漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

社会正義のために

2016年10月29日 | 事件
もう、ずいぶん前の事になるが、
安倍譲二さんと云う元暴力団員の前科持ちが、

「塀の中の懲りない面々」と云う自伝的小説を書き大ヒット、
ベストセラーになり、映画やテレビドラマにまでなった。

その映画に、
若き日の柳葉敏郎さんが出ていたが、その役名が「城崎勉」、

と云っても、
大方の方はご存知なかろうと思うが、

実在の人物で、
その経歴はと云うと、

左翼の活動家で、元赤軍派、
そのころ、闘争資金を得るため、銀行ギャングを繰り返したとして、

懲役十年、

花の盛りの二十代を刑務所で暮らすことになり、
そこで知り合ったのが安倍譲二さんと云う分けです。

その「城崎勉」の名が、
先日、久しぶりに新聞に出ていました。

インドネシアの在外公館に、
迫撃砲を打ち込んだと云う「ジャカルタ事件」の被告として。

もう68歳だそうです。

安倍さんと親しみながら,
囚人として刑期を送っていた20代の彼は、

赤軍派による、日航機ハイジャック事件が起こるや、

人質となった乗客との交換として、
服役中の赤軍派メンバーらの釈放をを要求、

この要求を呑んだ
日本政府の“超法規的措置”により、

“六億円の札束を手みやげにもらって釈放” ?、

ン・・・待てよ、これは合法的脱獄、と云うべきかな。

それはともかく、
この時の福田赳夫首相の言いわけ、

「人命は地球より重い」の、名(迷?)セリフは、

今も日本政府の軟弱を指す時の語り草となっている。

以後、城崎は、中東へ跳び、
PLOの戦闘員などとして活動、やがてネパールで逮捕され、

アメリカの法廷で「懲役30年」の判決。

しかし、「模範囚として」刑期が短縮され、2015年に釈放。

日本へ強制送還されたところを、「ジャカルタ事件」の容疑で逮捕、
先日の裁判報道、と云う分けです。

「塀の中の懲りない面々」によれば、
城崎勉は、「真面目で几帳面な好青年」、だったそうです。

長い日本の歴史の中でも、
もっとも繁栄し、もっとも平和だった時代に生まれながら、

戦闘と刑務所で埋め尽くされた人生ですが、

きっと、この人、ご自分では、
「社会正義のために」、真正面から真摯に、戦ってきたつもりなんでしょうね。

そう云う意味では、カンボジアで、
「百万人以上を虐殺した」とされるポル・ポトと同じかな。

ポルポトもまた、その遺族によると、
「世間が何と言おうと、私達にとっては優しい夫であり、父でした」と云うことですから。

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【ポル‐ポト】 Pol Pot
[1925?~1998]カンボジアの政治家・軍人。
本名サロト=サル。
1976年4月から1979年1月まで首相。
クメールルージュの最高指導者として過激な共産主義革命を試みた。
反対派とみなされて虐殺された国民は100万人を超えるといわれるが、正確な数字は不詳。


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