むかし、「泥の河」と云う映画があって、
当時、かなりの話題になりました、原作が宮本輝さんの小説。
その中に、船上生活者の家庭が登場するんですけど、
文字通りの「浮草暮らし」ですね。
わたしゃそれまで、
日本の近代にそういう人たちが居たことさえ知らなかった。
その船上生活の家庭に生まれた少女の、
生い立ちを記したネット記事を先日見かけましてね。
昭和34年、
少女を産み落として間もなく、母親は家出、
彼女、三歳の時、大工だった父親が、仕事中に転落して死亡、
それからは、生活保護を受けながら祖母との暮らし、
中学生のころから水商売を経験し、
シンナーや売春などの非行もあって、少年院へ。
二十歳で結婚するが、
昔の仲間に誘われ、エロ本のモデルに、
処が、
折からのビニ本ブームに乗って、たちまち人気者に。
以後、アダルトビデオや裏ビデオのスター「田口ゆかり」としての時代を経て、
ストリッパーから、ノーパン喫茶、のぞき部屋、
ついにはソープランドと、
オンナのやれることは皆やって、
ケイサツの厄介になったことも何回か。
すさまじい生き方ですが、
でも、この人、
他人を傷つけたことは、ないんですよね。
いや、それどころか、
むしろ数多の男を“なぐさめた” 人 なんです。(笑)
アリスの谷村新司さんなど、
「青春をくれた特別な人」と、語ってるぐらいですからね。
はるかむかし、
「わたしは泣いています」と云う曲が大ヒットした歌手、
「リリィ」さんの訃報に接して、
彼女が、深夜食堂と云うテレビドラマに出た時、
いまは引退して悠々と暮らす、
「元・ストリッパー」と云う役を演じておられたことを思い出しましてね、
リリィさんから、深夜食堂、
元・ストリッパーから田口ゆかりさんへと、ネットの旅で行き着きました。
リリィさんも親との縁の薄かった人のようですが、
テレビなんかで知る限り、悠々と生きてるように見えました。
田口ゆかりさんも、外から見れば、
大変な人生だったけど、
案外、御当人は気楽に、「楽しく生きて来た」のかもしれないナ。
今、生きていれば57歳だそうです、
どうしてるんでしょね、楽しく暮らしておられたらいいですね。