漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

「コンマキ」と「にしん蕎麦」

2009年11月25日 | 食べもの
 
きのうの続き。

関西では
おせち料理の定番「昆布巻き」を、「コンマキ」と発音します。

だいたい昆布は「コブ」と発音するのですが、
その「コブマキ」が訛って「コンマキ」になった、と上方語源辞典にある。

もっとも今の若い人のことまでは知らないが。

ついでに書くと、食べもの語源辞典には、

「昆布は古くは、布のよう広いと云う処から、
 『広布(ひろめ)』とよばれていて、
 そこから広布の音読み、つまり『こぶ』となった」と云う説が紹介されている。

ワカメやアラメの「メ」も、同じ「布」からだそうだが、
勿論これも、数ある語源の一であって、これが正しいと云う書き方ではない。

日本風俗史事典には、

「国内で昆布を愛食するのは京阪地方で、ことに加工食品は大阪に発達した」とあり、
「『養老昆布』と書いて『よろこぶ』と読ませ、広く祝儀にもちいた」ともある。
また、
江戸時代の百家事典、和漢三才図会」には
「昆布と鯛を煮て食うと小便が通ず」とある事も紹介されており、

続日本紀に、
蝦夷(えみし)が、天皇に対し、
「先祖よりこのかた昆布を貢献し続けて来た」と云う記事もあると云うから、
昆布は、健康に良くて、目出度い食べ物として、古くから愛されていたようだ。

その昆布が、
多く上方で消費されたのは、
北海道で昆布ゃニシンを積み込んだ船が、日本海を南下し、
関門海峡を回って瀬戸内海、そこから大阪へと云うルートがあったから。

これにより、身欠き鰊を昆布で巻いて煮ると云う料理が生まれた。

特に、昔の京都は、日本で唯一の都会であったにも拘わらず
海から離れていて、鮮魚の調達が難しかったから、
ニシンのような干物を使った料理が発達したようで、

ニシンの漁場からはるか離れた京都で、
「にしん蕎麦」が名物のようになっているのはそのためだろう。

身欠きニシンは保存食品だから、
季節などないようなモノだが、やはり、にしん蕎麦には冬の季節が似合う。

半袖のTシャツにGパンよりは、
着物姿やコート姿の方がしっくり来るのだ。

ひとつ不思議なのは、
観光地価格で、高値の飲食店が多い京都なのに、にしん蕎麦だけは、それほど高くない事。

もっとも、これも、だいぶ以前の話であって、
今現在の京都で、
にしん蕎麦がいくらかは知らないのだから、アテにしないで下さいヨ。(笑)






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