吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

山田正紀『人喰いの時代』ハルキ文庫(2014年4月28日第6刷発行)

2018-05-31 12:29:19 | 紙の本を読みなよ 槙島聖護
 山田正紀の本格ミステリー小説デビュー作。



 カラフト行きの船上で知り合った呪師霊太郎(しゅしれいたろう)と椹修介(さわらしゅうすけ)のコンビが、船上での事件をきっかけに、どうみても小樽に違いないO-市に滞在し、奇妙な事件に遭遇、鮮やかな推理を見せる。


※O-市風景。

 死体の消失や密室殺人をこの連作では『人喰い〇〇』と名付けていて、端的に内容を言うならば『ホームズ&ワトソン』的な本格ミステリなのですが、山田正紀の手に掛かるとことはそう単純ではありません。

 この作品は連作の形を取っていますが、シリーズものはその必然として『地獄巡り』に陥る宿命にあるにのです。
 『永劫回帰』の宿命とでもいいますか、主人公たちは事件に巻き込まれ、それが解決すると事件が起こる前の状態に戻ってしまいます。これが永遠に繰り返されていくワケです。

 いい例が『名探偵コナン』で、主人公たちは小学校の同じ学年のまま21年間も放映が続いてしまいました(全て同じ1年間の物語です!)。これにより全体として物凄い矛盾を抱えるに至りました。放映回数が1年に50回として50×21・・・ということはこれまでに1050件の事件が起こり、1000人以上が殺された・・・世界でイチバン治安が悪い町なのはいうまでもありませんが、もはや1日に3件近くの事件が発生していることになる、とまあこれは余談です。

 日中戦争が始まる前の時代を背景に『もはや名探偵を必要としなくなった時代の名探偵』が鮮やかな名推理を・・・とはいっても呪師霊太郎はただ真実が知りたいだけなので、事件の謎は明らかになっても犯人はそのまま放置()なんともイイ加減です。
 江戸川乱歩の短編を思わせる軽妙なタネ明かしが、毎回何ともいえない『いい味』出してます。

 ところが、第6話で「何か変だ!?パラレルワールドぢゃないだろうナ?」と思って読んでいたら、最初の5話で作り上げたシリーズ展開そのものがガラガラと音を立てて崩れてしまう・・・またまた『ヤられたっ!』です(最初からコレを狙ってたのぉ!?凄い伏線!)。

 そうだよね、SFでのデビュー作が衝撃的な『神狩り』だったのだから、本格ミステリでのデビュー作がただのレトロな探偵ものであろうはずがナイではないですかっ!

 解説にもある通り『(P.K.)ディック的な現実崩壊感覚』を味わうことができる稀有な小説です。おすすめします。

来たっ!ウルトラマンオーブ『サンダーブレスター』だっ!

2018-05-29 08:01:00 | 映画・ドラマを観て考えよう

 届きましたっ!ウルトラマンオーブ『サンダーブレスター』だっ!

 サンダーブレスターについては以前紹介しましたが、好きです(キッパリ!)。


※否が応でも中身を期待させるパッケージ。

 取り出してみる。


※交換パーツも充実!


※マッシブなスタイル!(写真はプレミアムバンダイのを借用)


※有名なポーズもバッチリ!(写真はプレミアムバンダイのを借用)

 リアルさを追求した為、足裏の面積が少なく、立てるのにはチョット苦労します。

 というワケで、部屋に普段飾っておくには不向きか!?
 夜中に取り出して、ひとり眺めて楽しむ・・・ちょ、ちょっと暗いかなぁ。


豊雲記念館最後の日(2018年5月20日(日)未来への扉 "Reborn" 展)3/3

2018-05-23 06:50:27 | 日々美しいものに触れようよ

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※休憩室から廻り階段状になった通路(石段)を上がると屋上庭園に出る。



※ガウディ彫刻のようなタワーが印象的。



※屋上からの眺望。タワーはさっき登ってきた石段の中心に立っている。



※少しカメラの角度を変えると神戸港が一望できます。



※変なオブジェが設営されていた(普段はナイ)。奥に見えるのは巨大な温室。



※子供の夏休みの宿題かっ!宏貴五世家元が何かパフォーマンスをするらしいのだが・・・。



※それよりも供養塔に花を供えなさい。



※取り壊しが決まり、手入れされない温室の中では、モンステラが枯れていた。


※名誉会員の名を刻んだ石板と噴水。


 この石板はどこかへ移設されるのだろうか?まさか捨てられるなんてことは・・・。


※1枚めの石段の写真で山頂付近に写っていた建物。



※中には代々の家元のレリーフが飾られている。


 これ(レリーフ)もどうなっちゃうンだろう。鋳(い)ツブしたりしないよネ?


※レリーフの場所から屋上庭園を見る。



※テラスからの眺望もこれが見納め。


 時間は虚しい問いかけを繰り返し、空間は無限の広がりでそれに答えています。

 彼狡童兮,不与我好兮。


豊雲記念館最後の日(2018年5月20日(日)未来への扉 "Reborn" 展)2/3

2018-05-22 07:59:15 | 日々美しいものに触れようよ

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 館内では代々の家元作品の復元が行われている。

 二世小原雲心の復元作品。


※それまで生け花といえば立花だったが、水盤を使った盛花を創案した。


※こちらは抛げ入れ。


※生け花展では今でもよく作られている。


 三世小原豊雲の復元作品。


※桐の花を使った抛げ入れ。



※これも抛げ入れ。掛け軸は棟方志功。


※たぶん琳派といわれる様式。

 早世した夏樹(四世家元/諡)の復元作品。


※花舞といわれる様式。


 この花舞という様式は交差法の一種なのだろうが、植物ってえのは同じ方向に伸びるモノでしょう?
 自然の植生に反していて好きになれない(最初に見たときは誰かが誤って倒したのだと思った)。


※さらに奥へ。

 休憩室から神戸港を望む。

※屋根のカーブが優美。


 建物は一部立入禁止に、すでに雨漏りがしているらしい。

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豊雲記念館最後の日(2018年5月20日(日)未来への扉 "Reborn" 展)1/3

2018-05-21 12:19:06 | 日々美しいものに触れようよ

 神戸で生け花といえば小原流です。他流派に先駆けて百貨店での生け花展を行い、『花嫁修業には生け花を』という風潮を作り出したワケです(それまで華道は男性がするものだった)。

 さて三代家元が建築した豊雲記念館が閉館するというので記念に開催される『未来への扉(Reborn)』展なるものに行ってきました。


※正門前から記念館を望む。神戸の名建築のひとつです。



※右手へ廻って道路からパチリ!・・・直線的なブロックと屋根のカーブの取り合わせが絶妙です!


 清家清の建築は阪神大震災にもビクともしなかったのだが・・・。


※入口に設置された看板。



※入口から上を見上げる。ガラスと鉄骨&石材の取合せが秀逸。

 老朽化に伴い、建設から55年で取り壊しが決まった(ちゃんとメンテナンスしないからだ!)。


※何を思うのか・・・三世家元小原豊雲像。



※供えられた花?(いいや違うと思うゾ!)



※記念館収集品・・・ワヤン・クリット。


※記念館収集品・・・象の像(トリックかい!)。



※窓の外にスズメバチの巣が・・・(アブネエ!)


※特注のガラスが美しい。



※今回の展示会のために設えられたオブジェ。


※次の建物へ坂道を上る(全くバリアフリーにはなってないのは問題だナ)。


※道端のウチワサボテン。

 跡地がどうなるのかは発表されていないが、建替は行われず、土地は売却されてしまうようだ。
 ああ諸行は無常だなあ・・・。

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