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星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

御園座 五月花形歌舞伎 夜の部「夏祭浪花鑑」(1)

2010-05-29 | 観劇メモ(伝統芸能系)

観劇日    2010年5月23日(日) 夜の部 16:00開演
劇場     御園座
座席     1階

ふと思う。
浪花花形歌舞伎でこの演目を見ていなかったら、ここまで歌舞伎を好きに
なっていたかどうか・・・。
ドがつく初心者だった私のハートに火を投げ入れ、一気にパンパンパーン!
歌舞伎花火を打ち上げたのは間違いなくあの団七 by 愛之助さんなのだ。
団七をどう演じているか、ではなく、いま目の前にいる若者を見て逆に、
団七ゆうのんはこんなやっちゃな!と思い直した人もいたんじゃないだろ
うか。初心者がいうのもおこがましいけど、待望のヒーローが降って現れ
たような♪登場感だった。

ほぼあのときの配役がそろった5月の御園座。
興行期間もたっぷりで、満を持しての再演だ。
前回はただただ団七そのひとに惚れちゃったわけだけど、いま見てみると
演目そのものが素晴しい。
義太夫狂言のディープな味わいと現代人にも共感できる写実表現、それに
歌舞伎らしい絵面が絶妙な塩梅で混じった舞台。
泥臭さも、べとーっとした暑苦しさも大阪の匂いプンプンだし。
そんな中で美しさとエクスタシーをまとって立つ団七という役は、すいま
せんが大阪在住・松嶋屋育ちの片岡愛之助のためにあるとしか思えない♪
事情がゆるすなら名古屋に何日でも通いたかった~。
たった一度の観劇だけど、またの上演を確信して、2010年の備忘録を!







一、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
  序 幕 住吉鳥居前の場
  二幕目 難波三婦内の場
  大 詰 長町裏の場


団七九郎兵衛:愛之助   徳兵衛女房お辰:亀治郎
一寸徳兵衛:亀鶴     玉島磯之丞:薪車
傾城琴浦:宗之助     三婦女房おつぎ:吉弥
団七女房お梶:門之助   釣舟三婦:翫雀
三河屋義平次:橘三郎 ほか
  

侠客が活躍する上方の世話物。元禄年間に泉州堺で起こった舅殺しを題材に
竹田出雲、三好松洛、並木千柳の三人が合作。人形浄瑠璃として初演された
あと、 すぐ歌舞伎に書きかえられた傑作。
全九段のうち昨今舞台で取り上げられているのは三段目、六段目、七段目。
主人公は侠客の団七九郎兵衛。序幕「住吉鳥居前の場」で描かれてるのは、
団七が牢から出所してくる場面。団七をひいきにしてきた老侠客の三婦や
女房のお梶が出迎えにくるくだりで、むさい姿の団七が床屋にいってスカッ
とした格好で登場するあたりは、見事な演出。
このあと三婦や徳兵衛の女房お辰が侠気を表す「難波三婦内の場」から、
眼目の舅殺しとなる大詰「長町裏の場」へと運ぶ。本水本泥を使った殺し
の場は文字通り一番の見せ場。

(御園座 公式サイトより)

<序幕 住吉鳥居前の場>
花道から釣舟三婦、団七女房のお梶&子供が出てくると、もう夏の匂い。
翫雀さんは数珠を耳にかけ、縦縞の着物に侠客らしい色気をにじませる。
門之助さんのお梶は物腰やわらかく、意外にも上方言葉をそつなくこなす。
二人の会話からしれる団七の事情。
喧嘩相手が運悪く死んでしまったため死罪となるところを、玉島様のおか
げで今日、牢から出られると。

上手袖からひょこひょこと出てくる男。髪も眉も髭もぼうぼうで笑える。
解き放ってくれた役人に、ありがとうございます、と特徴ある言い回しで
2回言い、救い出してくれた玉島様のほうに向かっても手を合わし、子息
の磯之丞を守ることを誓う。
団七はたしかに雑魚かもしれないが、恩義、義理を大事に思っているとこ
ろはやはり侠客らしさを印象づける。
あとで駆け出す時には、住吉さんに柏手を打つことも忘れない。

三婦と団七の再会ご対面は、ふたり抱き合って子供のようにはしゃぐとこ
ろがいつ見てもすご~く微笑ましい。カワイイ。
縁台に腰掛けての会話。肩やおしりをポリポリかいている団七に、三婦が
こんなことを言う。
「お前が長いこと入っている間にな、歌舞伎座がのうなってしもうたんや」
客席からは笑い声。(愛之助さんファンとしてはちと切ない・・・。あと
で団七が我が子をオンブして帰る時にも「歌舞伎座がのうなったんやて?」
などとしつこく話題にしていた。)

三婦に促され、床屋でさっぱりした団七がのれんをかき分け、佐賀右衛門
の腕をつかんで「俺でえ~す」と姿を見せると、ゴクリ!(←生唾)
目尻にも目頭にも隈を取り、剃り後なのかモミアゲ、顎のあたりが青い。
銀杏の葉を染め抜いた白地の着物の裾には松嶋屋の屋号。
ゆったりした首抜きの衿を直す仕草がホンマによう似合う。(ポッ♪)
洗い立ての香りがするような申し分のないエエ男や~♪♪♪

徳兵衛との喧嘩の場面。
立て札を引き抜いて二人で渡り合うところはこんなに派手だったっけ?
団七が縁台にあがって片足で立ったりする。
お梶の仲裁で二人が兄弟の義を結ぶとき、袖をちぎる意味が3年前はわか
らなかったけれど、台詞でちゃんと説明してるやんっ。
磯之丞様のお世話をする片腕にしてやる、の「袖」じゃ。←by 団七
もう磯之丞様を袖にしない、の「袖」じゃ。←by 徳兵衛


<二幕目 難波三婦内の場>
磯之丞と琴浦のじゃらじゃらの場面。
薪車さんの磯之丞は前よりも色っぽくなった印象。力のない色男な感じが
よく出ている。
宗之助さんは初見。じゃらじゃらする素振りに磯之丞をすご~く好いてい
る感じが伝わってくる。

三婦女房おつぎは吉弥さん。きれいで、可愛らしさもある。
お辰が三婦を訪ねてきた時、勘違いして亭主に焼きもちをやくところで笑
いを誘っていた。
お辰は亀治郎さん。徳兵衛の女房だけど、無駄に色気がある感じ。
おつぎがお辰に磯之丞を預かってもらえないか、と持ちかける。
磯之丞を預ける、預けない、で三婦と言い争う場面。そんな最中に飛んで
来た蚊を目で追いかけ団扇で叩き落とす翫雀さん三婦、うまいっ♪

三婦に断られ、それでは自分の女が立たないというお辰。断られたその理
由は自分の色気だと聞き、あきらめるかと思いきや、おつぎが魚を焼く時
の鉄弓に目をやる。おもむろに立ってその鉄弓を取り自分の頬にギュウッ!
鉄弓を顔から離すと赤い火傷がくっきりと。
その心意気にヤラれた三婦は磯之丞を預けることを承知する。
亀治郎さんのお辰は、男に生まれていたらよかったと三婦に言われていた
けれど、客席に見せる姿は決して強そうじゃなかった。
鏡を見る時もその後も、気っ風のよさの下に透けて見える繊細な女心を表
現していた。だからこそ請け負う台詞も引き立った。
動揺を表に出さないお辰も頼もしくて好きだけど、これもアリだと思った。
こちの人が好くのはここじゃござんせん、ここでござんすと胸を叩くお辰。
そのお辰を見送るおつぎも形式通りではなく、その女心をしかと受け取っ
たことがわかり、胸にしみた。

来たよ、来たよっ。浴衣の袖をまくって、男伊達三人衆が。
三人ともいきがって、それぞれの色気を発散している。
そして、これを団七縞って呼ぶんやね。ぬぁんてカッコイイんでしょっ♪

おつぎとの会話で舅の義平次の企みを知る団七。
「またやりおったなー!」と、琴浦を乗せた駕篭を追いかけて外へ。
「長町裏までっ!」と、浄瑠璃の声が緊迫感をあおる。

駆け出す団七とぶつかって倒れるおつぎ。団七が行こうとすると、
アア~と痛がる声。行こうとすると再びアア~。
団七、薬のはいった煙草入れをおつぎにポーンと投げ「ここに薬があるか
ら飲んでくだんせー」と叫んで花道へ。
七三で足をポンと前後に割って見得。
(記憶が定かではないが、雪駄は脱いで後帯に刺しているらしい。)
私の席からは遠かったが、ほぼ真横の角度から見る見得もまたきれい。
どっしり安定感のあるポーズがメチャメチャ素敵やねん♪
ちょっと歩いてから、浴衣の裾をめくって韋駄天で引っ込むーーーっ。
拍手、拍手・・・。

う、またやってしまいました~。
超長文のため(2)に続く。日付を越えて明日アップ!


御園座 五月花形歌舞伎 夜の部「夏祭浪花鑑」(2)
御園座、五月花形歌舞伎に大興奮。
(以上、このブログ内の関連記事)


●2007年浪花花形歌舞伎の「夏祭浪花鑑」関連
浪花花形歌舞伎  観劇メモ(1) 2007/4/6
浪花花形歌舞伎  観劇メモ(3) 2007/4/13
感動的な千穐楽カテコ@浪花花形歌舞伎 2007/4/8
愛之助さんの団七@産経新聞夕刊 2007/4/7
団七九郎兵衛@朝日新聞夕刊 2007/4/11
浪花花形歌舞伎@日経新聞夕刊 2007/4/17
(以上、このブログ内の関連記事)
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