吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

2020年春季アニメ勝手にランキングしちゃいます!

2020-04-23 06:08:26 | 映画・ドラマを観て考えよう

 春のアニメが出揃ってきたようですが、今回は一風変わった作品も多く、面白いラインナップになってきています。

 

※『文豪とアルケミスト~審判ノ歯車~』から、カッコ良すぎる芥川龍之介。

 

 文豪を題材しにた作品も2つ出ています。『文豪とアルケミスト~審判ノ歯車~』は『作品世界への浸食をかつての文豪たちがスーパーヒーローに変身して食い止める』というもの。でもせっかくの設定がただのアクションに堕しているようでイマイチでした。私のオススメは『啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)』です。『石川啄木と金田一京介のコンビ(ありえないでしょ!)が難事件の謎を解く』というストーリー・・・レトロな雰囲気にタップリ浸れます。エンディングの『ゴンドラの唄』もグッドですぅ。

 

※『啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)』では(あの!)石川啄木が難事件を解決!?

 

※啄木鳥探偵處ED「ゴンドラの唄」Music Video(YouTube Ver.)こっ、このイメージは志村喬(!?)

 

 『かくしごと』マンガ家であることを自分の娘に徹底的に隠そうとする父親の涙ぐましい努力の数々・・・『そこまでしますか!?』の連続。『隠し事』は『書く仕事』でもあるンです。マンガ家あるある満載でこれは笑えます。

 

※ホノボノの楽しい『かくしごと』の世界。

 

※TVアニメ『かくしごと』ノンテロップED映像・・・大滝詠一の名曲が甦る!

 

 ここまでがランキング外。では、いよいよトップ3の発表です。

 

 第3位『無限の住人 -immortalー』は一風変わった時代劇です。・・・武士というものがまだ生きていた江戸時代、町道場の娘、凜は殺された父母の仇を討つため旅に出る。旅の用心棒として選んだのは、百人斬りの異名を持つ不死身の男、万次。狙うは憎き男、逸刀流統主・天津影久・・・ってえんですが、この万次の設定に驚きます。『謎の老婆、八百比丘尼に究極の延命術・血仙蟲を埋め込まれ、不死の身体となった』というのですから、いわば『体内に修復用のナノマシンを大量に蓄えていて斬られても傷がスグに治ってしまう』というズルい設定になっています。チャンバラで負けても死なないのだからこれは反則ですよねー。でも面白い。

 

※一風変わった時代劇『無限の住人 ーimmotalー』は設定が反則技!?

 

 第2位は『LISTENERS リスナーズ』・・・これはストーリーを説明するのが難しいです・・・少年エコオと祈手(プレイヤー)のミュウの二人が旅をする。危機に陥ると、エコオの持っているアンプが巨大人型ロボットに変形し(絶対ムリでしょ!)、ミュウがそれを操縦して立ち向かう・・・全編がロック用語で構成される不思議な物語になっています。 

 

※『LISTENERS リスナーズ』・・・旅を続けるエコオとミュウ。

 

 そして栄えある第1位は『ULTRAMAN』です!これも斬新な設定で、『かってウルトラマンだったハヤタ隊員は体内にウルトラマン因子を受け継いでいて、その息子進次郎も超人的な体力を生まれながらに有してしたのだった』と言う設定です。イデ隊員がひそかに開発していたウルトラスーツを着れば、スーパーヒーローに変身!(巨大化はしません)。

 

※等身大のウルトラマンが活躍する『ULTRAMAN』は特撮世代には涙ナミダの作品です!

 

 ウルトラマン世代には涙ナミダです。『戦え!ウルトラマン』・・・って等身大なのでサイヤ人同士の戦いみたいな展開、フル3DCGのヌメヌメした動きに慣れれば、これは楽しめます。

 

 

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W.H.ホジスン『夜の声』創元推理文庫 / 2007年9月14日第4版

2020-04-14 05:27:49 | 紙の本を読みなよ 槙島聖護

 20世紀怪奇小説の鬼才と呼ばれるウイリアム・ホープ・ホジスンですが、このヒト、元船員という異色の経歴を持つ作家なのです。

 今回ご紹介する作品は『The voice in the nighit and other stories(夜の声およびその他の短編集)』という表題の文庫本で、2007年に『復刊フェア』として売り出されたものですが、元船員らしい『海洋奇譚集』といった趣の作品集です。

 

※W.H.ホジスン『夜の声』創元推理文庫 / 2007年9月14日第4版

 

 表題作は、夜中に闇の中から一隻のボートが近づいてくる。乗っているのは一人の男、実は無人島に漂着した男女がだんだん食糧が尽きてきて・・・島に無数に生えているキノコを口にしたところ・・・というオハナシで、これを翻案したのが実は東宝の『マタンゴ(1963年)』という作品・・・あっ!写真()を見たらもはやネタバレ!?ですね。

 

※田中友幸製作、本多猪四郎監督『マタンゴ』1963年東宝映画

 

 かつて翻訳家でSF評論家の石川喬二氏が『怪物とは、それに襲われるのが怖い存在ではなく、それになることが怖い存在である』と喝破したように、まさしくこのマタンゴこそは『それになることが怖い存在』に違いありません。

 

※マタンゴを食べたものは人間からキノコの化物へと変貌していく・・・。

 

 子供ゴコロに物凄く怖かった記憶があります。

 

 その他は纏めれば『未知の海洋には恐ろしい生物が潜んでいる』といったストーリーで、単純に巨大な海蛇が船を襲う話(熱帯の恐怖)から、『マックイーンの絶対の危機』みたいなSF話(カビの船)まで、海洋を舞台にしながらヴァラエティ豊かな短編集です。

 コロナウイルス防疫の観点から『家で過ごす』にはもってこいの一冊です。オススメします。

 

<収録作品>

 夜の声

 熱帯の恐怖

 廃船の謎

 グレイケン号の発見

 石の船

 カビの船

 ウドの島

 水槽の恐怖

 

 

 

 


NHK海外ドラマ『レ・ミゼラブル』(2018年/BBC製作)

2020-04-06 06:56:01 | 映画・ドラマを観て考えよう

 NHKの大河ドラマが全く詰まらなくなってしまいました。

 そりゃそうでしょう、時代劇の一大スペクタクルを期待して観たら、中身は家族ドラマで『渡る世間は鬼ばかり』と変わらない内容なンですから。そんなもの改めて観る気にもなりません。

 で、海外ドラマの方が余程面白いのです。

 今回ご紹介するのは『レ・ミゼラブル』・・・ヴィクトル・ユゴーの大作です。

 

※BBC製作の海外ドラマ『レ・ミゼラブル』左からジャン・バルジャン、ファンティーヌ、コゼット、ジャベール

 

 中身は改めて紹介するまでもないでしょう。BBCが製作しただけあって力の入った作品になっています。

 原作に忠実な作りなのですが、登場人物同志に新しい関係を追加していて、よく知っているヒトなら『ああ、ここが変えてある!』と脚本での変更部分を見つけて楽しむことができる造りになっています。

 例えば、ジャン・バルジャンが故意にプティ・ジェルベの40スーを奪い取るとか、ガブローシュがテナルディエの養子になっている、ファンティーヌを看取った修道女がジャン・バルジャンの窮地を助ける、というような点です(↓脚註参照)。

 

※ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』画面右側で二丁拳銃を振り回しているのがガブローシュ少年

 

 ジャベール警部は黒人の役者さんで、これは史実には反しますが、最近は白色人種だけで配役を行うのはご法度だそうで、致し方ない改変です。まあ『ジャベールは色黒なヒトである』と思って観ましょうネ。

 映像がまことに美しいので、これを観ているだけでも癒されます。

 いま、オススメのドラマです。

<関連記事>

鹿島茂『レ・ミゼラブル百六景』株式会社文藝春秋(1987年6月15日第1刷)

 

 

 

(※脚註)原作では、たまたまプティ・ジェルベの40スー貨を踏んづけて気づかず追い払ってしまう、ガブローシュはパリの浮浪児、ジャン・バルジャンの窮地を助けるのはフォーシュルヴァン老人、ですネ。