたまま売る。

毎月一日とか十五日に、
それを買った信心深い善男善女が、
「放しうなぎ」と申して、ナムアミダブツを唱えながら川へ放す。

処が、橋の上からポーンと下へ投げると、
大概が、下の川面に打たれて死んでしまうのだそうで・・・。

これじゃ、放しうなぎでなく殺しうなぎで・・・・・・。

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ペットショップで金魚買って、
近所のドブ川に放したら、やっぱり殺し金魚・・・。(笑)





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