野外保育 とよた 森のたまご
小さな草にも、大きな木にも、一つ一つに役割があり、私たちの生活に欠かせないものを、
小さな手で触れ、いろんな気持ちをいっぱい感じ、育ってほしい。
子ども同士の関わり、時間を大切にし、満足感や、達成感をたくさん味わってほしい。
大人たちは少し口を閉じ、子どもたちが何をどう選ぶのかそっと見守り、
必要な時には知恵のエッセンス。
大人も子どもも育ち合い、自分らしく生きる・・・
『森のたまご』にしか出来ない、手作りようちえんを創っていきたいと思っています。
前日の雨でぬかるんだところで始まったどろんこ遊びに、みんなが集まって来る。
年少Sタ、Wコ、Yヘも。そのままさわるのはちょっと躊躇するけど
道具があれば遊べそう。
その様子をうしろからひょこっと覗いて、じーっと見ていた年少Aト。
Aトは、「かっか(母)とバイバイできる。早く年長さんになりたい」
と言って入園してきた。こないだは雨が降っても「かっぱは着ない」と頑張った。
少し慎重で緊張しぃながらも、意志が強くてとても誇り高いAト。
Sタは「おかあさんとバイバイはいや」と入園してきた。
先週は離れ際にいっぱい泣いたけど、ピーピー豆をお母さんにプレゼントするの、と
少しずつ周りのものに目を向けて気持ちをきりかえて遊んでいた。
この日Sタは、カップに泥水を入れて、私のカッパのズボンに何度もかけにくる、といういたずらを楽しんだ。
私が多少演技して「ぎゃーっ」と驚くと、「キャーッ」と喜び、
「いたずらっこー!」と言うと、すっごく嬉しそうにもう一度カップに泥水を入れる。
Sタのこんないい顔初めて見られてうれしい!そこにいた年少さんみんなが笑っていていい雰囲気。
一歩離れたとこから見てるAトもにこにこ楽しそう。
気持ちがほぐれてきたAトが、ダンゴムシを見つけて
Aト「ダンゴムシさわれるよ。まるまるんだよ」と私に見せにきてくれた。
なお「わー まるまるんだね」
試しに、私の手を出してみると、私の手にも這わせてくれる。Aトが心を許してくれてると感じてうれしかった。
YへとSタものぞきにくる。2人の手にもダンゴムシを這わせてくれるAト。
そこで事件発生!
Sタがいきなりダンゴムシを建物の下に投げ込んだ。
(え!?なんで!?)
「Aトのダンゴムシ!!!」
今日一番のAトの大きな声。張りつめた表情のAト。
Aトがやっと自分から動いて遊び始めたダンゴムシだったのに。
なんでだろうというちょっと悲しい気持ちと、Aトの気持ちを受け止めたくて
「なおちゃんなら手が届くかもしれない」
と私は床下に手を伸ばした。
すると、伸ばした私の手を
「ダメ!」
とおさえるSタ。一瞬、時が止まる。
Sタ「ダンゴムシ、おかあさんにあいたいっていってる。おかあさんにあいにいくからダメ!」
Yへ「そうだよ!おかあさんにあいにいくんだよ!だからダメ!」
真剣に伝えてくる2人。
ダンゴムシを見送った。泣きそうなAト。
(そうか。ダンゴムシもSタと一緒でお母さんに会いたいと思ったから急いで建物の下に投げたんだね。
だけど、ダンゴムシはやっと見つかったAトのお友達だったのに。)
あ~どっちの気持ちも分かるから何も言えない・・・。
もしこの状況を子どもたちの内側でなく外から見ていたらきっとAトが泣いていて、Sタの真意が分からずに
「悲しかったね。欲しかったよね。」とAトに言ってしまっていたかもしれない。
かろうじて私は
「ダンゴムシ、こっちからまたひょっこり出てくるかなぁ」
とつぶやいた。
Aトはなんと
「また見つけるからいい!」
と言った。
すごいな。ダンゴムシに自分たちを重ねて「お母さんに会いたいけど、頑張ってる」っていう気持ちでこの場が一つになっている。見えない空気で気持ちを共有してる。
3歳児ってすごいんだなぁ。
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この後、3人と私で道路に流れる水を見に出かけた。
Aトは、水に直接触るのがいやだから足で。SタとYへは手で、水をせきとめて遊ぶ。
(車が来たらやめようね、と自分たちで声をかけあってからこのポーズ)
Aトが足で「かんかんかん」と踏切をやると、二人もすぐに真似して「かんかんかん」
にこにこ楽しそうに3人の気持ちが重なり合うのを感じる。
Aトは「おべんとうだよー」の声に吸い寄せられて、みんなのほうに先に戻った。
SタとYへが、しばらくして気が付いて
「あれ?Aトは?Aトー!」「Aトー!」
一生懸命呼んでいる。気持ちがつながっているのがうれしかった。
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帰りの会でかなちゃんが「楽しかったことががある人教えて~」と投げかけたら
Aトが「かっか(母)がいないのが うれしかった」
とにこにこして言った。
ん?どういう意味?笑 とその時は思ったんだけど、振り返ってみてなんとなく・・・
この日、お友達と遊べた一日が楽しかったこと、かっかとバイバイできた自分がうれしかったんじゃないかな?
誇り高い3歳児。こんなに4月の3歳児がたくましくしっかり意志をもった存在だと思えたのは今年初めてかもしれない。
小さい人、お母さんと離れて泣けてくるから助けてあげたい人、のように見てしまっていたかも。きっと色々見落としていたのだ。
(スタッフなお)
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