比企の丘

彩の国・・・比企丘陵・・・鳩山の里びと。
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朝の連続テレビ小説「花子とアン」・・・ごきげんよう・サヨウナラ

2014-06-09 | 本・テレビ、ドラマ・映画・スポーツ
NHKの朝の連続テレビ小説は時計代わりによく見ています。「お日さま」の松本平の方言、「あまちゃん」の南部訛も面白かったですね。いまは「花子とアン」の甲州弁です。もっとも地元の人にいわせればオラアたちはそんな方言は使わないズラというかも知れませんが。

さて、いま放映中の「花子とアン」のことです・・・こんな本を読みました。

村岡恵理著「アンのゆりかご」村岡花子の生涯(新潮文庫2011年刊・・・マガジンハウス2008年初出)

右は・・・村岡花子の翻訳本ではありませんが家にある・・・山本史郎訳「赤毛のアン」(原書房1999年刊)です。この本の話は今回はこのブログでは触れません。

アンのゆりかご」の著者村岡恵理さんは村岡花子さんのお孫さんにあたるかたです。村岡花子さんが亡くなる1年前に生まれたかたなので村岡さんとのほとんど接点はありません。それだけに丁寧に資料を集めて抑えた筆致で村岡花子の生涯と「赤毛のアン」の生れたいきさつが書かれています。

村岡花子(1893~1968年)甲府市の生れ、5歳のとき一家をあげて東京に移住、10歳でカナダメソジスト派のミッションスクール東洋英和女学校に編入。21歳で山梨英和女学校の教師に。その後上京して編集者、童話作家、翻訳業に。キリスト教系の印刷業の福音印刷の村岡儆三と知り合い結婚、福音印刷は関東大震災で倒壊、倒産、夫とともに印刷・出版の会社を創立。
太平洋戦争直前の1939年にカナダに帰国する友人より「いつかまた、きっと平和がおとずれます。そのとき、あなたの手で、日本の少女たちにこの本を紹介してください」と分厚い小説の原書を贈られます。それがL.M.オルコット(1878~1942年)の「ANNE of GREEN GABLES」(1908年初出)です。
戦争中は日本文学報国会など戦争協力の立場をとったといわれますが、これはどの文化人も同じ、藤田嗣治は戦後そのため弾劾されて日本を去り、高村光太郎は戦後も花巻で世捨て人のようになりました。戦争協力・・・そうしなければ生活できなかったし、弾圧もあったでしょう。花子と親しかった婦人参政権獲得推進運動の市川房江(1893~1981年)は戦中は大日本言論報国会の理事となり、そのため戦後GHQにより公職追放となっています。市川らが獲得を目指した婦人参政権は戦後、その運動を始める前にGHQにより実現してしまいました。
カナダ人の宣教師ミス・ロレッタ・ショーから贈られた「ANNE of GREEN GABLES」は戦中、秘かに翻訳を続けたといいます。戦火を潜り抜けたこの翻訳原稿は、GHQが紙の統制を解除して出版界が活発になったころ、三笠書房の小池という編集者がその原稿を持ち帰り社長のOKをとり1952年(昭和27年)、陽の目を見ることになります。
ANNE of GREEN GABLESのグリーンゲイブルズとは「緑色の切妻の家」という屋号みたいなものです。わかりにくいので日本語の本の名前をどうしようかというとき小池編集者が「赤毛のアン」という案を出して本人は反対だったが養女のみどりさんが賛成して決まったそうです。以後、その邦題は訳者が違っても、アニメになっても絵本になっても、変わることなく「赤毛のアン」です。

「赤毛のアン」本として読むのはしんどいというかたに。

1985年CBC(カナダ放送協会)製作のテレビ映画の「赤毛のアン」シリーズ。
「赤毛のアン」「アンの青春」「アンの結婚」など。
作品としても素晴らしいと思うし、なによりもアンが「世界で一番美しい場所」といっているアンの故郷プリンス・エドワード島アボンリーの風景がとっても美しい。
日本ではこの風景が評判になり、旅行会社では「赤毛のアンのプリンス・エドワード島を尋ねるツアー」という商品がドル箱になっているようです。

DVDなどで発売され、レンタルショップや図書館にもあります。

村岡花子の生涯の「腹心の友」(bosom friend) 柳原燁子(白蓮)のことについて「アンのゆりかご」に書かれていたことを紹介します。
柳原燁子(1885~1967年)は柳原伯爵家の庶子、叔母が明治天皇の典侍(側女)で大正天皇の実母、子と大正天皇は従兄妹ということになります。政略結婚から逃れて結婚した宮崎龍介との間にできた長男香織は学徒動員して鹿児島県串木野で終戦4日前の8月11日にアメリカ軍の空襲により戦死。燁子は後にこう書いています。

先年の戦争で日本にはたくさんの犠牲者がいる。これらにたいして国はなんの救護もしていない。国民を偽って戦争にかりたてた政府が、このうえにまたも再び人民を戦争に追いやろうとする。その結果として残るものは混乱と反逆と殺戮と、ついには滅亡だけであろう

ANNEシリーズ」は全世界で5000万部、日本で1500万部という大ロングセラーになりました。
わたしが勝手に決めたのですが世界の少女小説の双璧は野上弥生子訳「アルプスの少女ハイジ」、村岡花子訳「赤毛のアン」といってもいいのじゃないでしょうか。
村岡花子さんは戦時下の混乱の中でカナダ人の「心の友」から「いつの日か、平和がおとずれたときに、子どもたちに読ませてほしい」と託された約束を見事に果たしました。

ぜひ見てくらっし!・・・それではゴキゲンヨウ・サヨウナラ!

初夏の軽井沢野鳥の森の・・・山野草…サクラソウ・・・ルリソウ

2014-06-09 | 野の花や木々
5月19日、軽井沢野鳥の森の散策です。
ネイチャーセンターともいえるピッキオの建物を通りすぎ、トンボ池の脇を沢伝いに山道を登って行くとカエル池、さらに真っ直ぐ進む沢のどん詰まりに。
少しジメジメした湿地がこの沢の水源地。小さな水たまりに小鳥たちが水浴びに来ていることもあります。
ここではいつも日本サクラソウの定点観測。
群落というほどではありませんが、毎年僅かづつ増えているような気がします。

日本サクラソウです。

ずっと前からこの時期に逢う花・・・ワスレナグサかと思っていました。


山道で東京から来たという老夫人に会い・・・少しお話ししました。この谷にある山荘に来たとのこと。
山荘にある花を見にいらっしゃいませんか・・・と誘われて連れて行ってもらいました。

山荘のお庭にある日本サクラソウです。

山荘のお庭にあるルリソウです・・・ワスレナグサだと思いこんでいたのはルリソウだったのです。

山道であった老婦人・・・穏やかなかたでした・・・一期一会です。

ワスレナグサとルリソウの違い・・・花の中心部が白いのがルリソウ、黄色を帯びているのがワスレナグサ。両方ともキク類シソ目ムラサキ科でワスレナグサ属、ルリソウ属と属が違う。ワスレナグサはヨーロッパ原産で明治時代に輸入。野生化もしている。ルリソウは本州中部以北、北海道で自生している。
見た目には私のような素人にはどっちがどっちだかわからない。どっちでもいいような気がする。美しい花だ。