会津若松と並んで、自身最も多く泊まった街の一つである弘前ですが、だからといって呑み屋街をくまなく歩き尽くしたわけではありません。同じ街に何度も通うと、出入りする呑み屋が自ずと絞られ、宿からその店に直行直帰する形となるため、呑み屋街の全貌を意外なほどに知らないのです。特に弘前の場合、これまで足を運んだ店がことごとく路地裏の隠れ家といった佇まいで、繁華街には近寄りもしないのが常態化しています。今夜もそのようにして呑み屋街を素通りし、目当ての「弦や」にやってきました。
過去にも語った通り、この店のよさとしていの一番に挙げたいのは、何といっても佇まいです。他に飲食店の明かりが一つもない、行き交う人も車もまばらな路地裏にぽつんと行灯が灯り、小高い斜面の上には最勝院の五重塔が。城下町に特有の折れ曲がった街路を少し歩けば富田の清水があり、小屋の中には裸電球が夜通し光って、その下で清水が懇々と湧き出ているといった具合です。何の手がかりもなく、よくこの店を探り当てたものだと我ながら思います。
料亭の居抜きという立派な店構えとは裏腹に、品書きの中心は意表を突くタイ料理です。しかし、刺身に豆腐に煮込みといった左党好みの品々もいくつか揃い、居酒屋使いには好適。薄暗くどこか怪しげだったカウンターは最近明るくなり、ますます居酒屋然としてきました。
時節柄秋刀魚が主役なのは昨日と同じで、品書きには刺身に塩焼、そしてこの店らしくタイ風カルパッチョとナンプラー揚げの文字が。その中から手堅く刺身と塩焼を選び、あとは毎回必ずいただく黒石豆腐を注文。これに牛すじ煮込みかつくねを加えれば、居酒屋使いで完結することも可能でしょう。とはいえ、ここの主役はあくまでタイ料理です。その矜恃に敬意を表し、最後はガパオライスで締めくくります。「はすや」の存在が偉大すぎ、不動の二番手に甘んじているこの店ですが、久方ぶりに腰を据えて呑めたのはよいことでした。
★弦や
弘前市銅屋町34
0172-34-9951
1800PM-2330AM(LO)
日曜定休(月曜祝日の場合月曜定休)
ヱビス・めっ×2・田酒
お通し(ゴーヤチャンプルー)
秋刀魚刺身
黒石豆腐
秋刀魚湖塩焼
ガパオライス
過去にも語った通り、この店のよさとしていの一番に挙げたいのは、何といっても佇まいです。他に飲食店の明かりが一つもない、行き交う人も車もまばらな路地裏にぽつんと行灯が灯り、小高い斜面の上には最勝院の五重塔が。城下町に特有の折れ曲がった街路を少し歩けば富田の清水があり、小屋の中には裸電球が夜通し光って、その下で清水が懇々と湧き出ているといった具合です。何の手がかりもなく、よくこの店を探り当てたものだと我ながら思います。
料亭の居抜きという立派な店構えとは裏腹に、品書きの中心は意表を突くタイ料理です。しかし、刺身に豆腐に煮込みといった左党好みの品々もいくつか揃い、居酒屋使いには好適。薄暗くどこか怪しげだったカウンターは最近明るくなり、ますます居酒屋然としてきました。
時節柄秋刀魚が主役なのは昨日と同じで、品書きには刺身に塩焼、そしてこの店らしくタイ風カルパッチョとナンプラー揚げの文字が。その中から手堅く刺身と塩焼を選び、あとは毎回必ずいただく黒石豆腐を注文。これに牛すじ煮込みかつくねを加えれば、居酒屋使いで完結することも可能でしょう。とはいえ、ここの主役はあくまでタイ料理です。その矜恃に敬意を表し、最後はガパオライスで締めくくります。「はすや」の存在が偉大すぎ、不動の二番手に甘んじているこの店ですが、久方ぶりに腰を据えて呑めたのはよいことでした。
★弦や
弘前市銅屋町34
0172-34-9951
1800PM-2330AM(LO)
日曜定休(月曜祝日の場合月曜定休)
ヱビス・めっ×2・田酒
お通し(ゴーヤチャンプルー)
秋刀魚刺身
黒石豆腐
秋刀魚湖塩焼
ガパオライス