もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

「シークレット・サンシャイン」

2009-02-01 17:02:32 | 韓国映画
1/31 名画座にて

なるほど「シークレット・サンシャイン」とは
そういう意味か。
そう思ったオープニングシーン。

夫を失くして
子供と二人、夫の故郷に引越してきたシネ。
地方都市ではよそ者の素性はあっという間に知れ渡る。
ピアノ教室を開いて、ぎこちなくではあるが、
生活を始めてゆく。
車が故障したことによって知り合った
修理工場を営むジョンチャンがなにくれとなく世話を焼いてくれるが、
シネは素っ気無い態度を崩さない。
というよりも、確かにちょっとうっとおしいぞ。
彼女の服装のセンスが都会っぽいんだよね。

何を思ってかシネが口にしていたお金にまつわる話が、
(保険金のこと他人に言う意図が解らない)
彼女の最愛の子供の命をうばってしまう。

肝心の時にタイミングの合わないジョンチャン。
シネは一人で子供を助けようとして、
最悪の結果を一人で背負い込む。
なにか確執がありそうな夫の家族は葬儀に初めて現れて、
シネを罵倒するだけだ。

シネが救いを求めたものは、
いっとき彼女を救ったように見えたが、
さらに深い絶望へと彼女を陥れてしまう。
深く信じたために、激しく壊れていくシネ。
この辺りのチョン・ドヨンの演技、凄みがある。
この人、上手いなぁ、ホント。

ありふれた俗物で、お人よしだけれど
繊細なものを感じ取ることの出来ないジョンチャン。
『そこで気がつけよ!』『もう一押しでしょ』
そういうシーンがいくつも。
彼がシネにとって”シークレット・サンシャイン”になりえることは、
あるのだろうか?

さすが、イ・チャンドン。
犯罪被害者の家族についてだけではなく、
加害者家族について。
善意という形をとるある種の暴力。
インテリではない人々の解り易い優しさ。
色々と考えました。

チョン・ドヨン、確か4本見てるけど上手いわ。
ソン・ガンホは、上手くて当たり前です。
イ・チャンドン監督の作品は、
難しいわけじゃないのにいつも沢山考える。
好きな監督です。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (かのん)
2009-02-08 10:06:59
イ・チャンドン監督はなにげに鋭い視点で投げかけてきますよね。身近に感じられるテーマを深く考えさせられました。

シネが宗教に救いを求め犯人を赦すことで辛い思いを断ち切るというところにようやくたどり着いたのに、彼女より先に犯人が神の赦しを得てしまっていたというのは特に信仰心のない私でもシネと同じように衝撃を受けてしまいました。
返信する
いらっしゃいませ~ (もじもじ猫)
2009-02-11 17:59:31
・かのん様
イ・チャンドン監督は、韓国映画の底力と私は度々書いてます。今回気がついたんですけど。
娯楽をはずさずに、しかし問題を投げかけてきますもん。

シネは本気で宗教に救いを求めたわけじゃなくて、宗教に逃げ込んだのかな。と思いました、私は。
宗教観って難しいですが。
その後のシネの行動が痛々しく、教会仲間がしらじらしく見えてしまいました。
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