日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

冬晴れの駿河を行く 2015 - 新生丸

2015-01-24 20:44:40 | 居酒屋
早々に切り上げて夜の部に注力するつもりが、夕景を眺めたり酒屋に寄ったり、さらには宿で一風呂浴びたりする間にそれなりの時間となってきました。結果的にはいつもと同様、清水と静岡で一軒ずつ立ち寄るのが現実的でしょう。名酒場がひしめく清水の街ですが、一軒限り、それも約一年ぶりの再訪となれば選択肢は自ずと絞られてきます。毎度おなじみ「新生丸」の暖簾をくぐりました。
日頃から常連客で混み合うこの店ですが、閉店まで一時間半という状況もあり、今日はお客が徐々に引け出しています。自分と入れ替わりで小上がりのお客が去り、残ったのはカウンターの二組五名と小上がりの二名のみです。L字のカウンター席の短い側に腰を下ろして、珍しく余裕綽々の着席と相成りました。

大抵の酒場では、まず酒を頼み、お通しをつつきながら品書きをざっと眺めて、おおよその組み立てを考えるのが常です。ところがこの店ではその必要がありません。品数がとにかく多くて絞りきれず、結局おまかせで盛り合わせてもらうしかないからです。今回もそのようにして刺身を所望すると、差し出されたのは五点盛りです。普段は七点、八点ある豪勢な盛り合わせが、今日に限って五点とは、数の上ではやや淋しいようにも思われます。しかしこれには理由がありました。
というのは、五点のうちの一点が、本鮪の大トロなどという代物なのです。それも味見程度に一口だけというのではなく、この店らしく惜し気もなしに盛られています。同じものを寿司屋で頼むといくらするのでしょうか。日頃は全く手を出さない高級食材だけに、大トロの良し悪しを分かっているわけではありません。しかし、この店が出すからには、おそらく大トロの中でも相当な上物なのでしょう。これが大トロの味かとしみじみ感謝しつついただきました。
この大トロに限らず、ネタはどれをとっても最高です。先週訪ねた「紋や」にしてもここにしても、ただ上物を揃えるだけではなく、それぞれに彩りと季節感が織り込まれていて、一手間加えるべきものにはしかるべき手が加えられており、なおかつその一仕事が完璧にこなされています。たとえば平目は軽く昆布〆にされており、〆鯖の塩加減酢加減も肴としては絶妙です。

そのような仕事ぶりの極致ともいえるのは、何といってもカワハギでしょう。一尾をそのまま使うため、盛り合わせとは別注文になるとはいえ、冬場に来たならこれを選ばない手はありません。冷蔵ケースに最後の一尾があるのを確かめて注文すると、やってきたのはなめろうの味噌の代わりに肝を使って叩いたもので、この店を初めて訪ねたときに若主人から勧められたのと同じものでした。しかし、去年訪ねたときは叩かずに肝和えで出てきたと記憶しています。恐らく、ネタの状態に応じて叩き、肝和え、お造りといった具合に調理を変えているのでしょう。いずれにしても、肴としてこれ以上のものはありません。アラは女将が甘めに煮付けてくれ、一粒で二度も三度もおいしい逸品です。最後は酒が足りなくなり、四合目に突入するかというところ、あえて自制し席を立ちます。

新生丸
静岡市清水区巴町10-29
054-352-3851
1600PM-2200PM
日祝日定休

英君二合・正雪
お通し二品(ながらみ・いんげん和え物)
刺し盛り五点
カワハギ
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冬晴れの駿河を行く 2015 - 篠田酒店

2015-01-24 18:49:30 | 酒屋
清水市街へ戻る途中に良酒屋発見です。入江岡の駅を跨線橋で越える手前で袖看板を掲げた酒屋が目に止まり、店先に積まれた磯自慢の酒樽と、ライトアップに浮かび上がった店構えにつられて入ると、これが当たりだったという次第です。酒屋の良し悪しは居酒屋の良し悪しよりも歴然としています。
それではこの店の何が当たりかといえば、背が高くて奥行きのある立派な店構えが一つ。必ずしも大店ではないにもかかわらず、驚くほどの品数を取り揃えているのが一つです。構成は酒がざっと七割、ワインが二割、残りが焼酎その他といったところでしょうか。県内酒と県外酒を半々ずつ扱い、県内は磯自慢、喜久酔といった有名どころはもちろんのこと、英君、志太泉、国香など県外では見慣れない酒が多数揃います。越乃寒梅、雪中梅、久保田に八海山と、新潟の有名どころが並ぶのはご愛嬌としても、愛知の義侠を一押しにして、北は青森から南は高知まで、全国各地の知る人ぞ知る酒を揃えているところには造詣の深さが感じられます。これはいい店に出会いました。

篠田酒店
静岡市清水区入江岡町3-3
054-352-5047
900AM-2000PM
日祝日定休
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冬晴れの駿河を行く 2015 - 昼の部終了

2015-01-24 17:51:52 | 東海
日没から一時間近くが経過し、残照がほぼなくなったところで切り上げます。日中11度に達した気温は7.5度に下がりました。温暖な静岡といえども、この時期の日没後はさすがに冷えます。
静岡市街に明かりが灯り、西の空がえもいわれぬ茜色に染まって、天頂にいつしか三日月が浮かび上がるという展開が秀逸でした。まさかの曇り空で見事に足をすくわれた一日でしたが、夕景だけは最高だったというのが実感です。明日も晴れてくれれば、今度は三保の松原で夕景を見届けたいものです。
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冬晴れの駿河を行く 2015 - 日本平

2015-01-24 17:15:36 | 東海
そのようなわけで、登山道を駆け上がって日本平にやってきました。先ほど静岡市街の向こうに日が沈んだところです。
去年の早春に訪ねたときは、静岡市街の中心と日が沈む方角が重なったのに対し、今回はそれよりやや左に日が沈んだため、夕空の鮮やかさに関してはそのときに一歩譲ります。とはいえ、稜線が鮮明に浮かび上がった夕空は冬そのものです。惨敗かと思われた昼の部でしたが、最後に一矢報いることができたのは幸いでした。
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冬晴れの駿河を行く 2015 - 遅すぎた晴天

2015-01-24 16:06:22 | 東海
清水市街に入ったところで、今更ながら空が晴れてきました。東側は相変わらず厚い雲に覆われており、やはり晴と曇は紙一重だったことが分かります。たとえ晴れても富士山が見えない状況では画龍点睛を欠くため、それとは関係のない西向きの眺めが好適でしょう。舌の根も乾かぬうちに前言を撤回し、日本平で静岡市街の夕景を眺めることにします。
ちなみに清水駅前で活動仲間に遭遇。実家があるのは承知していたものの、まさか出くわすとは思いませんでした。先々月の館山、先月の長岡、今月の清水と、旅先での奇遇は三ヶ月連続です。
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冬晴れの駿河を行く 2015 - 敗北宣言

2015-01-24 14:46:11 | 東海
かき揚げについては完勝でしたが、天気については惨敗です。残念ながら空が晴れる気配は全くありませんorz
箱根を越えたところで日が差してはきたものの、雲が多くて遠景も霞み、期待していた冬晴れには遠く及ばない状況でした。主役の富士山も中腹以上は完全に雲隠れしており、富士市街を過ぎてからは元の木阿弥という状況となって現在に至ります。これなら先週末に旅した福井の方がはるかにましでした。
やり切れないのは、天候を念入りに確認してから出たことです。前回の活動から戻って以来、天気予報を随時確認するのはもちろんのこと、前日は都心から遠景が鮮明に見えているのを確かめました。その結果、今週末なら行けるだろうと判断して乗り込んだわけです。それが見事なまでの空振りに終わったということもあり、敗北感にもただならぬものがあります。
日の入りは徐々に遅くなりつつあり、今日もおそらく五時頃までは明るいでしょう。しかし、静岡では見事な冬晴れを過去何度も経験しているため、それには遠く及ばない条件下で、日没まで粘る動機はありません。今日は運がなかったと潔く割り切ります。

かくして昼の部はさしたる収穫もなく終わろうとしており、あとは夜の部でどれだけ挽回できるかの勝負となります。この点当地は恵まれています。いずれ劣らぬ名店が散らばる清水と静岡では、取捨選択に頭を悩ませるのが常です。一晩で全て回り切るのは到底無理とはいえ、早い時間に始めれば、普段よりも一軒、二軒多く選べるのではないでしょうか。昼間の借りを少しでも取り返したいものだと思います。
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冬晴れの駿河を行く 2015 - 浜のかきあげや

2015-01-24 14:30:51 | B級グルメ
その後もさしたる見せ場はなく、1号線を淡々と下って由比の漁港にやってきました。目当てはもちろんかき揚げ丼です。桜海老には頓着がない自分でも、ここのかき揚げだけは別だと常々申してきました。特に去年は立ち寄る機会を逃しただけに、二年ぶりの味わいは格別です。
冬晴れの青空の下、寒風に吹かれながらこのかき揚げ丼をいただくのが、静岡を旅するときの楽しみでもあるだけに、あいにくの空模様が残念です。しかし、晴れていればと意味のない仮想をするより、かき揚げ丼が最高だったことを喜びたいと思います。

浜のかきあげや
静岡市清水区由比今宿字浜1068-2
0543-76-0001
1000AM-1500PM
休漁期間中 月曜から木曜定休
漁期間中 月曜定休
かき揚げ丼750円
みそ汁100円
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冬晴れの駿河を行く 2015 - 惨敗

2015-01-24 11:40:27 | 関東
午前の部は見事なまでの惨敗に終わってしまいましたorz
横浜新道、1号線、134号線を経由して大磯へ行くところまではまだよかったのです。しかし、西湘バイパスを使わず1号線を走ったところ、松並木の車窓こそよかったものの、常時渋滞またはそれに近い流れで非常に難儀しました。その後やっとのことで小田原市街に入り、教祖おすすめの「だるま料理店」で腹ごしらえをしようとしたところ、今度は開店早々駐車場が予約満車で取り付く島もありません。否応なしに退散し、そのまま箱根新道に乗ったというのがここまでの顛末です。
小田原で腹ごしらえをし損なったことにより、次の機会は三島または沼津となります。しかし、今から行けば昼時の最も混む時間に重なり、沼津の漁港など駐車場に入るにも一苦労でしょう。これでは当然ながら近寄る気さえ起きません。空腹を抱えながらも1号線をひたすら下り、由比の漁港で遅めのお昼をいただければ上出来といったところではないでしょうか。

このような事態に至った原因を突き詰めるなら、朝から一貫して冴えない天候に尽きます。先へ行けば行くほど空は暗くなってきており、これでは日本海側と大差がありません。天候がよくないため先を急ぐ動機もなくなり、あえて時間のかかる旧道などを走った結果、それが裏目に出てしまいました。仮に晴れれば、湘南の海を眺めて、ターンパイクで箱根を越えるといった具合に、時間の使い道はいくらでもあったのですが。天候に見放されれば元も子もなくなるという本活動の特殊事情を、如実に反映した結果となりました。
改めて天気予報を確認すると、何とも皮肉なことに北関東と静岡西部は晴れ、自分の行動圏内である南関東と静岡東部だけが曇りがちとなっているようです。嘘か真か、二時頃からは晴れてくるとの予想であり、的中すれば夕景だけは眺めることができます。しかし、その期待さえ裏切られれば、早めに投宿して夜の部に注力するしかなさそうです。
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冬晴れの駿河を行く 2015 - 紙一重

2015-01-24 08:42:31 | 関東
第三京浜を下り、保土ヶ谷のパーキングエリアで休憩中です。気温は4.5度、正月に通ったときは未明とはいえ氷点下5度だったことを考えると、この時期としては暖かい方なのかもしれません。それにもかかわらず薄ら寒いのは、空が依然として晴れないからで、雲は出発時よりむしろ厚くなったような気がします。富士山も今のところ姿を現しません。とはいえ、東京方面は晴れており、紙一重で冬晴れに変わりうる状況ではあります。そのうちこちらも晴れてくると信じたいものです。
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冬晴れの駿河を行く 2015 - 出発

2015-01-24 07:09:15 | 関東
本日は目的地が近いこともあり、七時という少し遅めの出発です。天候は期待通りの快晴、といいたいところなのですが、あいにく天頂が全面雲に覆われています。東の空は完璧に晴れ筑波山も見えているため、天頂が晴れ山が雲に隠れていた先週とは逆の状況です。
もっとも、週末パスも北陸フリー乗車券も前日までに押さえなければならず、今更汽車旅に振り替えるわけにはいきません。出発がこれ以上遅れると都内の道がますます混んでくるため、天気待ちは百害あって一利なしです。朝焼けと天気予報を信じるしかないでしょう。花見と同様、晴れなければ話にならない活動の典型だけに、首尾よく青空が広がってくれればよいのですが。
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