きのうの続き。
関西では
おせち料理の定番「昆布巻き」を、「コンマキ」と発音します。
だいたい昆布は「コブ」と発音するのですが、
その「コブマキ」が訛って「コンマキ」になった、と上方語源辞典にある。
もっとも今の若い人のことまでは知らないが。
ついでに書くと、食べもの語源辞典には、
「昆布は古くは、布のよう広いと云う処から、
『広布(ひろめ)』とよばれていて、
そこから広布の音読み、つまり『こぶ』となった」と云う説が紹介されている。
ワカメやアラメの「メ」も、同じ「布」からだそうだが、
勿論これも、数ある語源の一であって、これが正しいと云う書き方ではない。
日本風俗史事典には、
「国内で昆布を愛食するのは京阪地方で、ことに加工食品は大阪に発達した」とあり、
「『養老昆布』と書いて『よろこぶ』と読ませ、広く祝儀にもちいた」ともある。
また、
江戸時代の百家事典、和漢三才図会」には
「昆布と鯛を煮て食うと小便が通ず」とある事も紹介されており、
、
続日本紀に、
蝦夷(えみし)が、天皇に対し、
「先祖よりこのかた昆布を貢献し続けて来た」と云う記事もあると云うから、
昆布は、健康に良くて、目出度い食べ物として、古くから愛されていたようだ。
その昆布が、
多く上方で消費されたのは、
北海道で昆布ゃニシンを積み込んだ船が、日本海を南下し、
関門海峡を回って瀬戸内海、そこから大阪へと云うルートがあったから。
これにより、身欠き鰊を昆布で巻いて煮ると云う料理が生まれた。
特に、昔の京都は、日本で唯一の都会であったにも拘わらず
海から離れていて、鮮魚の調達が難しかったから、
ニシンのような干物を使った料理が発達したようで、
ニシンの漁場からはるか離れた京都で、
「にしん蕎麦」が名物のようになっているのはそのためだろう。
身欠きニシンは保存食品だから、
季節などないようなモノだが、やはり、にしん蕎麦には冬の季節が似合う。
半袖のTシャツにGパンよりは、
着物姿やコート姿の方がしっくり来るのだ。
ひとつ不思議なのは、
観光地価格で、高値の飲食店が多い京都なのに、にしん蕎麦だけは、それほど高くない事。
もっとも、これも、だいぶ以前の話であって、
今現在の京都で、
にしん蕎麦がいくらかは知らないのだから、アテにしないで下さいヨ。(笑)