漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

ジャガイモの歩く道

2009年07月05日 | 食べもの
「東京都は1%」、
「大阪府は2%」、と云うこの数字、実は両大都市の「食料の自給率」です。

日本の食料自給率が40%を切り、
食料を自給できるのは、北海道と東北の四県のみと云うデータもある。

だから、
栄養や単位面積辺りの収量にすぐれ、
耕作も容易な「ジャガイモを見直してはいかが」と述べるのが、

山本紀夫氏著の「ジャガイモがきた道」と云う岩波新書。

尤も、人口の集中する大都市とあらば、
一%かどうかはともかく、世界中どこも大同小異、

似たようなものであろうから、
この本、ことさらに危機感を煽ろうとしているわけではない。

したがって、この本、
警告の書ではなく、副題に「文明・飢饉・戦争」とあるように、
アンデスに発したジャガイモが、
世界中に広まる過程を描いた啓発の書、なにより読んで楽しい本なのである。

私は、永らく、
南米のインカ文明が、なぜあのような高地に発達したのか不思議だった。

最近、はやりの「世界遺産」を紹介するテレビ番組に、
マチュピチュの遺跡が映されるたび、益々その疑問は深くなった。

しかし、この本を読んで、
その疑問の八割がたは解決されたように思う。

簡単にその理由を云うと、

インカ帝国で主食とされたであろうジャガイモが持つ、

水分が多いため、輸送に不利、
水分が多いため、長期保存に不利、

と云う、この二つの難点を、
アンデス高地特有の気候が克服したからで、

その具体的な点に付いては、またあした。




コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。