漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

どうも間もなく死にそうです

2022年02月27日 | しみじみした話

「疾中」は宮沢賢治が肺病で死ぬ前に書いた詩集だそうです。

「眼にて云ふ」はその中の一編、それを抜き書き。

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 どうも間もなく死にそうです
 けれどもなんといい風でしょう

 もう清明が近いので
 あんなに青ぞらからもりあがって湧くやうに

 (中略)

 こんなに本気にいろいろ手あてもしていただけば
 これで死んでもまづは文句もありません

 血がでているにかかわらず

 こんなにのんきで苦しくないのは
 魂魄なかば体を放れたのですかな

 ただどうも血のために
 それを云えないがひどいです

 あなたの方からみたら
 随分 惨憺たるけしきでしょうが

 わたくしから見えるのは
 やっぱりきれいな青ぞらと透き通った風ばかりです。

 

 


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