日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 21:20:31 | 居酒屋
会津若松と並んで、自身最も多く泊まった街の一つである弘前ですが、だからといって呑み屋街をくまなく歩き尽くしたわけではありません。同じ街に何度も通うと、出入りする呑み屋が自ずと絞られ、宿からその店に直行直帰する形となるため、呑み屋街の全貌を意外なほどに知らないのです。特に弘前の場合、これまで足を運んだ店がことごとく路地裏の隠れ家といった佇まいで、繁華街には近寄りもしないのが常態化しています。今夜もそのようにして呑み屋街を素通りし、目当ての「弦や」にやってきました。

過去にも語った通り、この店のよさとしていの一番に挙げたいのは、何といっても佇まいです。他に飲食店の明かりが一つもない、行き交う人も車もまばらな路地裏にぽつんと行灯が灯り、小高い斜面の上には最勝院の五重塔が。城下町に特有の折れ曲がった街路を少し歩けば富田の清水があり、小屋の中には裸電球が夜通し光って、その下で清水が懇々と湧き出ているといった具合です。何の手がかりもなく、よくこの店を探り当てたものだと我ながら思います。
料亭の居抜きという立派な店構えとは裏腹に、品書きの中心は意表を突くタイ料理です。しかし、刺身に豆腐に煮込みといった左党好みの品々もいくつか揃い、居酒屋使いには好適。薄暗くどこか怪しげだったカウンターは最近明るくなり、ますます居酒屋然としてきました。
時節柄秋刀魚が主役なのは昨日と同じで、品書きには刺身に塩焼、そしてこの店らしくタイ風カルパッチョとナンプラー揚げの文字が。その中から手堅く刺身と塩焼を選び、あとは毎回必ずいただく黒石豆腐を注文。これに牛すじ煮込みかつくねを加えれば、居酒屋使いで完結することも可能でしょう。とはいえ、ここの主役はあくまでタイ料理です。その矜恃に敬意を表し、最後はガパオライスで締めくくります。「はすや」の存在が偉大すぎ、不動の二番手に甘んじているこの店ですが、久方ぶりに腰を据えて呑めたのはよいことでした。

弦や
弘前市銅屋町34
0172-34-9951
1800PM-2330AM(LO)
日曜定休(月曜祝日の場合月曜定休)

ヱビス・めっ×2・田酒
お通し(ゴーヤチャンプルー)
秋刀魚刺身
黒石豆腐
秋刀魚湖塩焼
ガパオライス
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 20:45:17 | 東北
弘前市街に戻り、只今投宿したところです。弘前の近辺で終日撮影に費やしたこともあり、本日は50kmという控えめな走行距離でした。暖かいと評したのも束の間、気温は次第に下がって昨晩並みの14.5度となっています。
「はすや」が休みなのを承知で弘前に連泊したのは、この店に振られたとき決まって助け舟となってくれる「弦や」が開いていると知ったからです。しかし、頼みの綱が見切りで店じまいしてしまえば、事態は一気に暗転するため、前置きはこの程度にして早々に出発します。
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 18:52:13 | 温泉
自分でも数え切れないほど何度も津軽を旅して、その都度何ヶ所か温泉を訪ねているにもかかわらず、いまだ新規の温泉が尽きないのは大したものだと思います。本日立ち寄るのは「松崎温泉」です。
県道沿いに建つ、大小三つの片流れの建屋を重ねた外観は、津軽の日帰り温泉の正統派。館内は内湯のみの浴場にカーペットの休憩室と潔く、その浴場は入って右と手前の壁際に洗い場を、左奥に長方形の浴槽を置きます。大理石で縁取られた浴槽は左側からざっと一対二に区切られて、それぞれ同じお湯が掛け流され、大きさの関係で左があつ湯、右がぬる湯となる仕掛けです。淡緑をした、ほんのり湯の香漂う塩辛い源泉は、北海道で訪ねた「ながぬま温泉」を彷彿とさせます。

★松崎温泉
平川市松崎西田27-1
0172-44-8251
700AM-2200PM(第一火曜定休)
入浴料360円
泉質 ナトリウム塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉)
泉温 61度
pH 8.0
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 17:55:25 | 東北
その後五時前の貨物を見送ったところで列車撮影を切り上げ、夕日が見られる場所を探して移動。五時半を目前にして、岩木山の左の裾野に日が沈んでいきました。先日滞在した道央でも、日没は六時近くだったことを考えると、津軽で五時半とは随分と早いような気がします。「秋の日は釣瓶落とし」とはよくいったものです。日没に追いまくられるような切迫感こそまだないものの、日没間際の日差しの弱々しさは、まさに秋そのものといった感がありました。

終わってみれば、今日も日がな一日列車を追いかけて日が暮れました。明日も今日並みに晴れてくれれば、今日全く手が回らなかった弘南鉄道を撮るつもりです。その結果、夜は半ば自動的に弘前三連泊となります。そうすると問題になるのが、最終日となる明後日の使い道です。
経験上、津軽から一日で自走して帰るのは、不可能とはいわないまでもかなりの冒険です。二度目の一時帰京をして中三日で舞い戻るという流れは、これでほぼ出来上がりました。しかしながら、弘前から秋田方面へ南下しようとすると、単調な移動の時間が長くならざるを得ず、一時帰京の手段も秋田新幹線となるため、青森から帰るよりもかえって時間が要ります。なまじ南下をするよりも、最後まで青森で完結させた方が、一時帰京をする上では何かと便利なのです。津軽ならば活動の題材には事欠かないため、今回は青森で完結させる方向に大きく傾いてきました。

この後は一風呂浴びてから弘前市街に戻ります。現在の気温は昨日よりも少し高めの18度、Tシャツ一枚でもさほどの肌寒さを感じません。北海道滞在中に引き続き、今夜も絶好のキャンプ日和です。しかし、どことなく内地離れしていた南部地方から眺めは一変し、北海道の名残は完全に消え去りました。昨日まであれほど見かけた赤トンボも、今日はそれほど見かけなかったような気がします。一口に青森といっても、津軽と南部は全くの別世界です。
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 14:56:31 | 東北
午後の部は川部から北常盤にかけての定番の撮影地に移動してきました。午前中に順光となる、岩木山を背景にした絵柄で知られるこの区間ですが、午後はその岩木山に背を向ける形が基本となります。しかし、期待通りに色づいた稲穂が一面に広がっており、撮影にはまことにおあつらえ向きです。
ちなみに、津軽では少しずつ稲刈りが始まっており、ざっと見渡す限り一割程度は刈り取られているでしょうか。しかし、刈った田圃に稲が干されている光景なども、これはこれで悪くありません。
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 13:12:06 | B級グルメ
場所と時間からしてお昼は黒石の焼きそばかというところ、川部の駅へ向かう途中に「やきそば」の幟が出現。咄嗟のことに一旦通り過ぎて引き返すと、ごく普通の民家の一角で、持ち帰り専門の焼きそば屋が開かれていました。昨日の昼の弁当に続く唐突さに思わずつられ、こちらを本日のお昼とします。
平打ちのストレート麺は黒石と同じで、100円単位の量り売りについても同様。具材は玉葱のみと潔く、物足りなく感じる向きには三個100円の唐揚げを注文すればよいという寸法です。300円分の焼きそばに唐揚げを買い求め、軒先のブランコに腰掛けていただくと、庭先ではリンゴが赤く色づいています。これも津軽の秋らしい光景です。
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 12:07:31 | 東北
本日最大の目玉であった583系の団臨が、先ほど青森方面へ走り去って行きました。通過の瞬間日が陰ってしまい、あと30秒早いか遅ければという、何ともやるせない結果でした。まあ、このような運不運も列車撮影の醍醐味ではあります。気を取り直して午後の部に移りたいと思いますorz
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 11:35:26 | 東北
大枚はたいてEOS-1D Xを導入して以来、にわかに撮り鉄化している今日この頃ですが、本日は津軽平野を行く列車たちを追いかけます。まずは撫牛子から川部にかけての直線区間に狙いを定めました。
手前に稲穂、正面に岩木山を置き、下り列車が左から右へと通過して行く絵柄は、初夏に訪ねた岩手山を一望する好摩のお立ち台によく似ています。背景に重なった送電線がやや気になるものの、線路脇の草はきれいに刈り取られており、五能線の列車も撮れて一石二鳥なので、まずはこちらでよいでしょう。
朝方には一点の曇りもなかった岩木山ですが、その後昨日とよく似た大きな雲がいくつも現れ、山頂は雲で隠れてしまいました。加えて日が陰る場面も出てきており、今のところ日が当たる時間と陰る時間が五分五分といった見当です。列車の通過時間は首尾よく晴れてくれればよいのですが。
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 10:36:08 | 東北
続いては弘前公園に立ち寄ります。ただし、一周すれば桜がなくとも軽く一、二時間はかかるため、西濠の周辺を冷やかす程度に見物するだけです。
禅林街に続き、ここでも驚くべき光景に出くわしました。外濠の北東側が蓮で埋め尽くされていたのです。蓮が浮いているのはもちろん承知していたものの、これまで旅した春から初夏にかけては、水面が覆い尽くされるということはありませんでした。自分の知らない津軽の四季を、また一つ発見できたような気がします。
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 10:04:31 | 東北
まずは毎度おなじみ禅林広場を訪ねます。弘前市街から岩木山を眺めるなら、弘前城の本丸かここかというところ、観光客がいない静かな雰囲気をとりました。
今回訪ねて驚いたことが二つあります。一つは、高台の向こうに広がっているはずの市街が、背丈の倍ほどもある草で完全に隠れており、さらには岩木山も半分近く隠れていたことです。もちろん、過去に花見で訪ねたとき、このようなものは影も形もありませんでした。一夏でこれだけ延びるとは大したものだと思います。
もう一つ驚いたのは、宿から弘前公園を通ってこの場所に至るまで、道が終始渋滞気味だったことです。公園の周辺ならともかく、なぜここまでが混むのかと不思議に思っていたところ、禅林街の入口にさしかかってようやく事態が飲み込めました。花屋の店先に、大量の花束が並んでいたのです。そうです、今日は彼岸の日曜日でした。沿道には見たこともないような数の車が止まり、それぞれの寺では地元の人々が花を供えて手を合わせています。都会人が忘れてしまった血縁地縁の強さというものを、この光景が無言のうちに物語っているようです。
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 09:28:38 | 東北
出発します。昨晩世話になったのは定宿のスーパーホテル、ではなく「弘前パークホテル」でした。今年の花見で、満室のスーパーホテルに代わって利用した「弘前国際ホテル」が非常によい宿だったため、これなら地場の宿の方がよかろうと思い至り、ついに乗り換えを決断した次第です。その「弘前国際ホテル」を再度利用するにもやぶさかではなかったところ、弘前市街の中でもひときわ格式高いこの宿に、格安で宿泊できることが分かったため、今回初の投宿と相成りました。
エスカレーターで上がる三階のフロントの広々した造りは、ビジネスホテルとは全くの別次元。真鍮製のルームキーなど、小物一つとっても高級感が漂っています。さらに幸運だったのは、和室に泊まれたことでした。一人には十分すぎる八畳の和室には畳の香りが立ち上り、窓の外に岩木山が鎮座するという眺めも最高です。
朝食は13階の展望レストランで供され、和惣菜を中心に郷土色も出ているのは「弘前国際ホテル」と同様。品数豊富で目移りし、結局全てを選びきれないあちらの朝食に比べ、品数は大分限られてはいるものの、それでも必要にして十分な数です。そして何より、眺望はこちらが断然勝っています。三方向に大きな窓が開き、右手には岩木山、左手には白神山地。クロスを敷いた広々したテーブル席で、ピアノの調べを聴きつつ朝食をとる優雅さは、スーパーホテルの慌ただしい朝食会場とは全くの別世界です。品数をとるなら弘前国際、眺めと居心地をとるならこの宿といったところでしょうか。もちろん立地についても申し分ありません。駅からも城までもおおむね等距離という立地はスーパーホテルと変わらず、当然ながら「はすや」は目と鼻の先です。
このように、何から何まで完璧で、難癖をつけようにも大浴場がないこと以外には思いつきません。温泉が選び放題という津軽の土地柄を考えれば、その難点も取るに足らないものです。これでスーパーホテルと500円しか違わないのですから、ここを選ばない手はないでしょう。長年世話になってきたスーパーホテルに対する申し訳なさはあるものの、弘前の宿はここか弘前国際で決まりということになるかもしれません。
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色づく秋の北国へ 2014Part2 三日目

2014-09-21 07:13:06 | 東北
おはようございます。昨夜は「はすや」一軒限りで完結とし、散歩がてら富田の清水で喉を潤してから宿に戻るという、弘前での通例通りの展開となりました。一点の曇りもない星空と、北海道と比べても控えめな虫の声が印象的でした。
天候は昨日に続いて快晴、しかし大きな雲が浮かんでいた昨日と違い、絹のような薄い雲がところどころに出ており、昨日以上に秋らしくなってきました。もちろん岩木山は山頂まで一点の曇りもなく、なおかつ冠雪もありません。過去に何度となく旅した津軽ですが、雪のない岩木山を眺めるのはこれが実質初めてのようなものです。津軽平野で稲穂を見るのも初めての経験となります。マンネリズムを楽しむのが津軽の旅の真骨頂ではありますが、今回は新鮮な感覚で活動できるかもしれません。
本日は列車撮影を組み合わせつつ、終日津軽平野に滞在する予定です。「はすや」は定休ながら、開いている店の心当たりはあるため、夜は弘前に連泊ということになるかと思います。明日は秋田方面へ移動するつもりでいますが、次の週末まで中三日という条件からして、何となれば北東北から二度目の一時帰京をする手もあるわけです。秋の津軽の居心地があまりによければ、空知と同様三連泊することも考えています。
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