藤沢周平作品を、今まで一度も読んだことはありませんでしたが、今度『蝉しぐれ』を読みました。きっかけは、NHKニュース「おはよう日本」での、児玉清さんをゲストに迎えた藤沢周平特集を見たことです。映画化されたり、今あらためて注目されているという藤沢作品。ゆかりの地を訪ねるツアーが人気を集めていること、そして愛読者の男女一人ずつが紹介されました。
何よりも引きつけられたのは、児玉清さんの「藤沢作品のない人生なんて!」と言わんばかりの力説ぶりでした。そんなに良いのか・・・それならば。あの人が言うのだから間違いはない・・ということありますよね。音楽のことは、ピーター・バラカンさんが良いと言ったら、だいたい信じています。。。それはいいとして、早速図書館で『蝉しぐれ』を借りて読みました。
いやホントに、特集で児玉さんが言われたこと・・・・まず何よりも物語として面白いのが第一で、ミステリーみたいな謎解きもありハラハラドキドキすること、自然の描写により目の前に豊かな風景が広がること、そして教えられることがたくさんあるのに全然説教臭くないこと、その通りでした。人生の機微や人情が丁寧に描かれておりホロリとしました。そして読み終えてから「人は誰でも何かしら後悔の気持ちを抱えて生きている」というような言葉に一番ひかれて、この本を読んだ・・・と思いました。自分の人生を生きるということ、100%思った通りになんていかないけれども、それで良いのですよね。
『蝉しぐれ』は海坂藩の藩士 牧文四郎の物語です。逸平、与之助という仲間と道場で剣の腕を磨き、塾で勉学に励む毎日。両親との生活。淡い恋。様々な困難に耐えながら武士として成長していく姿が描かれています。
ところで特集では『蝉しぐれ』のドラマで主役の文四郎を演じた内野聖陽さんが出演し、ドラマの1シーンも流れていました。それを見て文四郎=内野さんになってしまった私。本を読んでいても、頭の中で内野さんが動いていました。ところが読んでいくと文四郎はまだ元服前の15歳の若者ではないですか!イメージ修正が大変でした。。。