漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

おだやかに死ぬ

2011年08月01日 | しみじみした話

「人間 誰しも死ぬ。
 そして誰しも死ぬのは怖い。
 しかし、自分が必ず死ぬと云うことは知っている。」

そう書き出すのは
医師・石飛幸三氏著、「平穏死のすすめ」。

そして さらにこう続ける、

「そうであるならば、
 せめて苦しまないように、取り乱さないように死にたいと願っている。」

この本の副題は、
「口から食べられなくなったらどうしますか」、

老衰による天寿をまっとうしようとする高齢者に対し、
「近代医学は何もするべきでない」と説いている本である。

高齢者が食べられなくなると云うことは、
もはや体が食べ物を必要としていないのだ、

ここからは、
最新近代医学の出番はなくなり、あとは介護の領域だと説いている本である。

具体的には、
「もはや食べられなくなった高齢者に対する胃ろうの問題」を主として扱っている。

「胃ろう」は、「胃瘻」、
食べ物を飲み込む力がなくなった人に、
体外から胃へ、チューブでつなぐ手術をして、人工的に栄養を補給すること。

強制的に栄養を補給すれば 確かに、
幾許かの寿命は延びるが、
肺炎など余病を併発して、本人は よけいに苦しむことが多い。

私は二十年ほども前、長く寝たきりだった母を看送った。

当時、私が感じた矛盾は、医師にとっては 疑うべくもない正義だった。

やっと、日本でも、
「医師がこう云うことを書いて出版する時代が来たのだな」と思う。







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