徳島で吞んだことは過去に二度あり、そのうち一度はかなり時間をかけて呑み屋街を歩いています。しかし、たかが二回で呑み屋街を征服できるはずもなく、全貌についてはいまだによく分かっていないのが現状です。今回は一から探す余裕もないため、活動仲間の情報に頼ります。訪ねるのは「瀬戸際」です。
雑居ビルの一階にある暖簾をくぐると、十席少々の長いカウンターが奥へと伸びていました。その程度の席数でも長く感じるのは、それだけ間口が狭いということでもあります。奥に座敷がありそうな気配もなく、このカウンターが客席の全てなのかもしれません。しかし、白髪混じりの店主と女将が二人で差配するには適度な大きさです。事前の情報通り、壁はお客の名刺と短冊の品書きで埋め尽くされており、カウンターは古びた化粧板で、お世辞にも高級感はありません。しかし、「酒場放浪記」にでも出てきそうな、御常連御用達とでもいうべき雰囲気は上々です。
短冊は地物の魚を中心に二十種ほど、それがカウンターの手前、中央、奥の三ヶ所に貼り出され、手元の品書きはありません。鯛、生たこといったところに瀬戸内らしさが感じられる一方で、よこたたきの文字には関西の文化が感じられ、徳島の土地柄を物語っているようです。
店主は一見客にも懇切丁寧で、やはり鯛と蛸がおすすめであること、半分ずつ二種選んでもよいことなどを説明してくれます。そこで鯛とよこの叩きを半々で注文すると、それぞれ一人前でもおかしくないほどの分量が下駄に乗って出てきました。しかも、鯛には皮の部分を湯引きにするという心憎い一手間が加えられています。
それにしても、店主と女将は間断なく喋ります。会津若松の「麦とろ」に博多の「一富」など、話し好きな店主は自分の知る中でも何人かいるとはいえ、店主と女将が揃ってということになると、今回残念ながら立ち寄れなかった松山「せくら」の店主夫妻だけではないでしょうか。偶然にも、その「せくら」と同様店内には懐メロが流れています。「江戸の仇を長崎で討つ」の例え話を思い出させる道中最後の夜でした。
★瀬戸際
徳島市栄町1-66
088-626-3837
1700PM-2300PM
日曜定休
芳水・鳴門鯛
鳴門たい刺身
地物よこたたき
小たい唐揚げ
雑居ビルの一階にある暖簾をくぐると、十席少々の長いカウンターが奥へと伸びていました。その程度の席数でも長く感じるのは、それだけ間口が狭いということでもあります。奥に座敷がありそうな気配もなく、このカウンターが客席の全てなのかもしれません。しかし、白髪混じりの店主と女将が二人で差配するには適度な大きさです。事前の情報通り、壁はお客の名刺と短冊の品書きで埋め尽くされており、カウンターは古びた化粧板で、お世辞にも高級感はありません。しかし、「酒場放浪記」にでも出てきそうな、御常連御用達とでもいうべき雰囲気は上々です。
短冊は地物の魚を中心に二十種ほど、それがカウンターの手前、中央、奥の三ヶ所に貼り出され、手元の品書きはありません。鯛、生たこといったところに瀬戸内らしさが感じられる一方で、よこたたきの文字には関西の文化が感じられ、徳島の土地柄を物語っているようです。
店主は一見客にも懇切丁寧で、やはり鯛と蛸がおすすめであること、半分ずつ二種選んでもよいことなどを説明してくれます。そこで鯛とよこの叩きを半々で注文すると、それぞれ一人前でもおかしくないほどの分量が下駄に乗って出てきました。しかも、鯛には皮の部分を湯引きにするという心憎い一手間が加えられています。
それにしても、店主と女将は間断なく喋ります。会津若松の「麦とろ」に博多の「一富」など、話し好きな店主は自分の知る中でも何人かいるとはいえ、店主と女将が揃ってということになると、今回残念ながら立ち寄れなかった松山「せくら」の店主夫妻だけではないでしょうか。偶然にも、その「せくら」と同様店内には懐メロが流れています。「江戸の仇を長崎で討つ」の例え話を思い出させる道中最後の夜でした。
★瀬戸際
徳島市栄町1-66
088-626-3837
1700PM-2300PM
日曜定休
芳水・鳴門鯛
鳴門たい刺身
地物よこたたき
小たい唐揚げ