水俣病の現在

2006年はチッソ付属病院から水俣保健所に「奇病」発見の公式通知から50年。水俣病公式確認から50年です。

水俣病審査会,認定審査が追いつかず

2007年04月08日 | 水俣病
熊本県の水俣病認定申請者が,再び急増している。水俣病と認定されると,補償費用1000万円以上をもらうことができ,医療費はただ,通院費用が支給される。この費用は加害企業チッソが支出すべきカネだが,チッソの企業保護,熊本県の財政難のため,環境庁つまり政府が肩代わりしている。
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2004(平成16)年10月の水俣病関西訴訟最高裁判決で,水俣病患者勝訴,国が敗訴した。国の水俣病認定のための52年基準は誤りであり,患者を幅広く認定することが国の責任になった。このため,熊本県の水俣病認定審査会が再会された。「52年基準」で却下された患者の認定再申請が,2004年の関西訴訟以降に急増し,2007年3月末には3300人に達した。
しかし,熊本県は医師不足のため,県の月1度の審査会で認定審査のできる患者はせいぜい10人。年に100人である。3000人を越える患者の認定終了まで300年以上はかかることになる。

熊本日日新聞2007年4月7日

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3000人以上の認定審査は不可能である。それでも認定審査を再開したが,基準は政府の「55年認定基準」である。審査会は裁判と国の板挟みになりながらも,国の立場で審査して,水俣病患者を極力少なく認定している。これでチッソ,県,国の財政負担が軽減されるからである。

政府の動き
裁判によって大量に認定されると,チッソ,県,国の加害者としての負担は一挙にふくらんでしまう。そこで,一人当たり100万円を支給して,水俣病患者の認定裁判を取り下げさせ,審査会一本の認定にしようとする動きが強まっている。
村山政権の「最終決着」は1人に260万円を支給し,認定裁判を取り下げさせた。もう一度この「最終決着」を,今度は100万円に減額して実施するハラである。

なぜ,急がないのか
医師による審査会もゆっくり,政府による支給対象人数調査もゆっくりである。水俣病患者の自然死を待ち,財政負担を少しでも減らしたいからである。政府の財政負担を軽減するためには,認定も最終決着もゆっくりの方がいいのである。