お母さんが認知症になった方がおられましてね。
そのお母さんが、
昼の二時になると、いつも家を飛び出すんだそうです。
認知症ですからね、
「危ない」と止めようとするが、
振り切ってでも行こうとするんだそうです。
それが毎日のことで、
疲れ果てた息子さんがベテランの看護職員に相談したんですよ。
話をじっくり聞いていた看護職員は、
「毎日?、決まって二時ですか?」と確かめ、
「二時に何か心当たりはありませんか」と聞いてきた。
思い当たることもないので、
遠方の お兄さんにも相談して、電話でアレコレ話すうち、
「ひょっとしたら、アレかな」となり、
半信半疑、
その話を看護職員にしたら、そのベテランからアドバイスが出た。
次の日、
いつものように飛び出そうとするお母さんに、
後ろから息子さんが声を掛けた。
「今日は幼稚園、お泊りの日だよ」
すると、
お母さんが驚いたように振り返り、
「ああ、そうだった、忘れてた」と言うなり、
いつもの行動からすると、
信じられないほどおとなしくなり、自分で部屋に戻った。
その話をお兄さんにして、
「母は、俺たちの幼いころに戻り、
幼稚園へ迎えに行こうとしてたんだよ」と伝えると、
電話の前で兄が泣き出した。
その息子さんも もらい泣き、
兄弟二人、電話の前で号泣したそうです。
この話実話だそうで、
武田鉄矢さんがラジオでしていました。