私が子供のころ、
「同種で殺し合うのは人間だけだ」などとと教えられたものです。
戦争などで殺し合いをするのは人間だけで、
他の生き物は同種同士では殺し合わない、と思われていたのです。
つまりライオンが兎を殺すことはあっても
ライオン同士では殺し合わないと云う分けです。
処が、霊長類の研究をしていた杉山幸丸博士が1962年、
インドに住む猿、ハヌマンラングールの世界では「子殺し」があることを発見する。
この猿の群れでは、
ボス猿一頭が他のメスを従える一夫多妻制なんですが、
ボス猿が衰えると、
一匹狼だったオス猿がこの群れに殴り込みをかけ、
首尾よくボスを追い出したあと前のボスの子供達を次々と殺す。
メスたちは、
授乳期間中は発情しないようになっているのですが、
子供を失うと発情し、
新しいボスと次々と交尾しだし、
コレに依り、
新しいボスは群れを自分の一族化してしまうことが出来る。
感情や理性的にはともかく、
生存競争という一点だけで見ればナルホドと言えなくもない習性ですな。
ただ、この発見は、
当初は「特異例」と見られ、長らく無視されていたんですが、
その後、
子殺しが他の霊長類やライオンなどでも発見されるようになると、
人間以外にも同種殺しがあることは常識となり、
今では「哺乳類の約40%の種で子殺しがある」とまで云われているのだそうな。
人間に限らず、
生きて行くと云うのは過酷なもの、なんですな。