水俣病の現在

2006年はチッソ付属病院から水俣保健所に「奇病」発見の公式通知から50年。水俣病公式確認から50年です。

与党の最終決着案に、チッソは非協力

2006年12月08日 | 水俣病
水俣湾・不知火海沿岸の水俣病患者は3万人と推定される。政府与党(自民・公明)が、第2次最終政治決着の検討を開始した。
1996年の村山政権の政治決着では対象が10,353人、一人当たりの一時金は260万円であった。
今度の与党案は対象が3万人、一時金は100万円の予想である。これでは患者が納得しないには自明である。加害企業チッソは早々と時効宣言、つまりカネを出さないことを宣言した。
第2の最終政治決着には予算的裏付けがない。与党は、水俣病患者の実態調査にもとづいて政治決着をめざす、と言い訳をしているが、事実上の政治決着断念である。

水俣病患者の実態調査を延々と時間をかけて調査を続け、水俣病患者が死んでいなくなることを期待したような、政治姿勢である。これが第2の最終政治決着なのであろうか。
水俣病の病状を調べるだけで十分なはずで、生活まで調べるのは、水俣病患者の全滅を待つ、時間稼ぎである。
あるいは、1966年の一時金260万円をもらった者には、ニセ患者がいる、と週刊誌が書いて、裁判沙汰になった。今度の患者生活実態調査は、一時金支給前にニセ患者を排除することが最大目的なのかもしれない。

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チッソ、水俣病は時効を宣言

水俣病不知火患者会の認定申請者が国と熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が2006年11月27日、熊本地裁(亀川清長裁判長)であり、チッソ側は「時効の主張を撤回する考えはない」と明言した。原告弁護団は「チッソの主張は法的にも社会的にも許されない」と反発している。

チッソ側は
(1)原告の多くは1995(平成7)年の政治決着前から感覚障害を自覚しており、既に消滅時効期間の3年が経過している
(2)原告の症状が、提訴から20年前の1985年10月3日以前に発生していた場合、損害賠償請求権がなくなる除斥期間が経過していると主張している。

弁論で原告側は「時効主張は世界最大規模の水銀公害を引き起こした責任を否定するもので、断固、抗議する。本当にこんな主張をするのか」とただしたが、チッソ側は撤回の意思はないと伝えた。また、同日の弁論で国と熊本県は、両者の加害責任を認めた水俣病関西訴訟の最高裁判決に基づき、「1960年1月以降の規制権限不行使については国賠法上、違法であることは争わない」と述べた。

会見した大石利生原告団長は「チッソの時効主張は腹立たしい。公式確認から50年たっても患者は出ている。加害企業として最後の一人まで救済する責務がある」と批判した。

(熊本日日新聞2006年11月28日)  

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