日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く 完結編 - 全行程終了

2015-10-12 22:02:23 | 東北
全行程終了です。あとはまっすぐ走って帰ります。といいたいのはやまやまながら、この時間になって徐々に疲れが出てきました。単調な高速道では疲労が増幅されるため、一般道でも快走できる区間はそちらを行く方向で考えています。
現在の気温は15度、今更ながら空が晴れて星が出ています。数字の割に寒さもなく、結局今日は終日半袖で過ごしました。これならキャンプも快適でしょう。北国から次第に南下してきたことを肌で感じています。この先郡山まで走れば白河の関が射程圏に入り、関東は目前という気分になってくるものです。宇都宮まで走ればさらに安堵感が漂ってきます。出発地に近付いていく実感を、しみじみ噛みしめながらの帰り道です。
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晩秋の大地を行く 完結編 - 八幡の湯

2015-10-12 21:50:47 | 温泉
結局一風呂浴びたいという考えが勝り、福島飯坂で高速道を下りました。ただし、10時の看板が迫っており、新規の共同浴場を探している時間はありません。記憶を頼りに車を走らせ、やってきたのは「八幡の湯」です。
飯坂の共同浴場の代名詞といえば「鯖湖湯」ですが、こちらは住宅街の中にある地元客御用達の浴場です。その名の由来でもある八幡宮の鳥居のそばに、小さな建物が住宅に混じってぽつんと佇んでおり、静まり返った休日の夜には、なおさら情緒が漂っています。中央に寄せた小判形の浴槽の中央から熱いお湯が注がれ、その周りに地元客があぐらをかいて、たらいで湯を汲み身体を洗うといった雰囲気も好ましく、長旅の最後を飾るにふさわしい一湯です。

★八幡の湯
福島市飯坂町
600AM-2200PM
入浴料200円
泉質 単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
泉温 47.6度
pH 8.3
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晩秋の大地を行く 完結編 - 移動再開

2015-10-12 20:32:04 | 東北
腹を満たしたところで移動再開です。仙台宮城から再び東北道に乗ります。今から出れば、飯坂で一風呂浴びることも十分可能な情勢ながら、今日は全くといっていいほど汗をかいておらず、だからといって寒くもなく、帰ってからゆっくり入れば十分という気分なのも事実です。先を急ぎたければそのまま走り、やはり一風呂浴びたくなれば福島飯坂で一旦下りることにします。
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晩秋の大地を行く 完結編 - 旨味太助

2015-10-12 19:31:46 | B級グルメ
近年訪ねる頻度が激減している仙台ですが、足繁く通った頃を身体が覚えているものです。半ば反射的に街路を走り、いつも利用している時間貸しの駐車場に車を止め、国分町にやってきました。「旨味太助」の牛タンが満を持しての登場となります。
賛否両論を承知でいうなら、牛タンの持ち味は定食で最も生かされると私は思います。そして、定食の完成度において傑出しているのがこの店だと常々申してきました。しかるに、仙台から遠ざかるに伴ってこの店を訪ねる回数も減り、最後に訪ねたのは去年の暮れです。その前も一年間ばかり間が開いたような気がします。これだけ開くとありがたみも格別です。
このように、自分の目当ては牛タンそれ自体というより、テールスープと麦飯からなる三位一体の味わいにあります。よって、定食はあくまで一人前のみ注文するのが常であり、1.5人前を頼むより、一人前の定食を二度いただきたいというのが本音です。そして、隣席にはこのような趣向に同調してもらえそうな御仁が。一人前の定食を半分ほど食べ進めた後、慣れた様子で麦飯をおかわりし、都合二杯を平らげたのです。「できる」と感服せずにはいられませんでした。

旨味太助
仙台市青葉区国分町2-11-11 千松島ビル1F
022-262-2539
平日 1130AM-2130PM(LO)
日曜 1130AM-2030PM(LO)
月曜定休(祝日の場合翌日休業)
定食1300円
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晩秋の大地を行く 完結編 - 西道路

2015-10-12 18:55:08 | 東北
予想以上の早さで光量がなくなったため、立ち寄る予定だった6駅のうち後半の3駅は断念。北上金ヶ崎から東北道に乗り、仙台宮城で下りました。出発からの走行距離は2700kmを少し超えたところです。
遅々たる歩みだった日中に対し、その後は素早く行動した結果、7時という絶妙な時間の仙台到着となりました。そこから先は過去に走った回数が格段に増え、ある程度時間が読めるようになってきます。仙台を出るのが9時、10時になっても、どうにか破綻しない程度の時間に着くものです。温泉にまで寄れるかどうかは微妙だとしても、最低限の余裕を持って帰れるだろうと見込んでいます。

ちなみに、東北道を上って仙台市街に入る場合、距離的に最も無駄がないのは一つ手前の泉ICであり、仙台宮城で下りた場合、市街を反時計回りに三時の位置まで迂回してから東進する形になります。高速道の利用は極力最小限にとどめるという近年の方針に従えば、今回は泉で下りるべきところです。
それにも関わらず仙台宮城で下りるのは、ICと中心街を直結する西道路の短縮効果によるところが一つ。そしてより本質的な理由は、仙台市街へ至るまでの場面の展開にあります。急勾配と急曲線が連続するICの前後の線形、青葉山を一直線に貫く西道路のトンネル、それを抜けるやいなや現れる仙台の中心街という場面の移り変わりが、仙台へ来たことを強く実感させてくれるのです。以前東北新幹線の仙台駅の発着を絶賛しましたが、あの展開にも通ずる起承転結が、仙台宮城のICにはあるとでも申しましょうか。とかく無味乾燥な高速道路に、旅情を感じる数少ない局面の一つです。
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晩秋の大地を行く 完結編 - 花巻空港駅

2015-10-12 16:38:42 | 東北
お隣の花巻空港駅を訪ねます。空港駅なる名称とは裏腹に、駅舎は昔ながらの木造で、ホームの裏手に農協のサイロが建つなど長閑な雰囲気です。大きな切妻屋根だった石鳥谷に対し、こちらでは中央部が高く、左側がやや低く、右に張り出た短い部分が最も低いという、高中低三段階に分かれた屋根を特徴とします。
日が傾いたところへ雲も再び厚くなり、撮影の条件としては厳しくなってきました。EOS-1D Xの高感度性能を駆使すれば撮りうる範囲とはいえ、これでは「一応押さえた」という程度にならざるを得ません。要は先日石北本線の駅を訪ねたときと全く同じ状況です。とはいえ、東日本の木造駅舎が次々取り壊されて行く中、この駅も安泰とはいえない以上、不完全な条件と分かっていても立ち寄らざるを得ないのが現状ではあります。久々に再訪できたのは幸いでした。
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晩秋の大地を行く 完結編 - 石鳥谷駅

2015-10-12 16:08:08 | 東北
続いて訪ねるのは、昔ながらの木造駅舎が残る石鳥谷駅です。高い切妻屋根が特徴で、まっすぐ降りた屋根が庇のように張り出しており、玄関部分とホーム側は少し奥まって、雁木のような構造になっています。その部分を支える木柱の意匠も秀逸です。
屋根はきれいに葺き替えられ、腰壁は海鼠壁風に仕立てられて、待合室も整然としています。古い駅舎が今なお大切に使われているのは喜ばしいことです。
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晩秋の大地を行く 完結編 - 日詰駅

2015-10-12 15:37:13 | 東北
早く出るつもりのときは昼までかかり、昼でよいと思ったときにはそれ以上の長居をしてしまうのが常です。結局三時まで盛岡に滞在してしまいました。とはいえ、まだまだ切迫感はありません。沿線の駅に寄りつつ南下します。
最初に訪ねるのは日詰駅です。国鉄末期に改築されたやや小柄な駅舎は、味わいにかけては古い駅舎に一歩譲るものの、切妻を基本にしつつ、三角形のファサードを大中小合わせて三つ並べた意匠はそれなりの絵になっています。
今日寄ろうとしている駅は六ヶ所あり、全て回るかどうかのうちに日が暮れると予想されます。いずれの駅からも東北道は至近のため、日が暮れ次第東北道に乗り、仙台まで一気に距離を稼ぐ予定です。仙台まで南下するということは、三たび車を置いて一時帰京する選択肢を事実上放棄し、今日限りでの決着を図るということでもあります。お約束の牛タンをいただき、最後に飯坂か西那須野で一風呂浴びる時間が残れば、長旅の最後としては申し分なしといったところでしょう。
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晩秋の大地を行く 完結編 - もりおか町家物語館

2015-10-12 14:10:36 | 東北
今回再訪して気付いたのは、大慈清水の近くに「もりおか町家物語館」なる施設ができていたことです。古い町家と蔵が点在し、盛岡の中でもとりわけ趣のあるこの地区ですが、その中でもとりわけ立派な蔵二つと、すぐそばにある土蔵と棟続きになった町家、さらには消防団の施設として現役の櫓付きの建物が美しく修復され、中まで見学できるようになっています。
入館無料の文字につられて中に入ると、屋内は外観から想像する以上に広く、中心の広間が三階の高さまで吹き抜けとなって、明かり取りの小屋根につながっていました。太い梁と柱はもちろんのこと、二階へ上がる階段の側面に引き出しと箪笥が収められていたり、立派な神棚が鎮座していたりと、細部の造りも凝っています。二階には吹き抜けの空間を囲むように十畳間がL字型に四つ並んでおり、敷地の広さが一目瞭然。格子窓、装飾入りの欄間と手摺など、細部にわたって凝っているのは吹き抜けの区画と同様です。かつて家人が生活していたと思しき一階の区画は、民芸調の家具が並んだ喫茶室になっており、ここでお茶をすすれば優雅な気分になること請け合いでしょう。もちろん、二階の十畳間で一息入れるだけでも十分落ち着けます。
この施設に限らず、周辺には近年修復されたと思しき町家がいくつかあります。町並みを保存すべく、市が以前から助成金を出すなどしていて、その集大成がこの施設なのかもしれません。修復するとはいっても、「門司港レトロ」のごとき俗な観光地となってしまっては元も子もないとはいえ、このような形での活用は非常に好ましく感じられました。古民家好き、建築好きには一見の価値ありです。
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晩秋の大地を行く 完結編 - 大慈清水

2015-10-12 13:27:30 | 東北
盛岡を出る前に毎度おなじみ大慈清水で喉を潤します。二度の一時帰京を挟んで三部に分かれた今回の旅ですが、いずれも道中に最低一度は湧水が登場し、水筒を満たしての帰京となります。
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晩秋の大地を行く 完結編 - 食道園

2015-10-12 12:10:23 | B級グルメ
盛岡に午前いっぱい滞在するという展開は、おおむね想定通りでした。しかし、一つだけ誤算だったことがあります。「盛楼閣」に開店を待って入ろうとしたところ、ビルもろとも改装休業中だったのです。昨晩到着が遅くなったとき、この店があると当てにし切っていたはずが、危うく足をすくわれるところだったということになります。しかし幸いにして「食道園」に待ち時間なしで入れたため、こちらでお昼をいただくことにしました。
祝日につき焼肉と冷麺のセットメニューはありません。どちらか一方の選択を迫られたとき、躊躇なく選んだのはカルビセット1450円也。薄切りで表面積が大きく、焼くというより炙る程度で最も持ち味を発揮するのが当店のカルビの特徴です。従来は「盛楼閣」より脂身が多いという印象だったはずが、昨日「肉の米内」で食した豚トロ並みのカルビに比べれば、こちらは噛めば噛むほど肉の味が滲み出てくるように感じられます。やはり、自分にはこの程度が最も合っているようです。
焼肉を二日続けたことにより、今更再認識したこともあります。こちらではタレの小皿がつかず、すき焼きと同様溶き卵に漬けるのが暗黙の前提になっていることです。ただしこれは、小皿一枚出すのを惜しんだということではなく、タレで焼いたものを重ねてタレに漬けるより、生卵と合わせた方が調和するような味だからなのでしょう。「盛楼閣」「肉の米内」両店では半ば形骸化しいている生卵を、最も効果的に使っているのはこの店だと思います。

食道園
盛岡市大通1-8-2
019-651-4590
平日 1130AM-1530PM/1700PM-2400PM
日祝日 1130AM-1530PM/1700PM-2200PM
第一・第三火曜定休
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晩秋の大地を行く 完結編 - 紅葉

2015-10-12 10:26:12 | 東北
まずは宿に車を置いて周囲を散策します。中津川、バスセンターに続いてやってきたのは岩手公園です。木々が大分紅葉してきており、木によってはまさに見頃、全体を通じてもそろそろ見頃といっても過言ではない状況です。京都が観光客で狂乱状態となるのは、少なくともあと一月経ってからではないでしょうか。北国の秋は、こちらが想像していた以上の早さで深まってきました。
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晩秋の大地を行く 完結編 - 二日目

2015-10-12 08:39:12 | 東北
おはようございます。昨日都内で見た雨雲が北上してきたか、盛岡市街はあいにくの雨模様となっています。曇ならともかく、雨では行動も自ずと制約されます。しかし、出発地まで最短経路で500km台前半という残りの距離を考えると、一日で走り切るには大半の時間を移動に費やさなければなりません。否が応でも先へ進まざるを得ないという点では、この方がむしろ好都合ではないでしょうか。
さらに一週延長する場合には、寄り道しつつ南下して、くりこま高原、古川あたりを拠点に一時帰京するという選択が一つ。内陸へ分け入って新庄、東根あたりを拠点にするという選択もあります。しかしこの場合、次回は一泊二日でも行き来できる範囲での活動となり、わざわざ一時帰京をする意義は、過去二回に比べて相当低いのが実情です。北国の旅は今回をもって完結し、次は進路を西に切り替えるのもよかろうと考えています。
過去の実績からしても、早々に出発するつもりが、なんだかんだで午前いっぱい盛岡に滞在する可能性は少なからずあります。しかし、東北道を一気に飛ばせば、仙台まで辿り着くのは造作もなく、そこまで走れば帰着は十分視野に入ってきます。あまり早く進むと連休最終日の渋滞に重なり、だからといってあまりに遅くなれば体力的にも心理的にも厳しくなってくるため、両者の中間となるように適宜調整しながら進むのが賢明でしょう。
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晩秋の大地を行く 完結編 - Bar Cafe the S

2015-10-12 00:19:07 | 居酒屋
10時台の遅い開始が災いし、二軒目に予定していた「ハタゴ家」には残念ながら看板で振られてしまいました。しかも、一旦止んだ雨が再び降り出してくる始末です。この状況下で新たに店を探す気力もなく、居酒屋を諦めもう一軒の心当たりを訪ねました。これまでにも何度か世話になったBar Cafe the Sです。
去年盛岡に泊まったときは、教祖おすすめの「海ごはんしまか」が看板、「食道園」が定休、「ハタゴ家」が臨時休業という形で立て続けに振られ、あまつさえこの店までが閉まっていた結果、駅前まで延々歩いて「盛楼閣」に駆け込むという結果でした。今回もここに振られてしまえば、やはり「盛楼閣」以外に選択肢がなくなるという状況の中、返り討ちを覚悟しつつも店へ向かうと、幸いにして行灯の明かりが見えてきました。ガラスの扉を開いたところで体格のよい店主が迎えてくれ、これでどうにか一安心といったところです。

一言でいうならジャズバーです。ジャズも洋酒も分からない自分が、徒手空拳のままジャズバーなどに飛び込むはずもなく、職場のボスに紹介されて訪ねたのがそもそもの始まりでした。しかし、その一回限りで終わることなく、その後も何度か訪ねている理由は二つに大別されます。一つはジャズ音痴の自分にとっても居心地のよい空間だということです。
たとえばカウンターは、風合いのよい白木の板を何枚もつなぎ合わせたもので、継ぎ方自体も凝っています。床はカウンターと色調を合わせたフローリング、壁は白塗り、天井は剥き出しのコンクリート打ちっ放しで仕上げられ、派手な色彩を押さえながらも明るく統一感のある内装です。玄関の脇に鎮座するグランドピアノ、その隣にあるドラムセット、壁面に並んだ名演奏家たちの肖像がジャズバーであることをさりげなく主張しています。
一番奥の突き当たりにあるオーディオセットからは、豊かな音色でジャズが流れ、演奏が終わると店主がレコード棚から次の一枚を選び、ターンテーブルに乗せた後で静かに針を置きます。上記の通り、音量の大小ではなく「豊か」と形容したくなるのは、安物のアンプとスピーカーの音量を上げたのとは全く違う余裕が感じられるからで、おそらく大容量のアンプとそれ相応のスピーカーによるものなのでしょう。例えていうなら、軽自動車が非力な機関を全開にして出す100km/hと、高級車が出す100km/hの違いとでも申しましょうか。素人でもこれは違うと即座に分かる、細部まで徹底的に造り込んだ、それでいながらさりげない店内の雰囲気が、居心地よく感じられる理由なのだろうと思います。
もう一つの理由として、Bar Cafeを標榜する通りバーと喫茶を兼ねており、腹もそこそこ満たせるという点があります。バーというと、重厚なカウンターに向かい、わずかばかりの乾き物を肴にグラスを傾けるという場面を連想しがちで、居酒屋一辺倒の自分にはいささか取り付きにくいのが実情です。しかしこちらの品書きは充実しており、カウンターに向かって左側の黒板にはピザ、ドライカレー、ソーセージ、サラミ、チーズといった腹を満たせるものが、右側の黒板には甘味と喫茶の品々が並びます。たとえばビールで喉を潤し、ピザかドライカレーで小腹を満たした後、水割りでも傾けながらジャズを聴くといった使い方もできるわけです。もちろん甘味で締めてもよく、以前食したジェラートは量も十分の食べ応えある一品でした。

紹介があったからこそ訪ねた店であり、何の手がかりもなく通りがかったとしても、おそらく一瞥するのがせいぜいで、自ら入ろうとは考えなかったでしょう。居酒屋の位置付けが高くない盛岡だからこそ、このような選択ができたともいえます。しかし、一に居酒屋二に居酒屋、三、四がなくて五にラーメンというのが常のところ、焼肉とジャズバーのはしごというのも、趣向を変える上では悪くありません。次回もこの店の世話になる可能性はありそうです。

★Bar Cafe the S
盛岡市菜園2-7-30 スガトウビル1F
019-625-2440
1900PM-300AM
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