ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

童貞。をプロデュース

2008-10-30 | 映画 た行な行
しんゆり映画祭で。去年評判になったとはいえ、マイナーな邦画はなかなか見る機会がありません。で、今回見ることにしましたが、ドキュメンタリーと知らず、びっくりしました。ドキュメンタリーというとまじめ一本やりかと思ったら、こんな「面白い度球面タイリー」もあるんですね。

2007年 日本 ドキュメンタリー
2008年10月29日 アートシアター・アルテリオ
監督 松江哲明
出演 加賀賢三、梅澤嘉朗
(出演作品などは私が観たものに限る)

第一部は23歳加賀君。半引きこもりから自転車メッセンジャーになり、彼氏のいる女性に恋する童貞。女性とは握手以上のことをしたことがなく、風俗女性に偏見があるし、何かと逃げてしまうへたれである。彼に勇気を与え、彼女に思いを告白できるようにサポートする監督は、スパルタ方式に出るが・・・?
第二部は1年後、加賀君に24歳のごみ焼却のバイトをしている梅澤君を紹介してもらう。彼は80年代のB級アイドルに夢中になっているサブカルチャーおたくである。そのアイドル島田奈美は20歳前に引退し、本名で音楽ライターとして活躍中。梅沢君が作った島田奈美にささげる自主映画を上映して、彼女に来てもらおうとするが・・・

世の中では「負け組」と言われてしまいそうな彼ら。加賀君は結構なイケメンでもあるのだけど、ナイーブで潔癖。理屈は言うが結局、覇気がないしへたれだと評価されてしまいます。でも、それも致し方ない様子。肝心なところで逃げては、人生生き抜けません。そんな彼に自分もズボンやパンツまで脱いでサポートする監督やカメラマンさんたちの姿が、優しいのやら、馬鹿なのやら、おせっかいなのやら、面倒見が良いのやら~。ちょっと女性には分かりにくい男同士の友情やら、愛情やら・・・?生きていくことは他人に迷惑をかけることなんだ、恋愛は傷つくものなんだと言う監督の言葉に、新しい一歩を踏み出そうとする加賀君。悩みながらも歩き出す加賀君は、良い意味で青春してました。この時しかない青春を。
一方の梅澤君も家庭の中でさえ阻害されがちになっています。東京の専門学校を出たけれど勉強したことで身を立てることができず、かなりのド田舎である実家に帰っています。お父さんに通勤用に買ってもらった中古車で登場しますが、駅前のローターリーでトラックに割り込みされています。「怖かった~」という彼も、へたれの一人でしょう。先に弟が結婚してしまい、自分の部屋を新婚さんに取られただけでもかなりの敗北感があるはず。美容師の弟夫婦と同居しながら、洗面所で自分の髪を自分で切る梅澤君。ごみ置き場で漁ったりするものだから、部屋はますます他人から見たらガラクタとしか思えぬ写真集やビデオ、雑誌の切抜きでゴッチャコチャ。そして、過去のアイドルに入れ込んでいますが、当の本人にさえ「感謝はするけど、もう過去」と言われてしまうのです。梅澤君、現在の自分と向き合おうよ!


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