ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

夏休みのレモネード

2005-03-27 | 映画 た行な行
宗教の違う二人の少年の交流を描く、ちょっと切ない物語。

2001年 アメリカ ヒューマンドラマ
2005年3月27日 VTR(ムービープラス)
監督 ピート・ジョーンズ
出演 アイダン・ジョリー、ボニー・ハント

1976年、シカゴ。ピート少年8歳の夏休みである。彼の家庭はアイルランド系カトリックの信仰がある大家族で、学校もカトリックである。先生に言うことを聞かないので地獄へ落ちると言われた為、母親から良いことをして天国へ行く証を立てなさいと言われた。ユダヤ教からの改宗をすすめた聖人を目指した彼はユダヤ教の教会へ。教会の前で無料のレモネードを配って改宗をさせようとしたのである。そのうちに、ユダヤ教のラビ(司祭)とその息子のダニーと出会う。ダニーはピートより一つ年下。二人はすっかり親しくなるが、ピートは白血病に冒されている。ユダヤ教では天国へ行けないといわれたダニーは、洗礼を受けるためのテストを受けなければならないと頑張る。

日本人にはちょっと縁のない、「ユダヤ教」と「キリスト教」の微妙な摩擦も感じる。クリスチャンにとってユダヤ人は(ユダヤ教徒)は、イエスを十字架にかけた張本人である。金持ちで利己的というステレオタイプもあるのではないか?("ヴェニスの商人"などを例に引くまでもなく)
そもそも、日本人には一神教の厳密な宗教観がなじまない感じがあるので、お互いに微妙な違いのある一神教同士が争いあっていることが分からないと思う。「まあまあ、似たり寄ったりなのだから」なんて、ファジーにはいかない。実際家族計画を行わない(こともある)カトリックの家庭は子沢山であり、アメリカにおいてアイルランド系は一体に貧しいと思う。一方で、ユダヤ人は商売上手で金持ちが多い。映画の中でも、長男パトリックの奨学金がユダヤ教会から出る申し出があったときに、父親(アイダン・クイン)が猛烈に反対する。経済力がないコンプレックスに加えて、ユダヤ教の宣伝に使われたくないと言い出したのである。
こうした父親同士の衝突も、少年たちの友情が取り持ち、パトリックは医学部へ行ける事になる。この辺は、紆余曲折がうまく描かれているし、天国へ行こうとする少年たちいじらしさがたまらない。
しかし、ダニーは白血病が悪化してしまう。この辺はありがちな展開だが、悲しい結末で終わらせるだけでなく、悲しみを乗り超えて成長していくピートの姿がさりげなく描かれていて好感が持てる。



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
もう観てはりましたか (志賀内牧嗣)
2005-08-20 08:51:44
昨夜は(今朝は) 昼間の雑用(な なんと家内に強制

されての真夏の大掃除という労役)にくたびれ果てて、見逃すといけないので録画しました。ジックリ、コメントを参考にしながら鑑賞します。ちなみに 母校の同志社神学部では 今年から”唯一神教学会”なるプロジェクトを立ち上げ、神学部の教授陣にユダヤ教徒、イスラム教徒の教授を登用しています。全く、なに考えてるのか。近年の宗教間の対立や紛争は世界的な問題であり、そのことを研究することには、全く異存がないのだが、教職者の養成を第一の任務とする神学校になぜイスラムやユダヤ教の教授(

講師ではなく)を迎えるのか全く合点が行かない。文部科学省の「唯一神教学研究プロジェクト」についてくる予算に目がくらんで、自己の主体性を放棄し,神学教育を他宗教の信徒に委ねる愚挙を犯したと慨嘆しきり。そんな問題を脳裏に浮かべながら映画を楽しみます。それにしても,原題はSTOLEN SUMMERなのに邦題は「真夏のレモネ-ド」になるのか?たしかに作品中にレモネ-ドは小道具として使われているけど、、、。ヤタラにとんがって、文句つけるのは暑さのせい?ということにしときましょう。
返信する
短館ロードショーやっていました (ももママ)
2005-08-21 09:29:14
志賀内牧嗣さま

この映画は東京の某映画館で短館ロードショーをやっていました。小さめのスクリーンでしっとりと観るのは素敵なことですが、どこもかしこもSWとやらで盛り上がる映画館の有様は感心しません。私もSWは観ましたし、楽しかったですが、それだけじゃね~~~っ。つまらないです。

良心的で優秀な映画が、お金をかけて製作・宣伝された目立つ映画の陰に隠れている現実に悲しいものを感じています。

先日も批判がありましたが、マザー・テレサの映画が近日公開されます。昔「ロメオとジュリエット」で一世を風靡して布施明と結婚もしていたオリビア・ハッシーが演じます。オリビアさん、布施さんの奥さんだったときはちょっと綺麗じゃなくなっていたけど(国際結婚で苦労してたのかな?)、映画のパンフでは往年のジュリエットを髣髴とさせる美しさです。見に行く予定です。
返信する