日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

地図のTPO

2010-06-22 23:47:11 | 旅日記
Web版の地図に対するこだわりを以前に長々と語ったことがありますが、今回は実物の地図に関するこだわりです。

旅先においては一つの地図で全ての用途を満たすことはできず、用途に応じて縮尺が違う複数の地図を使い分けることが不可欠になります。現在メインで使っているのがツーリングマップルRです。ツーリングマップルの高級版として2年前に発売されたこのシリーズ、その名の通りもともとはライダー向けの地図として制作されたものですが、行動パターンがライダーに近いため重宝しています。快走路や展望スポット、古式ゆかしい町並みやB級グルメ、名水などの情報などが道路地図に重ねる形で表示されるのですが、それぞれが実走調査と口コミによって年々洗練されるため、非常に実用性が高いのです。気ままな一人旅が自分の流儀であり、綿密な下調べというものは性に合いませんが、事前にツーリングマップルRをざっと眺めておくと必ず新しい発見があるものです。北海道、東北、関東甲信越といったブロックごとの編集で、なおかつ東北版でも関東地方の大半が収録されるなど、周辺地域を含めかなりの範囲をカバーしているため、この一冊さえあれば大半の用途が済んでしまいます。リング製本のため運転中にいちいちページをめくる必要がないというのも一人旅には好適で、ある程度旅に慣れた人なら下手な道路地図より断然おすすめできるシリーズです。
とはいえ、市街地を走るならツーリングマップルRでは情報量が足りず、県別マップルスーパーマップルが必要となる場面が出てきます。また、十kmから数十km程度の移動ならツーリングマップルRでよいものの、100km近い移動の場合は全体像がとらえづらくなるため、県別マップル、スーパーマップルの広域図が便利になります。100kmを越すような長距離移動では、高速道のサービスエリアで配布される折りたたみ式の地図が便利で、例えば関東、甲信越、東北などのブロック内の地図を俯瞰できるので、長距離移動のルート設計には最適になります。

レンタカーにも当たり前のようにカーナビが完備されるようになった世の中で、わざわざ何冊もの地図を持ち運ぶのには理由があります。カーナビの指示通りに走っても面白味がないのです。全国の地図が自由自在の縮尺で表示され、目的地へのルートが的確に指示されるその機能は、まさに文明の利器と呼ぶにふさわしいものですが、そこには目的地へ至るプロセス、つまり旅の本質とでもいうべき楽しみが完全に欠落してしまっています。カーナビの指示通りに走って目的地にたどり着いたとしても、それは単なる移動であって旅ではありません。カーナビはあくまで現在地確認の手段というのが自分にとっての位置づけです。
地図を広げて見知らぬ町に思いを馳せるのが旅の原点だと私は思います。どんなにカーナビが便利になったとしても、地図を手放すことはないでしょう。
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