![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/11/a6bc3c1bcef6b5a8d866ff5d38022943.jpg)
今では『ロマンチック街道』などと銘打たれて俗な観光地の代表となっている『ノイシュバンシュタイン』その他の城に関する写真集。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/62/2dc2374316248aab948e21826bd98494.jpg)
この本の発行当時はこれらの城を知る人はごく少数だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/06/c4f2ac786914c48d0e5f46ea2cb49b3a.jpg)
ノイシュバンシュタイン, ホーエンシュバンガウ, リンダーホフそしてヘレンキムーゼーの4城の写真が配され、これに(あの)澁澤龍彦が解説を寄せています。
玉座の間に玉座がなかったように、あの豪華な歌手の間の舞台でも、少なくとも王が生きているうちは、一度として演奏会が開かれたことはなかった。一度として廷臣がここに群がり集まったことはなかった。
そういう意味で。ノイシュヴァンシュタインはまさしく空虚な城なのである。ワグナーの主題による壁画を眺めながら、巡礼のように部屋から部屋を歩きまわるのは、ただひとり、この空虚な城に住む幽霊のような神経症の王だけだったのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/da/9d10512e47bdbe3abc4616403b6825aa.jpg)
とはいうものの、城づくりに熱中するあまりバイエルンの財政を傾け廃された王に対する芸術家たちの評価は高い。
そして建設当時『壮大な無駄使い』と評されたこれらの城が今ではバイエルンを支える観光資源となっているのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/1d/31594e34fadd3d031baa15f5cc8a75e2.jpg)
この写真集の冒頭にもポール・ヴェルレーヌの王を讃える詩が掲げられています。
王よ、この世紀唯ひとりの真の王者たる、陛下よ、敬礼を受けられよ。御身は政治の事がらや、家の中に闖入する「科学」の狂気から、御身の理性が蒙った屈辱の、恨みを晴らしつつこの世を立ち去りたいと望まれたのだ。
「祈り」と「歌」と「芸術」の、そしてあらゆる「抒情」の暗殺者たる、かの「科学」。そして御身は単純率直に、しかも花咲き匂う抒情にみちて、これをば屠り倒されたのだ。
御身は詩人であり、戦士であった。諸国の王たちが取るに足らぬものに成りさがっている現世紀の、唯ひとりの王者であった。そして「信仰」に従う「理性」の「殉教者」であった。
御身の比類を絶する栄誉に対して、恭しく敬礼。そして願わくば御身の霊魂が、壮麗にして晴れやかなるワグナー楽の調べにつれて、黄金と鉄のきらめく、誇らしき儀仗の葬列を従えられんことを。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/fe/0d781d57c13a1716eee2416d1923f39b.jpg)
※湖に立つ十字架がルードヴィヒⅡ世終焉の地を示す。
どうもありがとうございます。
ブログの加工、了解いたしました。
実は コメント頂いた画像は
6/16付 「しゃなり と歩く姿は
美人」とダブルので、
非表示にさせて頂きました。
頂きましたコメント2件は、
6/16付ブログにcopyいたしましたので
よろしくお願いします。
このルートヴィッヒ2世の終焉の地とされている湖の十字架にロマンを感じ、
あくまでも子供が手に入る限りでの、
当時の刊行物を読み漁っていたのを覚えています。(義務教育時代あたりがピーク)
この本の奥付を読むと、自分はちょうど熱が冷めたあたりかな。
映画は新旧二つ観ている。
ヴィスコンティ作品が大好きだったので。
>(あの)澁澤龍彦
私にもあの!で、
おかげさまで三島由紀夫とサド関連を思い出したのと、、、
私が彼で一番記憶しているのは、
看護士と談笑しながら首の包帯交換をしていて、頸動脈破裂死を思い出してしまい、ああ無駄知識でスミマセンm(_ _"m)
ええと、演奏会は一度だけ地下でリハーサルしたのだったかな?
確か大好きなローエングリン。
ヴィーナスの洞窟で、音を出したら最悪だったのよ。
(コンクリートとの共鳴を想うだけでも想像がつくが。ぞぞおおおっ!)
で、その後の王はさらにおかしくなると記憶。(ちなみに弟オットーも精神がおかしい。ハスプブルグの唇は有名だが、ヴィッテルスバッハの遺伝?)
それにしても、
この城が鉄筋コンクリートの漆喰攻めには、ほんとロマンがそがれた、装飾も過剰!
けど、美しいと思う。